2015年09月22日
中堅税理士法人の採用戦略とコミュニケーション能力
税理士事務所し 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
ご質問はここをクリック
ぶー様からのお問合せです。
■年 齢 26才
■性 別 ?
■資 格 税理士試験二科目合格
三科目(科目不明?)結果待ち
■職 歴 なし
■学 歴 MARCH
■会計事務所経験 なし
■居住地 ?
こんにちわ
Q.
なかなか税理士法人から内定がもらえません、少し結果を待ってまた再び就活を始めようと思うのですが、
中堅ぐらいの税理士法人だと26職歴なし、未経験だと厳しいでしょうか??
厳しいようなら小規模の事務所も考えています。
A.
ぶー様の経歴なら、(場所が不明ですが中堅税理士法人の多い)都内なら普通は余裕で内定が出るはずなのですが…
中堅税理士法人の採用や教育の戦略はいくつかに分かれます。
1.税理士試験科目合格者優先
税理士試験2科目合格以上が原則
従来は3科目でしたが、最近では2科目合格までハードルを下げているところがほとんどです。
法人税法受験経験 や 会計事務所経験ありはプラス評価
このくらいでないと業務についていくのに厳しいからです。
多くの中堅税理士法人はこの形式をとっています。
あとは、学歴・職歴等を確認しつつ、面接で人柄(コミュニケーション能力等)を見て内定を出します。
2.会計事務所経験者優先
(1)成長中の事務所で教育している時間がおしい。
とある準大手税理士法人は、20代〜30代前半の会計事務所経験者ばかりでした。
中小零細の会計事務所出身者を中心に採用します。
(未経験者も、お客様担当者が必要なので、勉強中心の人よりは営業力がある方が採用されます)
(2)教育する仕組みがない。
最初から、中高年の会計事務所経験者や経理経験者を中心に会計工場を目指す。
教育コストをかけないで低価格を実現しています。
お客様訪問(巡回監査)が少なくて、記帳代行中心で、価格勝負の税理士法人です。
ホームページの代表者のあいさつをよく読めばこのタイプの事務所は見破れます。
3.営業力優先
税務・会計の知識・技術、勉強が進んでいるかよりも、会社の考え方にしたがってくれるかや、お客様と仲良くなれるかを優先する。
一般企業の営業出身者を優先して採用する。
残業はもちろん、残業時間にはカウントされない就業後の職場の仲間・先輩(やお客様)との飲み会が週の半分以上など、仕事の実質拘束時間が長く勉強する時間がとりにくいので、あまり勉強をしたがる人は採用しません。飲み会を断りづらい雰囲気があり、連続して上司の誘いを断ると評価が下がりかねません。飲み会で仕事の話や法人の経営理念等を伝えることが多くなります。
勉強はお客様には利益をもたらさないし、営業力だけ身につけてすぐに独立されるのも困るという考え方をそのタイプの会計事務所経営者はしています。
営業力優先の税理士法人は、税理士資格は、官報合格予定者の採用か、3科目持ち以上を大学院に行かせて免除で取らせることが多いので、2科目合格で勉強好きだと退職しやすいので採用されにくくなります。
そもそも税理士・有資格者はあまり入ってこないし、資格が取れると辞められることも多いので、税理士が少なく、税務のレベルが低くなりやすくなっています。
従業員数の10人に一人、税理士・税理士有資格者がいない場合はこのタイプの可能性が高いでしょう。また、事務所見学会があれば、人数の割に、法令集、実務書をはじめとした書籍が少なければこのタイプだとわかります(じっくり条文を読める人が少ない)。
また、営業力優先タイプは、経営理念・クレド等、精神的なものを過度に強調する税理士法人も多くなっています。
居酒屋の呼び込みのような極端なあいさつ、
大声でのくりかえす理念唱和
などが見られることもあります。
(組織ですから、ビジネスの場で戦っていくうえでバラバラにならないように精神的な一体性は必要です。それを否定するわけではありません)
ぶー様は、一番多い 1.税理士試験科目合格者優先の条件を十分に満たすので、普通は内定が出るはずなのですが…。
内定が出ないとしたら
(1) スタートが遅かった。
初の就職でのんびり構えていた。
零細税理士事務所と違い、中堅以上の税理士法人は入社手続きも厳格なところも多く、8月末内定では9月入社に間に合いません。
中堅税理士法人は今年はみんな9月入社に合わせて早めに動いていました。
入社予定数に達すれば、しっかりした税理士法人ほど、未経験者はよほどいい人でないと普通は採用しません。
