2014年11月16日
税理士試験受験専念と大学院免除(旧帝・経理マン)
税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
消費税増税は延期になりそうですね。
安倍政権では、経済産業省>財務省ですね。
※ご質問はここをクリック
おがP様からのお問合せです。
■年齢 29歳
■性別 男性
■資格 簿記論、財務諸表論
■職歴 営業1年→経理4年(スタッフクラス)
→経理1年(課長クラス)
■学歴 旧帝
■会計事務所経験 無し
■居住地 名古屋
■その他 既婚、子無し。貯金900万弱、ネットビジネスで月8万弱の収入があり、1、2年の専念や会計事務所の初期の低賃金は問題ありません。一日30分程度の作業ですので、受験勉強との両立も問題ありません。
はじめまして。いつもたのしく拝見させていただいております。
今回は受験専念と院免について御相談させていただきたく思い連絡させていただきました。
1、専念について
来年消費税法を受験予定です。その後退職し受験専念して法人税と他1科目を受験しようと思っています。
しかしその場合、受験後私は31歳未経験で、科目合格も簿・財(消)だけとなります。
Q.1
(1)やはり専念せずに一刻も早く会計事務所に就職した方が有利でしょうか。
(2)それとも専念後の合格発表を待って就職活動した方がいいでしょうか。
Q.2
就職する際にはどのような会計事務所を選ぶとよいでしょうか。
Q.3
免除について
私は正直、実務で勉強すれば試験は免除でも構わないのではと思っているのですが、やはり他の会計人からみれば「出来ない奴」のレッテルを貼られるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
A.1
個人的には(1)でも(2)でもなく、
試験に専念して再来年の税理士試験後、合格発表を待たずに8月に就職活動、9月入社が良いと思います。
31歳未経験は、学歴、職歴、科目数から就職に際しては全く問題になりません。
税理士試験は専門学校の模範解答で採点できますので、その結果、ボーダー付近かどうかはわかります。
試験後、12月まで待つ意味があまりありません。
もし官報合格まで待って就職しようとすると、経理出身で登録ができるだけに、いかにも独立前の腰掛けだと思われて、就職できる税理士法人・会計事務所の範囲が狭くなるでしょう。
合格科目が3科目+他の税法受験済み になったら早めに就職する方が良いでしょう。
メーカー経理出身者でたまに、会計事務所の経験がたいしてないまま独立する方がいますが、税理士業務をするのに独立当初から苦労しますし、将来できる仕事も簡単なものに限定され、営業だけできても山は低くなります。
おがP様にも3年くらいは会計事務所で勤務することをお勧めします。
そこそこ税法が仕上がっていたら、不合格でも、その3年のうちに働きながら税理士試験を受験・合格すればいいだけです。
(2)の合格発表を待つことを選ぶとしたら、むしろ不合格が確定的な場合に、翌年の受験のために勉強に専念できる時間を稼ぐときでしょう。
A.2
どのような会計事務所を選ぶかは、
(1)将来どんな税理士になってどんな仕事をしたいか
(2)就職時点で、何科目合格して勉強がどれだけ進んでいるか
によって異なると思います。
(もし、科目合格があまり進んでいなければ、大手は激務な事務所が多いのでお勧めしにくくなります)
<それ以外の注意点>
旧帝→企業経理の場合、高校が進学校だと、社会が多様だということをすっかり忘れている危険性があります。
小学校の同級生には色々な方がいましたよね。
うちでも東京大学をはじめとする旧帝出身者や、財閥系大企業の営業以外、間接部門の出身者の方でも、お客様の多様性に適応できずに転職当初は苦労しています。
今月も、学歴・職歴・税理士試験科目とも申し分のないスタッフが、お客様にダメ出しをされていました。
(負荷がかかりすぎないようにお客様の担当割をしたりして工夫はするのですが)
それ以上に深刻なのが、職場環境の多様性です。
会計事務所は大きくてもせいぜい従業員数百人の中小企業です。
所長、代表社員の個人商店に過ぎません。
所長が、いわゆる三流大学院免除や、高卒で学歴コンプレックスだったら…。
(もちろん学歴に関係なく、叩き上げで、優秀な税理士も多いのですが)
所長は気を使ってくれても、お局さんや番頭さんが意地悪だったら…。
大手でも、マネジメントが標準化されているところはほぼないですし、
(課長研修なんてありません)
業務の標準化・文書化すらしていない会計事務所も多いでしょう。
「前のを見てやって」、「先輩の仕事を見て盗んで覚えろ」なんてことがまかり通っています。
教えてもらってないのに「なんでそんなこともできないの」
業務レベルや従業員のレベルは、所長のレベルに大きく依存します。
合わなかったらあまり長居はせずに、次の会計事務所に転職するのも手です。
ある程度均質な社会で生きてきたおがP様の場合、人間がだいぶ練れて穏やかな50代くらいの所長税理士の従業員5人以上の税理士事務所・税理士法人がお勧めです。
