2019年09月03日

税理士2世の会計事務所就職と相続税特化事務所

税理士事務所 求人・採用・就職情報
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。

「税理士2世の会計事務所就職と相続税特化事務所」

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モモタロ様からのご質問です。

■年齢 26歳
■性別 男性
■資格 簿記論、財務諸表論、法人税法、消費税法
    大学院での税法科目免除あり
■職歴 税理士法人勤務(約2年半)
■学歴 地方国立大卒業、地方私立大学院修了
■会計事務所経験 同上
■居住地 西日本
■その他(特殊事情等)
・税理士2世(父親が事務所を開業しており、将来的には後を継ぎたいと考えています)
・今年の3月に大学院(週末通学)を修了し、税理士試験免除

高橋先生
いつも記事を拝見しています。
今回、税理士2世の転職について、先生にご相談させて下さい。

現在、実家の事務所ではなく、他の税理士法人で2年半勤務しています。大手であり、就職に際しては、税理士2世であることも受け入れてくれ、勤務中の大学院(週末のみ通学)への通学も認めてくれるなど大変感謝しています。
しかし、以下の理由から他の事務所への転職を考えています。

1.業務内容の偏り
現在担当する業務内容の割合は、相続関連が8割、法人関連が2割となっており、相続税申告が中心です。
その一方で、法人関連の業務経験が薄く、消費税申告や年末調整は経験が皆無です。
自分が入社してから、事務所の方針として、法人の顧問は新規での受注はせず、相続税申告などの単発業務によりシフトしていく形に転換しており、希望しても法人に関する経験を積むことができません。
記帳代行や顧問業務などもバランスよく経験し、オールラウンドな対応ができる税理士になりたいとの思いがあります。

2.残業時間、離職者数
業務量が多いため、慢性的に残業が多い状態が続いています。
離職者も多く、3年以上勤務する人が少ない事務所のため、今後のキャリアが見通せません。
以上の理由より現在、転職を検討しています。
しかし、税理士2世であることが転職に際してマイナスになるため、どうすればよいか悩んでおります。
(大学生時代、ある事務所でのアルバイトの面接時に、二世であることを理由としてその場で不採用とされた経験があり、今でもトラウマを抱えています)
20代の間は、他の事務所で働きたいとの思いが強くあります。

Q.
このような状況ではありますが、転職者として受け入れて下さる事務所はあるでしょうか?
(地元では難しい場合、上京も視野に入れています)
先生のご助言を頂ければと思います。お忙しい中恐縮ですが、どうぞよろしくお願い致します。

A.
西日本に住んでおられるモモタロ様が、大阪に住んでいるなら受け入れてくれる事務所はあるでしょう。大阪(場合によっては福岡)以外なら採用する事務所はないかもしれません。

20代半ばで3科目持ち、大学院免除の有資格者だと、最初から経験を積んだらさっさと辞められるだろうと採用する側は思います。よく言えば合理的・厳しく言うと自己中心的な選択をしてきたからです。税理士の2世ならなおさらです。(実際、モモタロ様は将来は父の事務所を継ぐためにキャリアに積みたいと思っておられます)
大規模事務所以外ならノウハウだけでなく、お客様も持って行かれる危険性を感じて普通です。

人材育成には時間がかかります。最初は投資だと思って人は採用するのです。実際、当初2年くらいは人を採用すると赤字です。4年くらいいてくれないと投資コストは回収できません。
だから、税理士2世、なおかつ有資格の方を雇う事務所は限られるのです。

良い条件で内定を出すとしたら、
ノウハウを持っていかれても、信用があってお客様を持っていかれない大規模税理士法人やBIG4などかなり一部の税理士事務所に限られるのです。

これらの事務所では、これ以上資格取得のための勉強時間の確保が必要ない有資格者や3科目持ち以上の者は、長時間労働がさせやすく都合がいいのです。大規模事務所はワンフロアで大きなオフィスを必要とするので、オフィス賃料は高く、長時間・高付加価値労働をしてもらわないと困ります。
このため、長時間労働ができてある程度頭脳も優秀な人に高付加価値の業務をやってもらうのです。

ただし、長時間労働を続けさせると、このまま今の仕事を続ける将来が見えないので辞められるリスクは上がります。このため、辞められても問題がない業務や仕組みを大規模事務所は備えています。

BIG4で勤務しても、BIG4の信用がないし(規模やルートがないので)新しい情報のキャッチアップができないのでBIG4から独立しても国際業務を広げて行くのは困難です。
大手の資産税事務所で勤務してノウハウを手に入れても、金融機関や大企業に対する信用は個人の税理士では手に入らないので独立して資産税専門で事務所を拡大するのは困難です。
高付加価値業務である国際業務や資産税業務で優秀な人員を集め、誰が辞めても組織が拡大するようになっているのです。
他方で、一般的な事業会社の法人顧問だけでは高い給与・事務所家賃を払うことはできなくなってきています。

