2016年02月14日
大学院進学後中退者の税理士法人への就活
税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
4月に向けて、採用活動を強化しています。
特に秋葉原、池袋、船橋駅前では人が足りません。
それ以外の本部も含めて、
いつでもご応募お待ちしています。
ご質問はここをクリック
たろう様からのお問合せです。
■年齢 23歳
■性別 男
■資格 簿記論・財表・消費税法
■職歴 なし
■学歴 国立文系卒(偏差値60程度)
■会計事務所経験 なし
■居住地 関西圏
始めまして。厳しい答えでも構いません。
大学在学中から税理士を目指し、簿財消の3科目に合格しました。大学卒業後は、税法免除を目的として、税法の教員のいる会計専門職大学院に進学しました。(現在1年次在学中です)
しかし、入学後、様々なハードルがあり、修士論文の作成による税法免除を諦めることとなりました。
理由としては以下の点があります。
・会計専門職大学院であるため、修士論文の作成が大学院の修了要件でないこと
・そのため、税法免除を大学院が想定しておらず、修士論文作成の適切な指導が受けられないこと
・過去にも多くの税理士志望の学生が論文作成を諦めていること
現在は、税法2科目(法人税法と国税徴収法)を勉強して、今年の試験での合格を目指しています。試験の辛さから安易に大学院免除に逃れた過去の自分や大学院選びを真剣に考えず、適当に決めてしまったことを大変後悔しています。
進学した以上は、大学院を修了しようと考えてきましたが、税法2科目の勉強と税理士試験に直結しない大学院の授業との両立に限界を感じています。そのため、中退して、8月まで受験専念してから、税理士法人に就職することを考えています。
(今年の試験で合格しなかった場合の怖さやプレッシャーもありますし、大学時代の友人が既に社会に出て働いていることにも焦りを感じています。)
Q.1
大学院の中退(新卒切符を捨てること)は就活に大きくマイナスでしょうか?
Q.2
23歳、簿財消合格済みの税理士業界の就活における価値はどの程度でしょうか?
よろしくお願いします。
A.1
一般企業への就職を考える場合は、おそらく大きなマイナスでしょう。
きちんとものごとをやり遂げられない、事前に調べて論理的な判断をすることができないという評価をされるかもしれません(総合職に求められる資質です)。
新卒切符を捨てることは、新卒一括採用を行っていて、プロパー優先で中途採用や敗者復活戦が少ない大企業にとっては大きなチャンスを失うことを意味します。
税理士業界では全く問題ありません。
新卒でそのまま大学院に進学する人を、
試験の辛さから安易に大学院免除に逃れ、
世の中をなめていると嫌う傾向がある業界です。
新卒から大学院に進んで免除を受けた人をプラス評価するのは、
激務で勉強をさせられないし、大企業相手でお客様との接点が少ないために挫折経験が要らない
BIG4(4大税理士法人)や監査法人系準大手税理士法人くらいでしょう。
大学院免除よりは、
税理士試験を真面目に勉強して合格を目指す人を高く評価する税理士法人・税理士事務所の方が多いと思います。
=============
税理士法人TOTALでも、新卒大学院進学直行組よりは、学部卒3科目の人を評価します。
新卒大学院進学での免除者は、他の会計事務所の経験をした方を採用することが多いのが実情です。
(1カ所目の会計事務所で比較的短期間で挫折してくる方も多いのですが、うちでは幸いにして頑張ってくれています)
順調に24歳で免除を受けて独立しても、20代半ばではお客様に選んでもらえません。
大学院免除を受けても、いずれ法人税・消費税・所得税・相続税の勉強をしないわけにはいきません。
それなら若いうちに少し苦しんだり挫折した方が、人を大きくし、中小企業の社長をお客様にする税理士業界には意味があると私は考えています。
もっとも、働きながら税理士試験が受からない年が何年も続いたら、大学院免除を受けることには反対しません。
税理士法人TOTALの場合、働きながら大学院に通学している人も多く、
どこの大学院が税法免除にどれくらい積極的か、どのくらい楽なのかといった情報は豊富です。
(さすがにインターネットには書きませんが)
30代のスタッフの中には、選抜の上、全額学費負担をしているケースもあります。
大学院進学は、あくまでも税理士資格を取るための手段だと割り切れればいいのですが、
面白い( ≒ 厳しい)授業とか、MBAで箔付けとか、もしかしたら公認会計士試験一部免除もとか
欲張ると、仕事との両立に苦しむことになります。
税理士法人TOTALは大学院進学者はいまのところ全員免除に成功していますが、
他の会計事務所の幹部の方の中には、
