2016年02月14日

資産税専門国税職員の税理士事務所就職

税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。


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きよのすけ様からのお問合せです。
■年齢 40〜50代??
■性別 男性
■資格 税理士有資格
■職歴 国税職員 20年以上

ご意見を賜りたく存じます。

現役の国税職員ですが、税理士資格を有しています。
20年以上税務に携わっていますが、資産税の経験しかございません。
しかしながら、資産税一般実務、資産評価、税務訴訟及び国際資産税等、すべての資産税業務を経験しており、各分野で研修等の講師も務めたことがございます。

Q.
スキルや経験に偏りがありますが、ニーズはございますか。
なお、得意分野は、税務訴訟及び国際資産税実務です。

A.
税理士は、75000人以上いますが、
私のように税理士試験で合格する人(45.7%)と並んで、
試験免除者・税務署等出身特別試験合格者(41.9%)が多く、
その他は、 、公認会計士や弁護士などとなっています。

税務署出身者は、特別試験合格者はもちろん、
試験免除者も多く、税理士試験合格者に次ぐ勢力になっています。
税務署に23年以上勤務して一定の研修を受けると、税理士資格が自動的に付与されます。

税務署職員は、以前は定年の2年くらい前に退官するのが普通で、
退職金代わりに一定の法人顧客を税務署・国税局の退職の際に斡旋されていました。
「お2階さん(2階建て)を受け入れた優良申告法人には、厳しい税務調査はない」
 とか
「税務署出身者は税務調査が来にくい」
などと、当時は言われていました。
元署長・副署長を顧問税理士にしておけば税務調査が甘いというのでは税務行政の公平性に問題があります。
国会審議で天下りの一種として大問題になり、現在では斡旋が行われることはなくなりました。
(最近では、法人会ですら税務署長等との接触が減っています)

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私の勤務時代には、「お2階さん」と呼ばれる元税務署長の税理士が、私たちが作った申告書に はんこ だけ押しに来ていました。
また、独立した後も、地元の農協(JA)の顧問税理士になった元税務署長から、相続について聞かれたりしました。

(税務署長にまで出世なさる方は、国税局の税務調査で法人畑で結果を残された人が多く資産税出身者は少ないし、管理職として総務・管理が長く、税務実務からは離れていたのでやむをえませんが実務は苦手な人も多いようです)

昔は、盆暮れに税務署にビール券を持ち込む社長も多く、署内での飲み会に連日使われていたとお聞きしました。

いまではちょっと考えにくいことが行われていた時代もあったようです。
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今でも国税局OBの神通力に期待する悪質な脱税者もいるでしょうが、残念ながら?都市伝説に過ぎません。
元国税局長!(現場出身の最高ポストです)が脱税で逮捕されたり、
一昨年はマルサOBで元大規模署税務署長もラブホテル脱税で起訴されています。
昨年も、ネットで「節税」を売りにして集客していた元国税OBの税理士が、出会い系サイトの大規模脱税で摘発されています。
毎年国税OBが複数名逮捕・起訴されている状況です。架空のコンサルタント料の計上や、資料作成を主導、現役職員に賄賂をおくるなど、ずさんで悪質と言われても仕方がない脱税を行っていたようですが…。
これらを見る限り、少なくとも、税務署出身者だからといって、税務調査での手加減はなさそうです。
税務行政は、役所の中でもコンプライアンスを重視してかなり公平に行われているといってよいと思います。今後もその傾向は強まっていくでしょう。

斡旋がなくなった最近では、独立しても集客が難しいため税務署出身者の税理士登録は急速に減っています。
(代わって、大学院免除者の税理士登録が増えています)
税務署に定年まで残る人が普通になり、さらに定年後も年金の支給年齢の引き上げに伴い、勤務日数を減らして税務署で働く いわゆる「再任用」の方も増えています。
再任用には、元 特別国税調査官(特官)の腕が立つ人もいて、税務調査の現場でも目が笑っていなくてなかなか手ごわいし、勉強にもなります。

顔が利かなくても、税務署出身者の税理士には、
税務調査の経験が多く、事実認定の加減や税務行政の流れを知っているという職人としての価値・強みがあります。

(最近では、「税務調査に強い」とインターネットで売り出している若手税理士もいますが、率直に言ってかなり実力不足な方も多いように思います。
参照) 「税理士は、税務に関する法律家」
実務経験がものをいう職人技の世界で、さすがに若手でネット営業している人にはきびしいものがあります)



経験や勘で仕事をなさる税務職員も多いので、
訴訟や審判に耐えられる知識・経験があり、きちんと条文が読めて論理的に物事を考えられるきよのすけ様のような税務職員は貴少でしょう(税務署出身でなくても、得意な税理士は少ないのが実情です)。
さらに、需要が増えている資産税・国際課税に強い税務署出身者は、税理士法人でも引く手あまたでしょう。

