2018年06月04日
30代前半既婚女性 不妊治療と税理士試験
税理士事務所 求人・採用・就職情報
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
「30代前半既婚女性 不妊治療と税理士試験」
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S様からのお問合せです。
■年齢 32歳
■性別 女性
■資格 日商簿記二級 FP技能士二級
■職歴 一般事務 2年
一般企業経理 1年
会計事務所 2年
■学歴 関関同立
■会計事務所経験
2年 10人以下個人事務所 正社員
年商1億規模程度の企業を担当、
月次の入力〜決算、解散・清算申告
総額3億程度の相続税申告、角地補正程度の不動産評価
■居住地 千葉県
■その他(特殊事情等)
既婚で現在不妊治療中です。
税理士になりたいのですが、専門学校や大学院に大金を払って通い始めた途端に妊娠してしまっては、試験や論文まで行き着かずに出産に突入してしまう可能性もあるので、子育てとの両立を考え踏み出せずにいます。
税理士を目指す理由としては、出産・子育てを経ても専門知識を活かし、長く働き続けたいというところです。
税理士業界が縮小傾向にあること、今や税理士資格を取ったからといって安泰ではないということは存じております。
ただ2年という短い会計事務所経験ではあるものの、税務の知識をもっと身につけたく、一生の仕事にしていきたいと感じ、また、税理士先生でないと信用されなかったり、大企業相手となると税理士でないと質問対応が出来ない場合もあるということから、やはり何年後になるかわからなくても資格を目指したいと思いました。
こちらで過去の質問内容を拝見し、やはり大学院で科目免除を狙うのが1番効率のいい方法ということで、大学院を視野に入れております。
そこで本題なのですが、
Q.
今後資格を取るとして、どのようなスケジュールが良いと思われますでしょうか。
3通り記載しましたが、他にも良いお考えがありましたらアドバイス頂けますと有難いです。
1.仕事、不妊治療を続けたまま大学院に入る。
妊娠したら休学して出産後に再開。
2.仕事をやめ(場合によってはアルバイトに切り替え)、不妊治療をしながら大学院に入る。
妊娠したら休学して出産後に再開。
3.今は仕事と不妊治療に専念し、出産後に状況を見て大学院入学を考える。
ただしいつ妊娠できるかわからない、何年もできない可能性もある。
A.
昨年 2017年の日本の特殊出生率は、1.43で2年連続減少、出生数は20世紀以後の最少で94万6060人だそうです。少子化の進行は、日本の最大の課題です。
====================
職住近接、状況に応じた働き方の許容、周囲の理解など税理士法人TOTALでは働きやすい環境を整えています。産休・育休を経て子育て中の主婦も多いですし(現在育休中のスタッフ10名、累計では延べ46名の方が育休を取得しています)、不妊治療に取り組んでいるスタッフもいます。幸い、TOTALでは少子化の影響は大きくありません。むしろ、子育てと仕事を両立したい優秀な女性に選んでいただいています。子育て中の女性が責任ある地位に就くことも増えてきました。より多くの企業、社会全体で子育てを支援していってもらいたいと思います。
ちなみに、我が家にも2人の子供がいます。2人とも反抗期で妻は少し手を焼いていますが、それでも「子は宝」です。2度とないこの時期を楽しみたいと思います。
====================
税理士資格を目指すメリットは、配偶者(夫)が転勤族の場合、どんな田舎でも税理士としての独立は可能ですし、税理士法人のパートナーとして支店を作ることもできます。そして医療系や資産税のような高付加価値で責任のある仕事は有資格者が有利ということがあげられます。
税理士資格を何がなんでも取りたい場合、
私の意見は上記のいずれでもなく、
『専門学校に2年程度通学して並行して不妊治療をする』
です。
税理士試験は暗記力と速記力が必要で若い方が有利な試験です。
加齢とともに科目合格率がきれいに下がります。
平成29年度 税理士試験科目合格率
20代前半 34.0%
20代後半 24.5%
30代前半 21.6%
30代後半 18.2%
40代以上 13.3%
実際には、試験をやめる人のことを考えると体感としては合格率はもっと極端に下がります。
大学院に先に通っても、税理士試験を2〜3科目合格しないといけないという事実は変わりありません。今よりも若い、受かりやすい年齢はありません。
子供は授かりもので、望んでもいつになるかはわかりません。試験について目途も立たないまま仕事をしながら不妊治療をするという 先が見えない強すぎるプレッシャーは必ずしも妊活にはプラスにならないような気がします。
おそらく、S様は真面目で勉強も嫌いではないでしょう。むしろ簿記論、財務諸表論の2科目受験程度なら楽しく勉強できるでしょう。
2年目は、消費税法、酒税法、固定資産税法のいずれか1科目(と前年不合格科目)を受験して、場合によっては妊娠すれば通学から通信に切り替えれば余り無駄にはならないでしょう。大学院進学と専門学校の通学では必要になる(無駄になりかねない)資金が一桁違います。