9月が一斉入社で、集合研修等を行うためです。
いつでも会計事務所未経験者の正社員を採用できるのは、
・あまり教育をしない税理士法人
・辞める人が多い税理士法人
・成長率が高すぎる税理士法人、
などになります。
=============
TOTALは、部門によって異なりますが、税務部門の正社員で会計事務所未経験者は、9月入社か新卒の4月入社が多いです。
ただ、実際には成長率も高く、それ以外の月も必要に応じて採用しています。
会計事務所経験者は、ツールもしっかりしてきているので通年採用でも問題がありません。
=============
(2) 上記2や3の税理士法人に応募していた。
2は会計事務所未経験のぶー様では採用されにくくなります。
3も、落ちることも多いかもしれません。
2と3は、別々ではなく重複することも多くなっています。このタイプの事務所は時代を反映して成長していることも多いし、営業力があって求人広告も上手なので、求人も目立ちます。
ぶー様が早めに動いたにもかかわらず、採用されていないとしたらこのタイプの税理士法人を多く受けていたのかもしれません。
(3)コミュニケーション能力の不足
(1)、(2)が思い当たらない場合、社会人としてのコミュニケーション能力が不足していることが考えられます。
学生のような話し方、文章の書き方では、お客様を担当させられません。
社会人経験で補えるのですが、その教育をしない・できない税理士法人もあります。
また、人気のある中堅税理士法人には、相対的な比較の問題でコミュニケーション能力が不足していると採用されにくいかもしれません。
今年は、まだ採用活動を続けていて、10月以降も採用を予定している税理士法人も多くなっています。
中堅の税理士法人を目指してもう少し頑張ってもいいような気がします。
もっとも、小規模税理士事務所が悪いということではありません。特にコミュニケーション能力が不足しているとしたら、所長が50代〜60代前半くらいで年配者の多い小規模な税理士事務所は、むしろしっかりしたお局さん、番頭さんがいて社会人経験を補うのに良いケースもあります(私の場合は、27歳職歴なし、3科目持ち2科目待ちでした。当時50代後半と60代前半の所長の中小規模の事務所でしたが勤務した2か所とも上司に恵まれました)。
そこが合わなければ、1〜3年たてば中堅の税理士法人に転職することは今よりもずっと容易なはずです。
今夏の採用の特色は、税理士試験が例年よりも遅かったため短期集中型で、
受験生の減少に伴う売り手市場のため、
人気のある税理士法人に応募者が殺到して、特定の求職者が内定をたくさん持っていました。
このため、人気があるところから順に内定が決まっていき、人気がない税理士法人・税理士事務所は必要数の新人が採用できずに困っています。
この傾向は、一般企業が人不足で就職市場が活況なのでしばらく続きそうです。
TACや大原簿記学校の就職説明会は、応募者の数より、採用活動をしている事務所スタッフの数の方が多いのではないかという状況でした。
それでも、いくつか人気のある事務所は行列が出来ていました。
ちなみに、専門学校の就職雑誌に載せているのに、就職説明会には出ない中堅税理士法人は
(1)説明会に出てスタッフに負担をかけたくない
金銭的には中堅にとっては言うほど負担ではありません。ただ、休日を使って大人数を出さなくてはいけません。その結果が芳しくないとしばらく出なくなります。
(2)勉強優先の業界未経験者は欲しくない
会計業界経験者も就職雑誌は読みますが、税理士試験前から動く方が多いです。このため、就職説明会には真面目な業界未経験者が多くなっています。
(3)過去に出入り禁止になった
現場での勧誘にはルールがあります。呼び込みをやりすぎると他の参加事務所からクレームが来て、専門学校から就職説明会は出入り禁止にされます。いくつかの有名事務所が対象になっているとお聞きしています。
(今年、ルール変更を知らないでTACさんにはご迷惑をおかけしました。今のところ「出入り禁止」とは言われおらずホッとしています)
採用に苦しむ中堅以下の税理士法人では、税理士業界の魅力を発信するための取り組みが目立ってきました。
特に若手の会計事務所経営者の中には組織立った動きもあります。業界の新しい取り組みに期待しています。
インターネットでは、職場環境は実態よりもどうしても悪く書かれがちです。自分の事務所の良さを書き込む人は少ないですが、辞めた方は悪口は感情的になって書きがちです。
