2015年08月11日
若さの価値と記帳代行会社での職歴
税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
ご質問はここをクリック
ボーナ様よりのお問い合わせです。
■年齢 26歳
■性別 男
■資格 日商簿記2級
税理士科目:4科目(簿・財・相・法)
受験歴:今年で5年目(今年消費税法受験)
■職歴 記帳代行会社1年弱
フルタイムのアルバイト
■学歴 簿記系専門学校卒
■会計事務所経験 なし
■居住地 近畿圏
はじめまして。
いつも拝見させて頂いています。
何点かご質問があります。
Q.1
20代後半に差し掛かって正規雇用の経験が無いものは一刻も早く就職すべきでしょうか?
4科目取得しなんとか官報が見えてきた状況ではあります。
試験後すぐ就職活動をすべきか
あるいは
来年から活動したほうがいいか迷っています。
私はあまり明るくなく覇気がないと言われてしまうため、時間が許されるなら今の職場である程度矯正したほうが良いのではとも思いますし、こんな心配するぐらいならさっさと就職して経験を積んだ方がいいのではとも思ってしまいます。
Q.2
就職活動するにあたり、記帳代行会社でのアルバイト経験はアピールしてもいいのでしょうか?
それともあまり触れないほうがいいのでしょうか?
現在勤務している会社では記帳代行、電話対応、申告のお手伝いなどを行っています。
顧客から質問があれば簡単な税務的相談の回答や申告書に記載するデータの作成などかなりグレーだと思われることもやっています。
税理士の先生から見れば「税法を扱う者として法律遵守の精神に欠ける」となるのか、それとも「その業界はそんなもんだよね」となるのかどちらだと思われますか?
長くなってしまい申し訳ありません。
ご意見頂ければ幸いです。
A.1
ボーナ様の場合、税理士試験後すぐに就職活動をして、一刻も早く就職すべきでしょう。
最難関の法人税法に合格しており、最終科目受験が終われば、官報の可能性もあり、
仮に今年落ちていても、最低限実務経験として必要な、2年以内に働きながら合格できる確率は高いでしょう。
(まずは、目の前の試験がんばってください)
記帳代行会社では、そもそも責任が厳しい正社員でなく、フルタイムとはいえアルバイトであり、
原則として社内向けのコミュニケーションが中心でしょう。
実際に会計事務所の正社員になると、様々なお客様と直接向き合う機会が増えます。
期日や品質に対する責任・プレッシャーも、記帳代行会社の比ではありません。
士業、職業専門家としての高いレベルでの善管注意義務を求められます。
高校野球でたとえるなら、
素振りの練習をいくらしても、打撃は上達しません。
実戦(試合)で生きたボールを打つ必要があります。
明るくない、覇気がないと言われるならなおのこと、
失敗したり、お客様に怒られたりする中で学ぶべきでしょう。
1年入社が遅れると、その分の若さを失うことになります。
「若さ」はそれだけで価値があります。
かわいがられやすいですし、失敗も許されやすいし、そこから学んでもらえばいいと所長や先輩は考えます。
物覚えの良さ、素直さ、中年のオヤジ税理士からは、「若さ」は羨ましい限りです。
20代半ば以上なら、若ければ若いほど一般的な会計事務所には採用されやすくなります。
(20代前半の採用は、新人教育が難しいだけに税理士事務所によって評価が分かれます)
A.2
記帳代行会社でのアルバイト経験は会計に触ったことがあるという程度の評価です。
会計用語にも慣れているので、一応プラスにはなります。
ただ、それ以上でもそれ以下でもありません。
会計事務所の所長にとっては、正社員経験のない若者の仕事内容を見極めるのは難しくありません。
無理なアピールは意味がありません。
力んで、「税務相談もやっています」と言うのはどうかと思いますが、
(コンプライアンスが厳しくなってきた時代ですし、ニセ税理士をよく思っていない税理士はたくさんいます)