2年の会計事務所経験と、2科目程度の合格があれば、その後の会計事務所の就職は容易です。時短を含めて条件が合うところを探しましょう。
3科目合格後に、パート勤務、子育て、大学院通学の両立は可能です。もちろんあわただしいですが、先が見えて計算ができるし、2年間限定なので両立している主婦は少なくありません。
大学院は、千葉県の場合、自由度が高く週末中心の大学院も複数あり、今急がなくても後からでも特に問題ありません。年齢的にも30代後半はもとより40代でも支障はありません。
ただ、個人的には32歳になるまで勉強をしてこなかった主婦が、税理士資格を目指すべきかは何とも言えないと思っています。
子育ても大事なライフイベントで後からやり直しはできませんし、家事は女性が中心なのが日本社会の実情です。30代スタートなら税理士になるまでに大学院進学とあわせて順調でもどうしても4〜5年かかります。
速記と暗記と算数が得意で税理士試験の適性がある人や、学力が余っていて勉強が大好きな人なら別ですが、もしも税理士試験の適性が低いと自分のプライドのために30代〜40代という貴重な時期を浪費する危険性があります。50歳近くになって税理士になっても営業力が強くないと独立は現実的ではありませんし、仕事を続けた人に比べてキャリアも中途半端になるかもしれません。
私は30代になった女性には新規の受験は余り勧めていません。本人の意思は尊重しますし、入社以前に勉強が進んでいる方の受験や大学院進学は応援していますが…。
郊外の会計事務所は、事務所によっては比較的男女差別が少なく女性は資格がなくても重要な仕事やマネジメントをすることがあります(逆に言うと都心部の会計事務所は、高いオフィス賃料のため男性中心か、女性に独身男性並みの働き方を望むところが多くなっています)。子育てに理解がある郊外の安定した会計事務所に勤務するならあまり税理士資格を目指すメリットがないとも言えます。
もし、税理士資格を目指さない場合は、会計事務所、税理士法人選びはかなり重要になります。配偶者が転勤族でなければ、長く続きそうな事務所であることが必須です。今いる10人程度の個人事務所は所長の年齢によっては心配です。年金制度の改正・改悪を考えると自分が70歳まで働けるかどうかは考えてみてください。
配偶者が転勤族の場合は、他の事務所で使える技術を身につけて経験が積めるかどうか、何年か後に転勤しやすいかどうかは重要になります。S様の場合は、担当を持っているし相続税申告もしており、幅広い業務をしているので転職の際の評価は高いでしょう。
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税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
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■年齢 32歳
■性別 女性
■資格 日商簿記二級 FP技能士二級
■職歴 一般事務 2年
一般企業経理 1年
会計事務所 2年
■学歴 関関同立
■会計事務所経験
2年 10人以下個人事務所 正社員
年商1億規模程度の企業を担当、
月次の入力〜決算、解散・清算申告
総額3億程度の相続税申告、角地補正程度の不動産評価
■居住地 千葉県
■その他(特殊事情等)
既婚で現在不妊治療中です。
税理士になりたいのですが、専門学校や大学院に大金を払って通い始めた途端に妊娠してしまっては、試験や論文まで行き着かずに出産に突入してしまう可能性もあるので、子育てとの両立を考え踏み出せずにいます。
税理士を目指す理由としては、出産・子育てを経ても専門知識を活かし、長く働き続けたいというところです。
税理士業界が縮小傾向にあること、今や税理士資格を取ったからといって安泰ではないということは存じております。
ただ2年という短い会計事務所経験ではあるものの、税務の知識をもっと身につけたく、一生の仕事にしていきたいと感じ、また、税理士先生でないと信用されなかったり、大企業相手となると税理士でないと質問対応が出来ない場合もあるということから、やはり何年後になるかわからなくても資格を目指したいと思いました。
こちらで過去の質問内容を拝見し、やはり大学院で科目免除を狙うのが1番効率のいい方法ということで、大学院を視野に入れております。
そこで本題なのですが、
Q.
今後資格を取るとして、どのようなスケジュールが良いと思われますでしょうか。
3通り記載しましたが、他にも良いお考えがありましたらアドバイス頂けますと有難いです。
1.仕事、不妊治療を続けたまま大学院に入る。
妊娠したら休学して出産後に再開。
2.仕事をやめ(場合によってはアルバイトに切り替え)、不妊治療をしながら大学院に入る。
妊娠したら休学して出産後に再開。
3.今は仕事と不妊治療に専念し、出産後に状況を見て大学院入学を考える。
ただしいつ妊娠できるかわからない、何年もできない可能性もある。
A.