税理士の仕事は、若いうちは普通ですが、年齢とともに価値が増す、50代でも成長を続けられる極めて珍しい仕事です。普通は、営業力は40才を過ぎると急速に衰え、管理職に出世しないと会社に居場所がだんだんなくなってきます。
コンサルや監査法人はもちろん、銀行をはじめとする金融機関もその傾向が強くなっています。
これに対して、税理士に最も求められるコミュニケーション能力は経験を積むほど磨かれますし、医療や相続といった仕事、総合的な視野が求められる中堅企業のコンサルは若者よりも中高年の方が強くなります。
このため、税理士業界は、アラサーでも人生のやり直し、敗者復活戦ができるのです。
=============
税理士法人TOTALも、今夏は例年になく危機感を持って採用を進めました。
面接では内定を既に2つも3つも持っている応募者、うちの後にいくつか面接が入っている応募者の方も多くおられました。
このため、早めに内定を連発したのですが、ありがたいことに辞退されることも少なく、ほとんどの方にご入社いただけました。
専門学校の就職説明会にも久しぶりに参加しました。11年前に最初に参加したときは、知名度・人気がなくて、まったく誰にも相手にされなかったのですが、ありがたいことに今回は行列が出来ました。ただ、一度に対応する力がないので、残念ながら面接を入れる前に他の税理士法人に行かれる方も多くおられました。
(どこも今年の内定は早かったですね)
スタッフにはご迷惑をおかけしたので、来年、出席するかどうかはじっくり考えます。
結果として採用予定数に達した後にご応募いただいた方の中には、いつもなら文句なく採用する水準なのに、採用できなくなった方が出てしまい申し訳ありませんでした。
税理士法人TOTALの採用は、じっくりコストをかけてうちの事務所にあっている人を採用しようとしているのが特徴です。
「人」 は組織にとっての 「財産」 です
税理士法人TOTALでは悪い点も採用のページにはかなり書いています。このため、応募者に驚かれることも多いですが、そうすることによって不幸なミスマッチを減らそうと考えています。
一旦採用した人は、なかなか結果を残せなくても異動や配置転換を繰り返して、極力その方が生きるように努力しています(本人以上に、実は上司が疲れますが)。
伸びている中堅の税理士法人は、
厳しい競争を課して、結果で出世を競わせて自然淘汰で選抜しているところも多いようです。
これは組織のつくり方としてはむしろ一般的です。
中には、入口ではゆるくして、入社当初、試用期間ではなく1〜2か月の有期雇用(雇い止めが合法的にできます。さらに社会保険がその間未加入なら、その間に辞める人が多いということです)やインターンにして、合わない人は純化のためにやめてもらうという税理士法人もあります。短期間に半分以上辞めてもらう税理士法人もあり、その採用規模を最初お聞きした時は衝撃的でした。
実際、1時間程度の面接ですべてを見破ることは出来ないので合理的なやり方ではあります。ドライに割り切れてうらやましいですが、(きちんとやめさせる方のフォローはなさっているようでしたが)この方法は一歩間違えると働いてくれた人に恨まれかねないので心臓の弱い?私には選びにくいですね。
採用に決まった答えはないように思います。
うちが、受験生や主婦、働く人に寄り添おうとするのは、田舎の駅から坂を上って10分以上歩くという極端に立地条件が悪くて応募してくれるだけでありがたいという事務所からスタートした歴史があり、そのDNAが今も生きているからかもしれません(新規出店は駅近ばかりです)。
その分、応募者が多くなった今では、面接はかなりじっくり行います。このため、素早く機動的には面接を行うことができないという欠点を抱えています。
なかなか採用は難しいですね。
来夏以降も、早目のご応募お待ちしています。
=============
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税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
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■年 齢 26才
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■資 格 税理士試験二科目合格
三科目(科目不明?)結果待ち
■職 歴 なし
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こんにちわ
Q.