働きながら大学院免除を狙っていたのに論文が認められず免除を受けられなかった人もおられるとお聞きしているので注意は必要です(忙しすぎたせいかもしれませんが)。
=============
A.2
税理士業界は、ここ数年、受験生の恒常的な減少に伴う人不足に悩まされています。
23〜24歳で3科目持ち法人税法既習なら、スペック的には、BIG4を含むかなり多くの税理士法人で高評価です。
逆に、たろう様を評価しない税理士法人は、
(1)勉強を推奨しない税理士法人
従業員10人に1人も税理士がいないところは疑った方が良いでしょう。
税理士の数は、日税連のHPで確認できます。
「税理士 検索」でページを出して
https://www.zeirishikensaku.jp/sch/zs_sch0.asp
「条件を指定して検索したい場合」の「税理士」を選択
https://www.zeirishikensaku.jp/sch/zs_sch3.asp
「事務所名」に就職希望会計事務所を入れればすべて出てきます。
(なお、ここでは登録していないいわゆる「税理士有資格者」は検索できません)
(2)家族経営の税理士法人
税理士は代表者親子や夫婦だけ、法人とは名ばかりで資格を取ったら出ていってほしいと思っている場合はすぐに有資格者になる人は採用したくないでしょう。
従業員の人数の割に、男性税理士は代表者と同姓の人しかいなければこのパターンです。
(女性は結婚して別姓もありえます)
(3)会計事務所未経験者を育てられない税理士法人
・社会保険に最初2〜3か月は加入させない
育たないで辞められる or 育てないで辞めさせる
・やたらと会計事務所経験者ばかり取っているところ。
採用ページが経験者歓迎を押し過ぎている
スタッフ紹介で「会計事務所勤務を経て入所」の人が多すぎる、
今年の試験で合格するつもりで、一生懸命勉強することはもちろん大事です。
でも、実際にはそんなに楽ではありませんし、ここで合格できなくても数年後でもそれこそ再度(今度は免除が楽な)大学院に進学すれば税理士に成れることは確定的です。
焦りもわかりますが、税理士業界では年齢的にも税理士試験の進捗的にも、たろう様か最も若くて順調な部類に属します。
今夏の税理士試験の
出来が良ければ,BIG4のような、新卒教育をして鍛えてくれる税理士法人でも良いですし
出来が良くなければ、落ち着いて勉強出来る環境がある税理士法人に就職することもできるでしょう。
もちろん、この機会に、関西を飛び出して、関東で働く選択だってかまいません。
まずは、税理士試験の合格目指して頑張ってください。
※なお、この件に関するコメントは下記のコメント欄をご利用ください。
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税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
4月に向けて、採用活動を強化しています。
特に秋葉原、池袋、船橋駅前では人が足りません。
それ以外の本部も含めて、
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たろう様からのお問合せです。
■年齢 23歳
■性別 男
■資格 簿記論・財表・消費税法
■職歴 なし
■学歴 国立文系卒(偏差値60程度)
■会計事務所経験 なし
■居住地 関西圏
始めまして。厳しい答えでも構いません。
大学在学中から税理士を目指し、簿財消の3科目に合格しました。大学卒業後は、税法免除を目的として、税法の教員のいる会計専門職大学院に進学しました。(現在1年次在学中です)
しかし、入学後、様々なハードルがあり、修士論文の作成による税法免除を諦めることとなりました。
理由としては以下の点があります。
・会計専門職大学院であるため、修士論文の作成が大学院の修了要件でないこと
・そのため、税法免除を大学院が想定しておらず、修士論文作成の適切な指導が受けられないこと
・過去にも多くの税理士志望の学生が論文作成を諦めていること
現在は、税法2科目(法人税法と国税徴収法)を勉強して、今年の試験での合格を目指しています。試験の辛さから安易に大学院免除に逃れた過去の自分や大学院選びを真剣に考えず、適当に決めてしまったことを大変後悔しています。
進学した以上は、大学院を修了しようと考えてきましたが、税法2科目の勉強と税理士試験に直結しない大学院の授業との両立に限界を感じています。そのため、中退して、8月まで受験専念してから、税理士法人に就職することを考えています。
(今年の試験で合格しなかった場合の怖さやプレッシャーもありますし、大学時代の友人が既に社会に出て働いていることにも焦りを感じています。)
Q.1
大学院の中退(新卒切符を捨てること)は就活に大きくマイナスでしょうか?
Q.2
23歳、簿財消合格済みの税理士業界の就活における価値はどの程度でしょうか?
