2016年10月02日
税理士2世の就職、経歴詐称と解雇
税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
新たなご質問はここをクリック
2世様からのお問合せです。
■年齢 33歳
■性別 男性
■資格 税理士(簿記・財表・消費・法人・固定資産税)
AFP
■職歴 中規模会計事務所2か月
小規模会計事務所正社員4年
■学歴 中堅私大
■会計事務所経験 正社員4年2か月
■居住地 東京23区外
■その他 父親(63歳)が経営している個人会計事務所
はじめまして、先生のブログをいつも拝見し、参考にさせていただいております。
現在、23区外の市内において父親が経営する会計事務所で4年働いています。
小規模(社員3名)なため、基本的には領収書整理から記帳代行業務、法人個人の確定申告・年末調整・給与計算などの仕事は経験できました。しかし、相続税についてはまったく仕事が入ってこず、また顧問先も増えず、お客様の業種についてもあまり幅は広くありません。自分の担当は12件ほどしかなく、今後の先細りを心配しています。
税理士試験には、去年ようやく官報合格し今年の3月に税理士登録を行い、4月から広く知識つけるためAFPを勉強し取得しました。
正直、このまま実家の会計事務所にだけ居続けて仕事を引き継ぐだけで、やっていけるのかという不安を最近感じております。
Q.1
転職をし、もう少し幅広い業種・業務を経験できる事務所に2〜3年以上修行に行きたいと考えておりますが、2世の税理士登録者という点で他の会計事務所に就職は可能でしょうか?
Q.2
顧問先を奪うというつもりはありませんが、2世であることで敬遠されそうならば、そもそも2世であること(親の職業)自体を隠して就職活動するということも考えてますが、ばれたときに(何か理由をつけて)解雇されたりするリスクはございますか?
もしくはそういうことがあったなどの噂を耳にされたことはございますか?
大変失礼な質問になっていたら申し訳ございません。よろしくお願いいたします。
A.1
就職は可能です。
税理士2世を採用するかどうかは、税理士事務所・税理士法人次第です。
もちろん、お客様の持ち逃げや、腰掛けで短期で辞められるリスクをおそれて採用しない事務所もあります。
一方で、向上心を持ってまじめに取り組む姿勢を買う事務所もあります。
一般論では意味がないので、興味がある税理士事務所に応募するしかありません。
=============
税理士法人TOTALでは、現在、親または配偶者が税理士の方は9名在籍しています。
そのうち3名は税理士・有資格者です。
税理士法人TOTALを退職して、親元に帰って継いだ税理士、他の税理士法人に転職して修業中の2世税理士もいます。中には一部お客様を引き継いでもらった税理士もいます。
=============
A.2
お父さんの税理士事務所は個人事務所ですから、事務所名と自分の姓が同姓で、正しく書いたら親子関係についてばれます。
履歴書に嘘を書いたり、虚偽の説明をしたら明らかな経歴詐称になります。
専門職の基幹部分の職歴ですから、重要な経歴の詐称で故意性も強いし、法律的にも完全な解雇事由です。
そもそも、ばれたらその事務所には長くはいられないでしょうね。
平気で嘘をつくような人を部下に持ちたい税理士はいません。
ちなみに、私は面接で、
高校の部活動について嘘を言った応募者に
その場で面接を中止して帰ってもらったことがあります。
いたこともないサッカー部に在籍したと嘘をついていました。
(たまたまその高校のサッカー部に当社の従業員がいました)
天網恢恢疎にして漏らさず
税理士と言う仕事は、他人の大事なお金を扱う仕事です。
信頼関係が大事です。
それゆえ、不正には厳しい仕事です。
きつい言い方になりますが、2世様も税理士ならそのくらいの職業意識は持ってもらいたいものです。
個人的には、転職はおすすめしません。
業歴が4年以上あって、一通りのことをしてきたなら自分の力で技術を磨いていけるはずです。
勤務先での特殊業務は、その事務所の営業力に依存するので2世の方にとってはあまり役に立ちません。
SPCの事務所出身者が、開業してSPC業務を受託することもないでしょうし、
資産税事務所出身者が、大手税理士法人を退職して自分の力でいきなり銀行から大口案件を受託することもありません。