なかなか税理士法人から内定がもらえません、少し結果を待ってまた再び就活を始めようと思うのですが、
中堅ぐらいの税理士法人だと26職歴なし、未経験だと厳しいでしょうか??
厳しいようなら小規模の事務所も考えています。
A.
ぶー様の経歴なら、(場所が不明ですが中堅税理士法人の多い)都内なら普通は余裕で内定が出るはずなのですが…
中堅税理士法人の採用や教育の戦略はいくつかに分かれます。
1.税理士試験科目合格者優先
税理士試験2科目合格以上が原則
従来は3科目でしたが、最近では2科目合格までハードルを下げているところがほとんどです。
法人税法受験経験 や 会計事務所経験ありはプラス評価
このくらいでないと業務についていくのに厳しいからです。
多くの中堅税理士法人はこの形式をとっています。
あとは、学歴・職歴等を確認しつつ、面接で人柄(コミュニケーション能力等)を見て内定を出します。
2.会計事務所経験者優先
(1)成長中の事務所で教育している時間がおしい。
とある準大手税理士法人は、20代〜30代前半の会計事務所経験者ばかりでした。
中小零細の会計事務所出身者を中心に採用します。
(未経験者も、お客様担当者が必要なので、勉強中心の人よりは営業力がある方が採用されます)
(2)教育する仕組みがない。
最初から、中高年の会計事務所経験者や経理経験者を中心に会計工場を目指す。
教育コストをかけないで低価格を実現しています。
お客様訪問(巡回監査)が少なくて、記帳代行中心で、価格勝負の税理士法人です。
ホームページの代表者のあいさつをよく読めばこのタイプの事務所は見破れます。
3.営業力優先
税務・会計の知識・技術、勉強が進んでいるかよりも、会社の考え方にしたがってくれるかや、お客様と仲良くなれるかを優先する。
一般企業の営業出身者を優先して採用する。
残業はもちろん、残業時間にはカウントされない就業後の職場の仲間・先輩(やお客様)との飲み会が週の半分以上など、仕事の実質拘束時間が長く勉強する時間がとりにくいので、あまり勉強をしたがる人は採用しません。飲み会を断りづらい雰囲気があり、連続して上司の誘いを断ると評価が下がりかねません。飲み会で仕事の話や法人の経営理念等を伝えることが多くなります。
勉強はお客様には利益をもたらさないし、営業力だけ身につけてすぐに独立されるのも困るという考え方をそのタイプの会計事務所経営者はしています。
営業力優先の税理士法人は、税理士資格は、官報合格予定者の採用か、3科目持ち以上を大学院に行かせて免除で取らせることが多いので、2科目合格で勉強好きだと退職しやすいので採用されにくくなります。
そもそも税理士・有資格者はあまり入ってこないし、資格が取れると辞められることも多いので、税理士が少なく、税務のレベルが低くなりやすくなっています。
従業員数の10人に一人、税理士・税理士有資格者がいない場合はこのタイプの可能性が高いでしょう。また、事務所見学会があれば、人数の割に、法令集、実務書をはじめとした書籍が少なければこのタイプだとわかります(じっくり条文を読める人が少ない)。
また、営業力優先タイプは、経営理念・クレド等、精神的なものを過度に強調する税理士法人も多くなっています。
居酒屋の呼び込みのような極端なあいさつ、
大声でのくりかえす理念唱和
などが見られることもあります。
(組織ですから、ビジネスの場で戦っていくうえでバラバラにならないように精神的な一体性は必要です。それを否定するわけではありません)
ぶー様は、一番多い 1.税理士試験科目合格者優先の条件を十分に満たすので、普通は内定が出るはずなのですが…。
内定が出ないとしたら
(1) スタートが遅かった。
初の就職でのんびり構えていた。
零細税理士事務所と違い、中堅以上の税理士法人は入社手続きも厳格なところも多く、8月末内定では9月入社に間に合いません。
中堅税理士法人は今年はみんな9月入社に合わせて早めに動いていました。
入社予定数に達すれば、しっかりした税理士法人ほど、未経験者はよほどいい人でないと普通は採用しません。
9月が一斉入社で、集合研修等を行うためです。
いつでも会計事務所未経験者の正社員を採用できるのは、
・あまり教育をしない税理士法人
・辞める人が多い税理士法人
・成長率が高すぎる税理士法人、
などになります。