従業員の平均年齢が社歴の割に妙に若い事務所は、辞める理由があるとみるべきでしょう。
独立しないならもう少し大きめのところを選ぶか、数年後に転職することになります。
また、大学院免除も視野に入れるなら、通学に理解があるところが良いですよね。
A.3
税理士試験は 税額計算 と 税法理論の暗記 という実務に直結したものなのに対して、
(実務家登用試験としては実によくできています)
大学院は学術の理論および応用を教育研究するのが目的なので、税理士実務と直結しているとは言い難いものも多いでしょう。速さと正確性が求められる厳しい試験を乗り越えてきただけに税務のレベルは、試験直後について言うなら試験組の方が高いと言って差し支えないと思います。
それだけに、試験組の会計人の中には、大学院免除に「出来ない奴」のレッテルを貼る人は存在します。
もちろん、本人の前であからさまに差別したり言ったりはしませんが、いないところで「〇〇さんは免除でしょ」みたいな会話が試験組の間でなされるのをお聞きすることはあります。
(ずるい、うまくやっているというやっかみに近い感情もあるのかもしれません)
スタッフには大学院卒・通学中の者も多いのですが、さすがに授業との両立、修士論文の作成は大変で苦労もしていますが。
本音が出る?インターネット上では大学院免除批判があふれています。人の口には戸は立てられません。レッテル貼りを気にしても仕方がありません。大学院免除組も、きちんと税法を学び続ければ良いだけです。
大学院免除の税理士の中には、コンプレックスをばねにその後、勉強をして一定以上の税務レベルの人もいます。また、試験組でも合格後はほとんど勉強しないで低いレベルで仕事をしている人もいます。
きちんと努力をし続けて「出来る税理士」になりましょう。
===================
私自身は、旧法(平成14年3月以前進学)の税法免除は問題が大きかったと思いますが、現行法は大学院免除でも一定の試験合格が求められており、大学院修了者もかなり採用しています。
また、税理士試験はやや厳しすぎると思っているので、税理士法人TOTALでは実務経験が数年ある仕事ができるスタッフで、試験が厳しそう・時間がかかりすぎるという方、年齢が高くなって辛そうという方には、大学院免除を勧めています。
ケースによっては一定の条件の下、選抜して学費を全額負担しています。
「全額」負担は珍しいらしく、同業の税理士事務所所長にはかなり驚かれます。
当税理士法人には大学院修了者も12名いますし
現在、働きながら大学院に通っているスタッフも3名在籍中です。
なお、税理士法人TOTALでは、専門学校の学費も
正社員は、一定の条件で負担しています。
受験スタッフも、試験後に入社又は受験スタッフとして継続勤務した場合、科目合格したときは、
次年度試験の受験費用を事務所負担。
(1科目かつ最大10万円を限度といたします。ご注意ください)
今後もスタッフの税理士資格取得を積極的に支援するつもりです。
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消費税増税は延期になりそうですね。
安倍政権では、経済産業省>財務省ですね。
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■年齢 29歳
■性別 男性
■資格 簿記論、財務諸表論
■職歴 営業1年→経理4年(スタッフクラス)
→経理1年(課長クラス)
■学歴 旧帝
■会計事務所経験 無し
■居住地 名古屋
■その他 既婚、子無し。貯金900万弱、ネットビジネスで月8万弱の収入があり、1、2年の専念や会計事務所の初期の低賃金は問題ありません。一日30分程度の作業ですので、受験勉強との両立も問題ありません。
はじめまして。いつもたのしく拝見させていただいております。
今回は受験専念と院免について御相談させていただきたく思い連絡させていただきました。
1、専念について
来年消費税法を受験予定です。その後退職し受験専念して法人税と他1科目を受験しようと思っています。
しかしその場合、受験後私は31歳未経験で、科目合格も簿・財(消)だけとなります。
Q.1
(1)やはり専念せずに一刻も早く会計事務所に就職した方が有利でしょうか。
(2)それとも専念後の合格発表を待って就職活動した方がいいでしょうか。
Q.2
就職する際にはどのような会計事務所を選ぶとよいでしょうか。
Q.3
免除について
私は正直、実務で勉強すれば試験は免除でも構わないのではと思っているのですが、やはり他の会計人からみれば「出来ない奴」のレッテルを貼られるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
A.1
個人的には(1)でも(2)でもなく、
試験に専念して再来年の税理士試験後、合格発表を待たずに8月に就職活動、9月入社が良いと思います。