よろしくお願いします。
A.1
一般企業への就職を考える場合は、おそらく大きなマイナスでしょう。
きちんとものごとをやり遂げられない、事前に調べて論理的な判断をすることができないという評価をされるかもしれません(総合職に求められる資質です)。
新卒切符を捨てることは、新卒一括採用を行っていて、プロパー優先で中途採用や敗者復活戦が少ない大企業にとっては大きなチャンスを失うことを意味します。
税理士業界では全く問題ありません。
新卒でそのまま大学院に進学する人を、
試験の辛さから安易に大学院免除に逃れ、
世の中をなめていると嫌う傾向がある業界です。
新卒から大学院に進んで免除を受けた人をプラス評価するのは、
激務で勉強をさせられないし、大企業相手でお客様との接点が少ないために挫折経験が要らない
BIG4(4大税理士法人)や監査法人系準大手税理士法人くらいでしょう。
大学院免除よりは、
税理士試験を真面目に勉強して合格を目指す人を高く評価する税理士法人・税理士事務所の方が多いと思います。
=============
税理士法人TOTALでも、新卒大学院進学直行組よりは、学部卒3科目の人を評価します。
新卒大学院進学での免除者は、他の会計事務所の経験をした方を採用することが多いのが実情です。
(1カ所目の会計事務所で比較的短期間で挫折してくる方も多いのですが、うちでは幸いにして頑張ってくれています)
順調に24歳で免除を受けて独立しても、20代半ばではお客様に選んでもらえません。
大学院免除を受けても、いずれ法人税・消費税・所得税・相続税の勉強をしないわけにはいきません。
それなら若いうちに少し苦しんだり挫折した方が、人を大きくし、中小企業の社長をお客様にする税理士業界には意味があると私は考えています。
もっとも、働きながら税理士試験が受からない年が何年も続いたら、大学院免除を受けることには反対しません。
税理士法人TOTALの場合、働きながら大学院に通学している人も多く、
どこの大学院が税法免除にどれくらい積極的か、どのくらい楽なのかといった情報は豊富です。
(さすがにインターネットには書きませんが)
30代のスタッフの中には、選抜の上、全額学費負担をしているケースもあります。
大学院進学は、あくまでも税理士資格を取るための手段だと割り切れればいいのですが、
面白い( ≒ 厳しい)授業とか、MBAで箔付けとか、もしかしたら公認会計士試験一部免除もとか
欲張ると、仕事との両立に苦しむことになります。
税理士法人TOTALは大学院進学者はいまのところ全員免除に成功していますが、
他の会計事務所の幹部の方の中には、
働きながら大学院免除を狙っていたのに論文が認められず免除を受けられなかった人もおられるとお聞きしているので注意は必要です(忙しすぎたせいかもしれませんが)。
=============
A.2
税理士業界は、ここ数年、受験生の恒常的な減少に伴う人不足に悩まされています。
23〜24歳で3科目持ち法人税法既習なら、スペック的には、BIG4を含むかなり多くの税理士法人で高評価です。
逆に、たろう様を評価しない税理士法人は、
(1)勉強を推奨しない税理士法人
従業員10人に1人も税理士がいないところは疑った方が良いでしょう。
税理士の数は、日税連のHPで確認できます。
「税理士 検索」でページを出して
https://www.zeirishikensaku.jp/sch/zs_sch0.asp
「条件を指定して検索したい場合」の「税理士」を選択
https://www.zeirishikensaku.jp/sch/zs_sch3.asp
「事務所名」に就職希望会計事務所を入れればすべて出てきます。
(なお、ここでは登録していないいわゆる「税理士有資格者」は検索できません)
(2)家族経営の税理士法人
税理士は代表者親子や夫婦だけ、法人とは名ばかりで資格を取ったら出ていってほしいと思っている場合はすぐに有資格者になる人は採用したくないでしょう。
従業員の人数の割に、男性税理士は代表者と同姓の人しかいなければこのパターンです。
(女性は結婚して別姓もありえます)
(3)会計事務所未経験者を育てられない税理士法人
・社会保険に最初2〜3か月は加入させない
育たないで辞められる or 育てないで辞めさせる
・やたらと会計事務所経験者ばかり取っているところ。
採用ページが経験者歓迎を押し過ぎている
スタッフ紹介で「会計事務所勤務を経て入所」の人が多すぎる、
今年の試験で合格するつもりで、一生懸命勉強することはもちろん大事です。
でも、実際にはそんなに楽ではありませんし、ここで合格できなくても数年後でもそれこそ再度(今度は免除が楽な)大学院に進学すれば税理士に成れることは確定的です。
焦りもわかりますが、税理士業界では年齢的にも税理士試験の進捗的にも、たろう様か最も若くて順調な部類に属します。
今夏の税理士試験の
出来が良ければ,BIG4のような、新卒教育をして鍛えてくれる税理士法人でも良いですし
出来が良くなければ、落ち着いて勉強出来る環境がある税理士法人に就職することもできるでしょう。
もちろん、この機会に、関西を飛び出して、関東で働く選択だってかまいません。
まずは、税理士試験の合格目指して頑張ってください。
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