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TOTALは、部門によって異なりますが、税務部門の正社員で会計事務所未経験者は、9月入社か新卒の4月入社が多いです。
ただ、実際には成長率も高く、それ以外の月も必要に応じて採用しています。
会計事務所経験者は、ツールもしっかりしてきているので通年採用でも問題がありません。
=============
(2) 上記2や3の税理士法人に応募していた。
2は会計事務所未経験のぶー様では採用されにくくなります。
3も、落ちることも多いかもしれません。
2と3は、別々ではなく重複することも多くなっています。このタイプの事務所は時代を反映して成長していることも多いし、営業力があって求人広告も上手なので、求人も目立ちます。
ぶー様が早めに動いたにもかかわらず、採用されていないとしたらこのタイプの税理士法人を多く受けていたのかもしれません。
(3)コミュニケーション能力の不足
(1)、(2)が思い当たらない場合、社会人としてのコミュニケーション能力が不足していることが考えられます。
学生のような話し方、文章の書き方では、お客様を担当させられません。
社会人経験で補えるのですが、その教育をしない・できない税理士法人もあります。
また、人気のある中堅税理士法人には、相対的な比較の問題でコミュニケーション能力が不足していると採用されにくいかもしれません。
今年は、まだ採用活動を続けていて、10月以降も採用を予定している税理士法人も多くなっています。
中堅の税理士法人を目指してもう少し頑張ってもいいような気がします。
もっとも、小規模税理士事務所が悪いということではありません。特にコミュニケーション能力が不足しているとしたら、所長が50代〜60代前半くらいで年配者の多い小規模な税理士事務所は、むしろしっかりしたお局さん、番頭さんがいて社会人経験を補うのに良いケースもあります(私の場合は、27歳職歴なし、3科目持ち2科目待ちでした。当時50代後半と60代前半の所長の中小規模の事務所でしたが勤務した2か所とも上司に恵まれました)。
そこが合わなければ、1〜3年たてば中堅の税理士法人に転職することは今よりもずっと容易なはずです。
今夏の採用の特色は、税理士試験が例年よりも遅かったため短期集中型で、
受験生の減少に伴う売り手市場のため、
人気のある税理士法人に応募者が殺到して、特定の求職者が内定をたくさん持っていました。
このため、人気があるところから順に内定が決まっていき、人気がない税理士法人・税理士事務所は必要数の新人が採用できずに困っています。
この傾向は、一般企業が人不足で就職市場が活況なのでしばらく続きそうです。
TACや大原簿記学校の就職説明会は、応募者の数より、採用活動をしている事務所スタッフの数の方が多いのではないかという状況でした。
それでも、いくつか人気のある事務所は行列が出来ていました。
ちなみに、専門学校の就職雑誌に載せているのに、就職説明会には出ない中堅税理士法人は
(1)説明会に出てスタッフに負担をかけたくない
金銭的には中堅にとっては言うほど負担ではありません。ただ、休日を使って大人数を出さなくてはいけません。その結果が芳しくないとしばらく出なくなります。
(2)勉強優先の業界未経験者は欲しくない
会計業界経験者も就職雑誌は読みますが、税理士試験前から動く方が多いです。このため、就職説明会には真面目な業界未経験者が多くなっています。
(3)過去に出入り禁止になった
現場での勧誘にはルールがあります。呼び込みをやりすぎると他の参加事務所からクレームが来て、専門学校から就職説明会は出入り禁止にされます。いくつかの有名事務所が対象になっているとお聞きしています。
(今年、ルール変更を知らないでTACさんにはご迷惑をおかけしました。今のところ「出入り禁止」とは言われおらずホッとしています)
採用に苦しむ中堅以下の税理士法人では、税理士業界の魅力を発信するための取り組みが目立ってきました。
特に若手の会計事務所経営者の中には組織立った動きもあります。業界の新しい取り組みに期待しています。
インターネットでは、職場環境は実態よりもどうしても悪く書かれがちです。自分の事務所の良さを書き込む人は少ないですが、辞めた方は悪口は感情的になって書きがちです。
税理士の仕事は、若いうちは普通ですが、年齢とともに価値が増す、50代でも成長を続けられる極めて珍しい仕事です。普通は、営業力は40才を過ぎると急速に衰え、管理職に出世しないと会社に居場所がだんだんなくなってきます。