実際、モモタロ様の勤務している税理士法人はそれがわかっているから新規での法人受注をやめたのです。
長時間労働で3年以内の離職率が高くてもモモタロ様の勤務する大手税理士法人は今でも維持・拡大を続けているはずです。

日本の最大手クラスの税理士法人は、離職率が高く入社3年後には新人は誰も残らないと言われていて

トップの口グセは
「一人辞めたら二人採れ!」
 でした。
それでもその税理士法人は、今も拡大を続けています。
大手で経験を積みたいという、2世を含む税理士有資格者、3科目持ちが後を絶たないからです。

なお、資産税業務は、最近では急速な価格下げが都心部では始まっています。

資産税業務は、実はノウハウがあればかなり単純です。このため新規参入が続き、価格は急速に落ち続けます。この後は、資産税も生産力がある大手と、営業力のある大手の組織戦に移っていきます。この中で淘汰は続くでしょう。
国際業務も、国際的な信用が必要なグローバル企業の関連会社業務でBIG4でなければできないもの以外の競争が始まっています。この後は価格競争が起きるでしょう。

20年くらい前は、SPC業務は高付加価値の典型でした。高い給与、かっこいいオフィス…。
それが今やSPC業務は単純作業で価格も安く、大手による寡占が進み新規に参入するのは困難で働く人にも人気がない業務です。

30年くらい前までは、税理士は独立すれば事業を始めるお客様が勝手に来てくれて誰でも成功できる仕事でした。今では会社設立は、価格が極端に下がり、TOTALを含む数社による寡占化が進んで新規参入は簡単ではありません。

この後、過当競争が起きて、資産税・相続税申告も(簡単な)国際業務も価格が下がっていきます。
ただ、地方と首都圏では時代の進み方や情報に時間差があります。スケールも違うので、首都圏では色々な生き残りモデルがあります。

早めに父の地元に帰って一緒に働くか、自分で別に独立しても良いと個人的には思いますが転職が強い希望ということですので、モモタロ様が転職するなら、

給与・労働時間等の条件を下げて半ば丁稚だと思って地元で父の仕事を継ぐのに都合がいい仕事をさがすか、
首都圏・大阪等の大都市圏で、自分がやってみたい面白い仕事をやっている税理士事務所をさがすのか
あたりでしょうか。

ただ、どちらにせよ転職を成功させるには、自分の都合だけでなく、雇用する側から税理士2世の20代がどう見えるかという視点は持っておいた方が良いでしょう。

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税理士法人TOTALは、一般事業会社・法人も、起業(日本有数です)から中小、中堅企業、従業員数2000人規模の地元の優良企業まで、業種も絞り込まずに幅広く業務を行っています。

資産税も、小さな相続から大きな相続まで、
医療関連も、クリニックの開業から大規模社会医療法人まで
担当させていただいております。
国際業務もビザの申請、外国人の社長様対応はもちろん、最近では外国人スタッフの採用もはじめています。
普通は大規模税理士法人は得意な高付加価値業務に業務を絞り込んでいくのですが、あえて当初より今日に至るまで業務を絞っていません。

スタッフにも単一業務ではなく、適性に合わせてジョブローテンションで中期的に複数の業務を学んでいってもらう仕組みになっています。
時代の変化は早いです。時代がどうなっても、組織も、そこで働くスタッフも生き残っていかなければなりません。私はスタッフには70代になっても働き続けて欲しいと思っています。そのためには幅広い業務に総合的に取り組み、時代に合わせて変化していく必要があるのです。
社名を「TOTAL」にしているのはそういう意味です。

また、うちの基本理念は
  〜あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい〜
であり、私の人に対する姿勢は
  〜みんな違って、みんないい〜
です。

これが可能になるのは、高い技術開発力、優秀なスタッフ、そして時代に合わせて経営を続ける経営陣の不断の努力が必要となります。
また、利益を上げるにはかなりの事業規模が必要です(100人レベルでも苦しいです)。

これらの条件をそろえるのは簡単ではありません。このため、多くの事務所は途中から時代に合った高付加価値業務や、自分たちが得意とする特定の業務に絞り込むのです。
幸い、TOTALは、優秀なスタッフに恵まれ、スタッフも200人を超えてきて、当初私が目指していた最低1000人、できれば1万人の総合士業事務所への道を順調に進んでいます。

個人事業の開業から、先月末に20周年となりました。
今日まで支えてくれた多くのお客様、スタッフのみなさまにはあらためて感謝の言葉をお伝えしたいと思います。

ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。
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