相続税は年に1件も申告しない税理士の方が多いし、資産税中心の税理士事務所はあまりありません。
2世様の問題点は、営業力のなさではないでしょうか。
税理士は、お父様の時代は営業力がなくても仕事が来ました。
私の恩師は
「昔は、朝、事務所を開けると勝手に知らないお客様が何人も並んでいた」
と言っておられました。
今は、税理士業界も普通の産業です。
勉強したから、資格があるから、仕事ができるからといって
お客様が増えるわけではありません。
営業力は他の税理士事務所に勤務しても、なかなか磨けません。
自分で自分の営業スタイルを身に着けるしかありません。
=============
私は、県内有数の事務所や都内の安定した事務所で5年修業して業務は普通にできました。
開業当初、銀行に飛び込み営業をして初日で挫折しました。
初年度の売り上げは、コネ・紹介の60万円のみ。
それでも3年目には営業が何となくわかってきました。
今は私の頃より営業は難しいかもしれませんね。
全員が開業を成功させられるとは言えない時代です。
それでも、税理士法人TOTAL出身の税理士が、
一度独立開業した後、勤務に戻ったという話は今のところ聞いていません。
苦労して頑張っている人もいますが、マイペースでのんびりした独立でよければ何とかなっているのかあなと思っています。
(勤務の方が向いていて、勤務のままの税理士は、社内外ともに多いのが実情です)
=============
※なお、この件に関するコメントは下記のコメント欄をご利用ください。
新規のご質問はここをクリック してください。
インターネットで顔が見えない方に適切な回答をするために、 質問の書式にご協力いただけると幸いです。 情報が不足する場合には回答できないことがあることはご留意ください。
また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。
ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。
「過去の質問」はこちら
記事の無断コピーや一部利用は著作権侵害で違法です。
記事を商業利用するには、高橋寿克の事前の明示許諾が必要です。
商業利用(おまとめサイト等を含む)は原則として有料になります。
利用料の金額等、詳しくは税理士法人TOTALまでお問い合わせください。
また、違法なコピーを発見した方は通報いただけると幸いです。
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
新たなご質問はここをクリック
2世様からのお問合せです。
■年齢 33歳
■性別 男性
■資格 税理士(簿記・財表・消費・法人・固定資産税)
AFP
■職歴 中規模会計事務所2か月
小規模会計事務所正社員4年
■学歴 中堅私大
■会計事務所経験 正社員4年2か月
■居住地 東京23区外
■その他 父親(63歳)が経営している個人会計事務所
はじめまして、先生のブログをいつも拝見し、参考にさせていただいております。
現在、23区外の市内において父親が経営する会計事務所で4年働いています。
小規模(社員3名)なため、基本的には領収書整理から記帳代行業務、法人個人の確定申告・年末調整・給与計算などの仕事は経験できました。しかし、相続税についてはまったく仕事が入ってこず、また顧問先も増えず、お客様の業種についてもあまり幅は広くありません。自分の担当は12件ほどしかなく、今後の先細りを心配しています。
税理士試験には、去年ようやく官報合格し今年の3月に税理士登録を行い、4月から広く知識つけるためAFPを勉強し取得しました。
正直、このまま実家の会計事務所にだけ居続けて仕事を引き継ぐだけで、やっていけるのかという不安を最近感じております。
Q.1
転職をし、もう少し幅広い業種・業務を経験できる事務所に2〜3年以上修行に行きたいと考えておりますが、2世の税理士登録者という点で他の会計事務所に就職は可能でしょうか?
Q.2
顧問先を奪うというつもりはありませんが、2世であることで敬遠されそうならば、そもそも2世であること(親の職業)自体を隠して就職活動するということも考えてますが、ばれたときに(何か理由をつけて)解雇されたりするリスクはございますか?
もしくはそういうことがあったなどの噂を耳にされたことはございますか?