コンサルや監査法人はもちろん、銀行をはじめとする金融機関もその傾向が強くなっています。
これに対して、税理士に最も求められるコミュニケーション能力は経験を積むほど磨かれますし、医療や相続といった仕事、総合的な視野が求められる中堅企業のコンサルは若者よりも中高年の方が強くなります。
このため、税理士業界は、アラサーでも人生のやり直し、敗者復活戦ができるのです。
=============
税理士法人TOTALも、今夏は例年になく危機感を持って採用を進めました。
面接では内定を既に2つも3つも持っている応募者、うちの後にいくつか面接が入っている応募者の方も多くおられました。
このため、早めに内定を連発したのですが、ありがたいことに辞退されることも少なく、ほとんどの方にご入社いただけました。
専門学校の就職説明会にも久しぶりに参加しました。11年前に最初に参加したときは、知名度・人気がなくて、まったく誰にも相手にされなかったのですが、ありがたいことに今回は行列が出来ました。ただ、一度に対応する力がないので、残念ながら面接を入れる前に他の税理士法人に行かれる方も多くおられました。
(どこも今年の内定は早かったですね)
スタッフにはご迷惑をおかけしたので、来年、出席するかどうかはじっくり考えます。
結果として採用予定数に達した後にご応募いただいた方の中には、いつもなら文句なく採用する水準なのに、採用できなくなった方が出てしまい申し訳ありませんでした。
税理士法人TOTALの採用は、じっくりコストをかけてうちの事務所にあっている人を採用しようとしているのが特徴です。
「人」 は組織にとっての 「財産」 です
税理士法人TOTALでは悪い点も採用のページにはかなり書いています。このため、応募者に驚かれることも多いですが、そうすることによって不幸なミスマッチを減らそうと考えています。
一旦採用した人は、なかなか結果を残せなくても異動や配置転換を繰り返して、極力その方が生きるように努力しています(本人以上に、実は上司が疲れますが)。
伸びている中堅の税理士法人は、
厳しい競争を課して、結果で出世を競わせて自然淘汰で選抜しているところも多いようです。
これは組織のつくり方としてはむしろ一般的です。
中には、入口ではゆるくして、入社当初、試用期間ではなく1〜2か月の有期雇用(雇い止めが合法的にできます。さらに社会保険がその間未加入なら、その間に辞める人が多いということです)やインターンにして、合わない人は純化のためにやめてもらうという税理士法人もあります。短期間に半分以上辞めてもらう税理士法人もあり、その採用規模を最初お聞きした時は衝撃的でした。
実際、1時間程度の面接ですべてを見破ることは出来ないので合理的なやり方ではあります。ドライに割り切れてうらやましいですが、(きちんとやめさせる方のフォローはなさっているようでしたが)この方法は一歩間違えると働いてくれた人に恨まれかねないので心臓の弱い?私には選びにくいですね。
採用に決まった答えはないように思います。
うちが、受験生や主婦、働く人に寄り添おうとするのは、田舎の駅から坂を上って10分以上歩くという極端に立地条件が悪くて応募してくれるだけでありがたいという事務所からスタートした歴史があり、そのDNAが今も生きているからかもしれません(新規出店は駅近ばかりです)。
その分、応募者が多くなった今では、面接はかなりじっくり行います。このため、素早く機動的には面接を行うことができないという欠点を抱えています。
なかなか採用は難しいですね。
来夏以降も、早目のご応募お待ちしています。
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インターネットで顔が見えない方に適切な回答をするために、 質問の書式にご協力いただけると幸いです。 情報が不足する場合には回答できないことがあることはご留意ください。
また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。
ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。
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