2015年03月28日
税理士と司法書士・社労士業務
税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
ご質問はここをクリック
mountainbook様からのお問合せです。
■年齢 25歳
■性別 男
■資格 簿記論、財務諸表論、消費税法、法人税法、相続税法、所得税(勉強中)
■職歴 税理士法人(約半年。諸事情により退職)
→会計事務所(10名以下の小規模な事務所)
■学歴 専門卒
■会計事務所経験 約3年
■居住地 東京
いつもためになるブログを楽しく拝見しております。
早速ですが、
私は現在、小規模な事務所にて個人、法人の決算、相続等ひと通りの税務や会計の仕事をさせていただいております。
税務や会計の仕事に関しては、ある程度はこなせるようにはなってきておりますが、設立、登記、社会保険、給与計算等の付随業務に関しては他の職員の方に任せている状況です。
Q.
(1) 会計事務所に勤めるうえでは上記の設立等の業務はやはり自分1人でもこなせる(知識として持っておく)ようになったほうがよろしいでしょうか?
(2) それともある程度線引きをして税務・会計の知識を蓄えた方がよいのでしょうか?
自分的には(1)の方が将来的には役に立つかなとは思いますが、どの程度までの知識が必要なのか分らず、なかなか勉強を始めるきっかけがつかめません。
答えが出ているようなご質問で大変申し訳ございませんが、何卒よろしくお願い致します。
A.
若くして官報合格者で、合格していない科目も勉強中ということなのでしょうか。素晴らしいですね。
税理士は、税務に関する専門家です。
設立・登記は、司法書士業務で、税理士が行うことはできません。
社会保険関係は、社会保険労務士業務で、一部の計算を除き税理士が行うことはできません。
ニセ税理士と同様に、
ニセ司法書士(行政書士も元税理士も捕まっています)、
ニセ社会保険労務士も毎年、逮捕されています。
給与計算業務は、社労士の独占業務ではないので、個人税理士事務所や(税理士法人ではできませんが)会計法人が行っても問題ありません。
設立、登記、社会保険等の業務を、税理士(事務所の職員も)が自分でこなしたら、今では立派な 犯罪 です。
以前は、税理士が設立・登記・社会保険を行うことは普通に行われていました。
白状すると、それ自体が違法という認識を持たずに会計事務所勤務時代(もう20年くらい前の話になります)、こういった業務を私自身も行っていたことがあります。
最近では、法務局では、税理士事務所に登記申請の補正の連絡はしません。電子申請もできませんし。
社労士業務との関係については、
日本税理士連合会は、税理士が行える付随業務の範囲に関し、全国社会保険労務士会連合会と平成14年6月6日に確認書を取り交わしました。それによると、
(1)税理士又は税理士法人が付随業務として行うことができる社会保険に関する事務は、「租税債務の確定に必要な事務」の範囲内のものに限られること、
(2)社会保険の提出代行及び事務代理は、税理士ができる付随業務ではないこととされました。
なお、年末調整事務については、税理士業務に該当し、社会保険労務士がこれを行うことはできないことを明確にするとともに、社会保険労務士による税理士法違反行為が行われないよう確認書に明記しました。
時代は変わってきています。
会計事務所の職員が、年金事務所に行って社会保険の仕事をすることはできなくなりました。
なお、社会保険労務士を会計事務所が雇用して、その方に社会保険労務士業務を行わせるのも違法の疑いがあるようです。
税理士法人TOTALが、社会保険労務士法人NEXTとともに、
TOTAL NEXTグループ へと生まれ変わったのは、コンプライアンスを重視したためです。
(社会保険労務士会・社会保険労務士の皆様には、ご心配をお掛けして申し訳ありません)
(それぞれの士業に認められている一部業務を除き)法律相談、法律上の争いの解決は弁護士の仕事です。
勝手に行うと非弁行為で逮捕されます。
安易に法律相談を業務として受けること自体禁止されています。
なお、税理士業務は無償独占であり、他士業の方はタダでも税務相談を行うことは認められていません。
その一方で、
税理士は、中小企業の社長さんの身近な相談相手です。、