内訳書作成のための資料づくり程度は経理としては一般的なので、普通に話せばいいと思います。
私自身、記帳代行会社の経験がある方をそれなりの数、面接して、その中の一部の方はスタッフとして採用しました。
三科目以上の合格者、中には有資格者もいました。残念ながら、キャリアとしては記帳代行会社に長くいたのは時間がもったいなかったという例も多かったように思います。
作業としてこなすだけなので、頭を使わないので、疲れず、試験との両立が可能だとして一部受験生は選ぶのでしょう。
逆に言うと、仕事のキャリアとしては簡単な「作業」を、「作業」として低いレベルでこなしてきたかなという程度が一般的な記帳代行会社に対する評価です。
「会計事務所経験者」、「経理経験者(正社員)」ほどには、「記帳代行会社経験者」という表現は目にしません。
残念ですが、記帳代行会社の仕事は、今ボーナ様が思っているほど、会計事務所では高く評価しないのが実情です。
==============
会計事務所では、コンピューターソフトの発達と、優秀な受験生の減少により、製販分離が増えています。
製造側は、(パートの方でも)今までの会計入力に加えて、税務申告書作成や訪問準備まで当たり前にこなしてきています。
フロントの お客様担当者は、これまで以上に高いコミュニケーション能力と税務・労務・経営・社会全般に関する専門的で複合的な知識が必要とされていくでしょう。専門知識を持った営業マン・ビジネスマンであることが求められるのです。
最近では、会計入力の半自動の取り込みができるようになり、バックの製造担当者も、社内(一部資料受け渡しは社外も)でのコミュニケーション能力、会計、税務、労務等の複合的な知識が必要になってきています。
ITの発達は、人間を単純「作業」から解放する一方、
人間の「仕事」は、(税理士業界に限らず)より高いコミュニケーション能力、より専門的で複合的な知識が要求されるようになるのです。
==============
※なお、この件に関するコメントは下記のコメント欄をご利用ください。
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税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
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■年齢 26歳
■性別 男
■資格 日商簿記2級
税理士科目:4科目(簿・財・相・法)
受験歴:今年で5年目(今年消費税法受験)
■職歴 記帳代行会社1年弱
フルタイムのアルバイト
■学歴 簿記系専門学校卒
■会計事務所経験 なし
■居住地 近畿圏
はじめまして。
いつも拝見させて頂いています。
何点かご質問があります。
Q.1
20代後半に差し掛かって正規雇用の経験が無いものは一刻も早く就職すべきでしょうか?
4科目取得しなんとか官報が見えてきた状況ではあります。
試験後すぐ就職活動をすべきか
あるいは
来年から活動したほうがいいか迷っています。
私はあまり明るくなく覇気がないと言われてしまうため、時間が許されるなら今の職場である程度矯正したほうが良いのではとも思いますし、こんな心配するぐらいならさっさと就職して経験を積んだ方がいいのではとも思ってしまいます。
Q.2
就職活動するにあたり、記帳代行会社でのアルバイト経験はアピールしてもいいのでしょうか?
それともあまり触れないほうがいいのでしょうか?
現在勤務している会社では記帳代行、電話対応、申告のお手伝いなどを行っています。
顧客から質問があれば簡単な税務的相談の回答や申告書に記載するデータの作成などかなりグレーだと思われることもやっています。
税理士の先生から見れば「税法を扱う者として法律遵守の精神に欠ける」となるのか、それとも「その業界はそんなもんだよね」となるのかどちらだと思われますか?