なお、税務署の人事は、法人担当は法人税調査ばかり、資産税の人間は資産税ばかりなど偏るのが一般的ですよね。今までは、税理士業務は法人税の申告がメインだったので資産税に偏っているのは不利でした。
昨年の相続税法の改正により、需要が急速に拡大し資産税部門が強化する税理士法人も増えています。
一部の税理士事務所に資産税業務は集中していくでしょうから、そういうところを狙えば良いだけです。

オフショア脱税に対する国際社会の取り締まりも強化され、OECDを中心に税務に関する金融口座情報が自動的に交換される仕組み(多国間合意)も整ってきています。国際税務専門官等の専門家の育成は道半ばで若手・中堅を中心に教育を進めており、それに対応できるOB税理士は多くはないのは きよのすけ様の方がお詳しいはずです。

国税局の電話相談、税務署の審理担当、国税不服審判所の審判官、裁判所調査官への出向、税務大学校の講師経験などは、大手税理士法人や資産税専門税理士事務所にとっては高い評価になります。

きよのすけ様のキャリアは、国税庁の中では必ずしもメインの出世コースではないかもしれませんが
時代にピッタリ合っていて、ニーズもあるでしょう。


具体的な税理士事務所選びですが、

税理士事務所も徐々に、個性が際立ってきています。

・資産税に強い税理士事務所
・国際税務に強い税理士事務所 BIG4等
・医療系に強い税理士事務所
・税務調査対応に強い事務所
・飲食店専門の税理士事務所
・美容室専門の税理士事務所
・ベンチャーサポート税理士法人のように「起業支援」に強い税理士法人
(ベンチャーサポート税理士法人の社員税理士の
古尾谷先生には大変お世話になっています。
やさしくて包容力のある方です。仕事では熱血指導とお聞きしていますが。
ベンチャーサポート税理士法人の求人サイトはこちら」 )

インターネット時代なので、検索すれば絞り込みが容易です。
ただ、あくまで広告なので、内容が本物かどうかは見極めが必要です。
安心してください。ベンチャーさんは本物ですよ (*^_^*)

会計事務所の規模別・種類別の特徴
もご覧ください。

また、人材ドラフトや、国税OBの紹介システム等に登録するのも有効でしょう。

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税理士法人TOTALでも、数年前に元国税局長に、
資産税の実務に精通して、条文・判例を読めて法解釈に強い国税OBの税理士を紹介していただきました。
資産税案件のチェック(土地の評価や資金移動等)や意見書作成をお願いしています。
業務品質の向上に大変役立っていますし、他のスタッフには良い刺激になって人材の育成にもつながっています。

国際税務は、BIG4等大手税理士法人出身の経験者、USCPA有資格者 及び 海外勤務経験がある語学堪能な者等で行っています。
税務調査時に、誠実で技術がしっかりしている再任用の方を見極めてリクルートしようとしていますが、
国際税務が今後もっと増えるようなら、国税OBの方をまた元国税局長に紹介していただく日が来るかもしれません。

TOTALグループは
起業から中堅企業への成長支援を軸に、
医療系と資産税の業務の標準化も進み、急速にお客様が増えています。
このあとは、国際業務も強化していきます。
TOTALという名に違わぬように欲張りに攻めます。
その方が色々なスタッフ、色々なお客様の成長を支援できて楽しいですから。

みんなちがって、みんないい
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利用料の金額等、詳しくは税理士法人TOTALまでお問い合わせください。

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コメント一覧

4. Posted by 税理士ひさ   2016年03月13日 08:50
蛇足ですが、
中高年の転職は可能なら、在職中に活動することをお勧めします。

職歴が空くと不利になりますし、
転職市場の状況も実感としてわかります。
3. Posted by きよのすけ   2016年03月03日 21:32
重ね重ねありがとうごさいます。
これから自身のプロフィールを整理しようと考えています。
訟務官室で手掛けた案件や国際税務専門官で扱った渉外事案など、興味を持っていただけるような事項をまとめてみる所存です。もちろん守秘義務の許す範囲においてですが。
その後、いろいろな先生方のお話をお聞きしたいと思います。
2. Posted by 税理士ひさ   2016年02月18日 05:33
ご質問を受けて末尾に追記いたしました。

きよのすけ様の場合、
手当たり次第では効率が悪くて大変なので
絞って確認したり、
相手方から来てもらう方が良いと思います。
1. Posted by きよのすけ   2016年02月14日 22:16
貴重なご意見ありがとうございます。大変参考になりました。
当局組織内の出世レースに疑問を感じ、実力で勝負する世界に魅力を感じています。
実際にどういった転職活動をすれば、自身の得意分野を生かしつつ、かつ、ニーズに応えられる事務所を見つけられるでしょうか。
手当たり次第に、連絡をとってみるほかないでしょうか。

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