法人の税金の計算だけでなく、親の相続など、税金全般
売上アップ、コストダウン、広告宣伝等の経営相談、
労務相談、登記手続き、行政手続き、
夫婦仲や、子供の進学、就職相談など、
お客様からなんでも聞かれます。
このため、それぞれの制度の概要くらいは知っている必要があります。
その上で、実際の作業依頼があった場合、多くの税理士は、知り合いの他士業の方をご紹介していると思います。
税理士は、
(1)他士業の業務に関する知識は、広く浅く、
(2)税務・会計の知識は、徹底的に広く深く、正確に
学ぶ必要があるでしょう。
なお、税理士資格を取った後、「隣の芝生は青い」のか別の資格を目指す方がいます。
インターネットによる情報の氾濫で、士業はどれも言うほどもうかりません。税理士はその中では良い方でしょう。
mountainbook様のように若ければ他の資格を取るのを止めはしませんが、複数の資格あると専門家なのにそれぞれの専門性が薄まり中途半端になるので、資格マニアでなければ資格は2つまでが良いでしょう。
私は、司法書士試験は、専門学校に通いましたが途中で挫折しました。社会保険労務士試験にいたっては、仕事が忙しくなって、はじめる前にギブアップしました。
以前は、営業重視、売った者勝ちの社会でした。
ニュースを見ると、最近は各産業でコンプアイアンス違反で会社が潰れていっています。こわいですね。
日本を含む先進国では、法化社会、コンプライアンス重視という時代の流れはますます強くなることでしょう。
=============
私は、開業当初、「会社設立」関係で行政書士の方から指摘されて怒られて、やむなく行政書士登録を行いました。
(税理士は、行政書士資格を自動付与されているので、登録できます)
妻が司法書士資格を取ってくれたので、設立やその他の登記が出来るようになりました。
司法書士事務所TOTALのスタッフもだいぶ増え、3月 年度末であわただしく仕事をしています。
(今週は、妻の方が遅くまで働いています)
社会保険労務士もやっと法人化できました。
公認会計士は、2名在籍しており、3人目も入社予定です。
TOTALグループは、総合士業事務所として、
お客様にとってシームレス(継ぎ目がない)なサービスができるようにしていきたいと思っています。
=============
※なお、この件に関するコメントは下記のコメント欄をご利用ください。
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また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。
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税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
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■年齢 25歳
■性別 男
■資格 簿記論、財務諸表論、消費税法、法人税法、相続税法、所得税(勉強中)
■職歴 税理士法人(約半年。諸事情により退職)
→会計事務所(10名以下の小規模な事務所)
■学歴 専門卒
■会計事務所経験 約3年
■居住地 東京
いつもためになるブログを楽しく拝見しております。
早速ですが、
私は現在、小規模な事務所にて個人、法人の決算、相続等ひと通りの税務や会計の仕事をさせていただいております。
税務や会計の仕事に関しては、ある程度はこなせるようにはなってきておりますが、設立、登記、社会保険、給与計算等の付随業務に関しては他の職員の方に任せている状況です。
Q.
(1) 会計事務所に勤めるうえでは上記の設立等の業務はやはり自分1人でもこなせる(知識として持っておく)ようになったほうがよろしいでしょうか?
(2) それともある程度線引きをして税務・会計の知識を蓄えた方がよいのでしょうか?
自分的には(1)の方が将来的には役に立つかなとは思いますが、どの程度までの知識が必要なのか分らず、なかなか勉強を始めるきっかけがつかめません。
答えが出ているようなご質問で大変申し訳ございませんが、何卒よろしくお願い致します。
A.