長くなってしまい申し訳ありません。
ご意見頂ければ幸いです。
A.1
ボーナ様の場合、税理士試験後すぐに就職活動をして、一刻も早く就職すべきでしょう。
最難関の法人税法に合格しており、最終科目受験が終われば、官報の可能性もあり、
仮に今年落ちていても、最低限実務経験として必要な、2年以内に働きながら合格できる確率は高いでしょう。
(まずは、目の前の試験がんばってください)
記帳代行会社では、そもそも責任が厳しい正社員でなく、フルタイムとはいえアルバイトであり、
原則として社内向けのコミュニケーションが中心でしょう。
実際に会計事務所の正社員になると、様々なお客様と直接向き合う機会が増えます。
期日や品質に対する責任・プレッシャーも、記帳代行会社の比ではありません。
士業、職業専門家としての高いレベルでの善管注意義務を求められます。
高校野球でたとえるなら、
素振りの練習をいくらしても、打撃は上達しません。
実戦(試合)で生きたボールを打つ必要があります。
明るくない、覇気がないと言われるならなおのこと、
失敗したり、お客様に怒られたりする中で学ぶべきでしょう。
1年入社が遅れると、その分の若さを失うことになります。
「若さ」はそれだけで価値があります。
かわいがられやすいですし、失敗も許されやすいし、そこから学んでもらえばいいと所長や先輩は考えます。
物覚えの良さ、素直さ、中年のオヤジ税理士からは、「若さ」は羨ましい限りです。
20代半ば以上なら、若ければ若いほど一般的な会計事務所には採用されやすくなります。
(20代前半の採用は、新人教育が難しいだけに税理士事務所によって評価が分かれます)
A.2
記帳代行会社でのアルバイト経験は会計に触ったことがあるという程度の評価です。
会計用語にも慣れているので、一応プラスにはなります。
ただ、それ以上でもそれ以下でもありません。
会計事務所の所長にとっては、正社員経験のない若者の仕事内容を見極めるのは難しくありません。
無理なアピールは意味がありません。
力んで、「税務相談もやっています」と言うのはどうかと思いますが、
(コンプライアンスが厳しくなってきた時代ですし、ニセ税理士をよく思っていない税理士はたくさんいます)
内訳書作成のための資料づくり程度は経理としては一般的なので、普通に話せばいいと思います。
私自身、記帳代行会社の経験がある方をそれなりの数、面接して、その中の一部の方はスタッフとして採用しました。
三科目以上の合格者、中には有資格者もいました。残念ながら、キャリアとしては記帳代行会社に長くいたのは時間がもったいなかったという例も多かったように思います。
作業としてこなすだけなので、頭を使わないので、疲れず、試験との両立が可能だとして一部受験生は選ぶのでしょう。
逆に言うと、仕事のキャリアとしては簡単な「作業」を、「作業」として低いレベルでこなしてきたかなという程度が一般的な記帳代行会社に対する評価です。
「会計事務所経験者」、「経理経験者(正社員)」ほどには、「記帳代行会社経験者」という表現は目にしません。
残念ですが、記帳代行会社の仕事は、今ボーナ様が思っているほど、会計事務所では高く評価しないのが実情です。
==============
会計事務所では、コンピューターソフトの発達と、優秀な受験生の減少により、製販分離が増えています。
製造側は、(パートの方でも)今までの会計入力に加えて、税務申告書作成や訪問準備まで当たり前にこなしてきています。
フロントの お客様担当者は、これまで以上に高いコミュニケーション能力と税務・労務・経営・社会全般に関する専門的で複合的な知識が必要とされていくでしょう。専門知識を持った営業マン・ビジネスマンであることが求められるのです。
最近では、会計入力の半自動の取り込みができるようになり、バックの製造担当者も、社内(一部資料受け渡しは社外も)でのコミュニケーション能力、会計、税務、労務等の複合的な知識が必要になってきています。
ITの発達は、人間を単純「作業」から解放する一方、
人間の「仕事」は、(税理士業界に限らず)より高いコミュニケーション能力、より専門的で複合的な知識が要求されるようになるのです。
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※なお、この件に関するコメントは下記のコメント欄をご利用ください。
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インターネットで顔が見えない方に適切な回答をするために、 質問の書式にご協力いただけると幸いです。 情報が不足する場合には回答できないことがあることはご留意ください。
また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。
ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。
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