大変失礼な質問になっていたら申し訳ございません。よろしくお願いいたします。
A.1
就職は可能です。
税理士2世を採用するかどうかは、税理士事務所・税理士法人次第です。
もちろん、お客様の持ち逃げや、腰掛けで短期で辞められるリスクをおそれて採用しない事務所もあります。
一方で、向上心を持ってまじめに取り組む姿勢を買う事務所もあります。
一般論では意味がないので、興味がある税理士事務所に応募するしかありません。
=============
税理士法人TOTALでは、現在、親または配偶者が税理士の方は9名在籍しています。
そのうち3名は税理士・有資格者です。
税理士法人TOTALを退職して、親元に帰って継いだ税理士、他の税理士法人に転職して修業中の2世税理士もいます。中には一部お客様を引き継いでもらった税理士もいます。
=============
A.2
お父さんの税理士事務所は個人事務所ですから、事務所名と自分の姓が同姓で、正しく書いたら親子関係についてばれます。
履歴書に嘘を書いたり、虚偽の説明をしたら明らかな経歴詐称になります。
専門職の基幹部分の職歴ですから、重要な経歴の詐称で故意性も強いし、法律的にも完全な解雇事由です。
そもそも、ばれたらその事務所には長くはいられないでしょうね。
平気で嘘をつくような人を部下に持ちたい税理士はいません。
ちなみに、私は面接で、
高校の部活動について嘘を言った応募者に
その場で面接を中止して帰ってもらったことがあります。
いたこともないサッカー部に在籍したと嘘をついていました。
(たまたまその高校のサッカー部に当社の従業員がいました)
天網恢恢疎にして漏らさず
税理士と言う仕事は、他人の大事なお金を扱う仕事です。
信頼関係が大事です。
それゆえ、不正には厳しい仕事です。
きつい言い方になりますが、2世様も税理士ならそのくらいの職業意識は持ってもらいたいものです。
個人的には、転職はおすすめしません。
業歴が4年以上あって、一通りのことをしてきたなら自分の力で技術を磨いていけるはずです。
勤務先での特殊業務は、その事務所の営業力に依存するので2世の方にとってはあまり役に立ちません。
SPCの事務所出身者が、開業してSPC業務を受託することもないでしょうし、
資産税事務所出身者が、大手税理士法人を退職して自分の力でいきなり銀行から大口案件を受託することもありません。
相続税は年に1件も申告しない税理士の方が多いし、資産税中心の税理士事務所はあまりありません。
2世様の問題点は、営業力のなさではないでしょうか。
税理士は、お父様の時代は営業力がなくても仕事が来ました。
私の恩師は
「昔は、朝、事務所を開けると勝手に知らないお客様が何人も並んでいた」
と言っておられました。
今は、税理士業界も普通の産業です。
勉強したから、資格があるから、仕事ができるからといって
お客様が増えるわけではありません。
営業力は他の税理士事務所に勤務しても、なかなか磨けません。
自分で自分の営業スタイルを身に着けるしかありません。
=============
私は、県内有数の事務所や都内の安定した事務所で5年修業して業務は普通にできました。
開業当初、銀行に飛び込み営業をして初日で挫折しました。
初年度の売り上げは、コネ・紹介の60万円のみ。
それでも3年目には営業が何となくわかってきました。
今は私の頃より営業は難しいかもしれませんね。
全員が開業を成功させられるとは言えない時代です。
それでも、税理士法人TOTAL出身の税理士が、
一度独立開業した後、勤務に戻ったという話は今のところ聞いていません。
苦労して頑張っている人もいますが、マイペースでのんびりした独立でよければ何とかなっているのかあなと思っています。
(勤務の方が向いていて、勤務のままの税理士は、社内外ともに多いのが実情です)
=============
※なお、この件に関するコメントは下記のコメント欄をご利用ください。
新規のご質問はここをクリック してください。
インターネットで顔が見えない方に適切な回答をするために、 質問の書式にご協力いただけると幸いです。 情報が不足する場合には回答できないことがあることはご留意ください。
また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。
ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。
「過去の質問」はこちら
記事の無断コピーや一部利用は著作権侵害で違法です。
記事を商業利用するには、高橋寿克の事前の明示許諾が必要です。
商業利用(おまとめサイト等を含む)は原則として有料になります。
利用料の金額等、詳しくは税理士法人TOTALまでお問い合わせください。
また、違法なコピーを発見した方は通報いただけると幸いです。