若くして官報合格者で、合格していない科目も勉強中ということなのでしょうか。素晴らしいですね。
税理士は、税務に関する専門家です。
設立・登記は、司法書士業務で、税理士が行うことはできません。
社会保険関係は、社会保険労務士業務で、一部の計算を除き税理士が行うことはできません。
ニセ税理士と同様に、
ニセ司法書士(行政書士も元税理士も捕まっています)、
ニセ社会保険労務士も毎年、逮捕されています。
給与計算業務は、社労士の独占業務ではないので、個人税理士事務所や(税理士法人ではできませんが)会計法人が行っても問題ありません。
設立、登記、社会保険等の業務を、税理士(事務所の職員も)が自分でこなしたら、今では立派な 犯罪 です。
以前は、税理士が設立・登記・社会保険を行うことは普通に行われていました。
白状すると、それ自体が違法という認識を持たずに会計事務所勤務時代(もう20年くらい前の話になります)、こういった業務を私自身も行っていたことがあります。
最近では、法務局では、税理士事務所に登記申請の補正の連絡はしません。電子申請もできませんし。
社労士業務との関係については、
日本税理士連合会は、税理士が行える付随業務の範囲に関し、全国社会保険労務士会連合会と平成14年6月6日に確認書を取り交わしました。それによると、
(1)税理士又は税理士法人が付随業務として行うことができる社会保険に関する事務は、「租税債務の確定に必要な事務」の範囲内のものに限られること、
(2)社会保険の提出代行及び事務代理は、税理士ができる付随業務ではないこととされました。
なお、年末調整事務については、税理士業務に該当し、社会保険労務士がこれを行うことはできないことを明確にするとともに、社会保険労務士による税理士法違反行為が行われないよう確認書に明記しました。
時代は変わってきています。
会計事務所の職員が、年金事務所に行って社会保険の仕事をすることはできなくなりました。
なお、社会保険労務士を会計事務所が雇用して、その方に社会保険労務士業務を行わせるのも違法の疑いがあるようです。
税理士法人TOTALが、社会保険労務士法人NEXTとともに、
TOTAL NEXTグループ へと生まれ変わったのは、コンプライアンスを重視したためです。
(社会保険労務士会・社会保険労務士の皆様には、ご心配をお掛けして申し訳ありません)
(それぞれの士業に認められている一部業務を除き)法律相談、法律上の争いの解決は弁護士の仕事です。
勝手に行うと非弁行為で逮捕されます。
安易に法律相談を業務として受けること自体禁止されています。
なお、税理士業務は無償独占であり、他士業の方はタダでも税務相談を行うことは認められていません。
その一方で、
税理士は、中小企業の社長さんの身近な相談相手です。、
法人の税金の計算だけでなく、親の相続など、税金全般
売上アップ、コストダウン、広告宣伝等の経営相談、
労務相談、登記手続き、行政手続き、
夫婦仲や、子供の進学、就職相談など、
お客様からなんでも聞かれます。
このため、それぞれの制度の概要くらいは知っている必要があります。
その上で、実際の作業依頼があった場合、多くの税理士は、知り合いの他士業の方をご紹介していると思います。
税理士は、
(1)他士業の業務に関する知識は、広く浅く、
(2)税務・会計の知識は、徹底的に広く深く、正確に
学ぶ必要があるでしょう。
なお、税理士資格を取った後、「隣の芝生は青い」のか別の資格を目指す方がいます。
インターネットによる情報の氾濫で、士業はどれも言うほどもうかりません。税理士はその中では良い方でしょう。
mountainbook様のように若ければ他の資格を取るのを止めはしませんが、複数の資格あると専門家なのにそれぞれの専門性が薄まり中途半端になるので、資格マニアでなければ資格は2つまでが良いでしょう。
私は、司法書士試験は、専門学校に通いましたが途中で挫折しました。社会保険労務士試験にいたっては、仕事が忙しくなって、はじめる前にギブアップしました。
以前は、営業重視、売った者勝ちの社会でした。
ニュースを見ると、最近は各産業でコンプアイアンス違反で会社が潰れていっています。こわいですね。
日本を含む先進国では、法化社会、コンプライアンス重視という時代の流れはますます強くなることでしょう。
=============
私は、開業当初、「会社設立」関係で行政書士の方から指摘されて怒られて、やむなく行政書士登録を行いました。
(税理士は、行政書士資格を自動付与されているので、登録できます)
妻が司法書士資格を取ってくれたので、設立やその他の登記が出来るようになりました。
司法書士事務所TOTALのスタッフもだいぶ増え、3月 年度末であわただしく仕事をしています。
(今週は、妻の方が遅くまで働いています)
社会保険労務士もやっと法人化できました。
公認会計士は、2名在籍しており、3人目も入社予定です。
TOTALグループは、総合士業事務所として、
お客様にとってシームレス(継ぎ目がない)なサービスができるようにしていきたいと思っています。
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