昨年 2017年の日本の特殊出生率は、1.43で2年連続減少、出生数は20世紀以後の最少で94万6060人だそうです。少子化の進行は、日本の最大の課題です。
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職住近接、状況に応じた働き方の許容、周囲の理解など税理士法人TOTALでは働きやすい環境を整えています。産休・育休を経て子育て中の主婦も多いですし(現在育休中のスタッフ10名、累計では延べ46名の方が育休を取得しています)、不妊治療に取り組んでいるスタッフもいます。幸い、TOTALでは少子化の影響は大きくありません。むしろ、子育てと仕事を両立したい優秀な女性に選んでいただいています。子育て中の女性が責任ある地位に就くことも増えてきました。より多くの企業、社会全体で子育てを支援していってもらいたいと思います。
ちなみに、我が家にも2人の子供がいます。2人とも反抗期で妻は少し手を焼いていますが、それでも「子は宝」です。2度とないこの時期を楽しみたいと思います。
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税理士資格を目指すメリットは、配偶者(夫)が転勤族の場合、どんな田舎でも税理士としての独立は可能ですし、税理士法人のパートナーとして支店を作ることもできます。そして医療系や資産税のような高付加価値で責任のある仕事は有資格者が有利ということがあげられます。
税理士資格を何がなんでも取りたい場合、
私の意見は上記のいずれでもなく、
『専門学校に2年程度通学して並行して不妊治療をする』
です。
税理士試験は暗記力と速記力が必要で若い方が有利な試験です。
加齢とともに科目合格率がきれいに下がります。
平成29年度 税理士試験科目合格率
20代前半 34.0%
20代後半 24.5%
30代前半 21.6%
30代後半 18.2%
40代以上 13.3%
実際には、試験をやめる人のことを考えると体感としては合格率はもっと極端に下がります。
大学院に先に通っても、税理士試験を2〜3科目合格しないといけないという事実は変わりありません。今よりも若い、受かりやすい年齢はありません。
子供は授かりもので、望んでもいつになるかはわかりません。試験について目途も立たないまま仕事をしながら不妊治療をするという 先が見えない強すぎるプレッシャーは必ずしも妊活にはプラスにならないような気がします。
おそらく、S様は真面目で勉強も嫌いではないでしょう。むしろ簿記論、財務諸表論の2科目受験程度なら楽しく勉強できるでしょう。
2年目は、消費税法、酒税法、固定資産税法のいずれか1科目(と前年不合格科目)を受験して、場合によっては妊娠すれば通学から通信に切り替えれば余り無駄にはならないでしょう。大学院進学と専門学校の通学では必要になる(無駄になりかねない)資金が一桁違います。
2年の会計事務所経験と、2科目程度の合格があれば、その後の会計事務所の就職は容易です。時短を含めて条件が合うところを探しましょう。
3科目合格後に、パート勤務、子育て、大学院通学の両立は可能です。もちろんあわただしいですが、先が見えて計算ができるし、2年間限定なので両立している主婦は少なくありません。
大学院は、千葉県の場合、自由度が高く週末中心の大学院も複数あり、今急がなくても後からでも特に問題ありません。年齢的にも30代後半はもとより40代でも支障はありません。
ただ、個人的には32歳になるまで勉強をしてこなかった主婦が、税理士資格を目指すべきかは何とも言えないと思っています。
子育ても大事なライフイベントで後からやり直しはできませんし、家事は女性が中心なのが日本社会の実情です。30代スタートなら税理士になるまでに大学院進学とあわせて順調でもどうしても4〜5年かかります。
速記と暗記と算数が得意で税理士試験の適性がある人や、学力が余っていて勉強が大好きな人なら別ですが、もしも税理士試験の適性が低いと自分のプライドのために30代〜40代という貴重な時期を浪費する危険性があります。50歳近くになって税理士になっても営業力が強くないと独立は現実的ではありませんし、仕事を続けた人に比べてキャリアも中途半端になるかもしれません。
私は30代になった女性には新規の受験は余り勧めていません。本人の意思は尊重しますし、入社以前に勉強が進んでいる方の受験や大学院進学は応援していますが…。
郊外の会計事務所は、事務所によっては比較的男女差別が少なく女性は資格がなくても重要な仕事やマネジメントをすることがあります(逆に言うと都心部の会計事務所は、高いオフィス賃料のため男性中心か、女性に独身男性並みの働き方を望むところが多くなっています)。子育てに理解がある郊外の安定した会計事務所に勤務するならあまり税理士資格を目指すメリットがないとも言えます。
もし、税理士資格を目指さない場合は、会計事務所、税理士法人選びはかなり重要になります。配偶者が転勤族でなければ、長く続きそうな事務所であることが必須です。今いる10人程度の個人事務所は所長の年齢によっては心配です。年金制度の改正・改悪を考えると自分が70歳まで働けるかどうかは考えてみてください。
配偶者が転勤族の場合は、他の事務所で使える技術を身につけて経験が積めるかどうか、何年か後に転勤しやすいかどうかは重要になります。S様の場合は、担当を持っているし相続税申告もしており、幅広い業務をしているので転職の際の評価は高いでしょう。
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