31歳未経験は、学歴、職歴、科目数から就職に際しては全く問題になりません。
税理士試験は専門学校の模範解答で採点できますので、その結果、ボーダー付近かどうかはわかります。
試験後、12月まで待つ意味があまりありません。
もし官報合格まで待って就職しようとすると、経理出身で登録ができるだけに、いかにも独立前の腰掛けだと思われて、就職できる税理士法人・会計事務所の範囲が狭くなるでしょう。
合格科目が3科目+他の税法受験済み になったら早めに就職する方が良いでしょう。
メーカー経理出身者でたまに、会計事務所の経験がたいしてないまま独立する方がいますが、税理士業務をするのに独立当初から苦労しますし、将来できる仕事も簡単なものに限定され、営業だけできても山は低くなります。
おがP様にも3年くらいは会計事務所で勤務することをお勧めします。
そこそこ税法が仕上がっていたら、不合格でも、その3年のうちに働きながら税理士試験を受験・合格すればいいだけです。
(2)の合格発表を待つことを選ぶとしたら、むしろ不合格が確定的な場合に、翌年の受験のために勉強に専念できる時間を稼ぐときでしょう。
A.2
どのような会計事務所を選ぶかは、
(1)将来どんな税理士になってどんな仕事をしたいか
(2)就職時点で、何科目合格して勉強がどれだけ進んでいるか
によって異なると思います。
(もし、科目合格があまり進んでいなければ、大手は激務な事務所が多いのでお勧めしにくくなります)
<それ以外の注意点>
旧帝→企業経理の場合、高校が進学校だと、社会が多様だということをすっかり忘れている危険性があります。
小学校の同級生には色々な方がいましたよね。
うちでも東京大学をはじめとする旧帝出身者や、財閥系大企業の営業以外、間接部門の出身者の方でも、お客様の多様性に適応できずに転職当初は苦労しています。
今月も、学歴・職歴・税理士試験科目とも申し分のないスタッフが、お客様にダメ出しをされていました。
(負荷がかかりすぎないようにお客様の担当割をしたりして工夫はするのですが)
それ以上に深刻なのが、職場環境の多様性です。
会計事務所は大きくてもせいぜい従業員数百人の中小企業です。
所長、代表社員の個人商店に過ぎません。
所長が、いわゆる三流大学院免除や、高卒で学歴コンプレックスだったら…。
(もちろん学歴に関係なく、叩き上げで、優秀な税理士も多いのですが)
所長は気を使ってくれても、お局さんや番頭さんが意地悪だったら…。
大手でも、マネジメントが標準化されているところはほぼないですし、
(課長研修なんてありません)
業務の標準化・文書化すらしていない会計事務所も多いでしょう。
「前のを見てやって」、「先輩の仕事を見て盗んで覚えろ」なんてことがまかり通っています。
教えてもらってないのに「なんでそんなこともできないの」
業務レベルや従業員のレベルは、所長のレベルに大きく依存します。
合わなかったらあまり長居はせずに、次の会計事務所に転職するのも手です。
ある程度均質な社会で生きてきたおがP様の場合、人間がだいぶ練れて穏やかな50代くらいの所長税理士の従業員5人以上の税理士事務所・税理士法人がお勧めです。
従業員の平均年齢が社歴の割に妙に若い事務所は、辞める理由があるとみるべきでしょう。
独立しないならもう少し大きめのところを選ぶか、数年後に転職することになります。
また、大学院免除も視野に入れるなら、通学に理解があるところが良いですよね。
A.3
税理士試験は 税額計算 と 税法理論の暗記 という実務に直結したものなのに対して、
(実務家登用試験としては実によくできています)
大学院は学術の理論および応用を教育研究するのが目的なので、税理士実務と直結しているとは言い難いものも多いでしょう。速さと正確性が求められる厳しい試験を乗り越えてきただけに税務のレベルは、試験直後について言うなら試験組の方が高いと言って差し支えないと思います。
それだけに、試験組の会計人の中には、大学院免除に「出来ない奴」のレッテルを貼る人は存在します。
もちろん、本人の前であからさまに差別したり言ったりはしませんが、いないところで「〇〇さんは免除でしょ」みたいな会話が試験組の間でなされるのをお聞きすることはあります。
(ずるい、うまくやっているというやっかみに近い感情もあるのかもしれません)
スタッフには大学院卒・通学中の者も多いのですが、さすがに授業との両立、修士論文の作成は大変で苦労もしていますが。
本音が出る?インターネット上では大学院免除批判があふれています。人の口には戸は立てられません。レッテル貼りを気にしても仕方がありません。大学院免除組も、きちんと税法を学び続ければ良いだけです。
大学院免除の税理士の中には、コンプレックスをばねにその後、勉強をして一定以上の税務レベルの人もいます。また、試験組でも合格後はほとんど勉強しないで低いレベルで仕事をしている人もいます。
きちんと努力をし続けて「出来る税理士」になりましょう。
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私自身は、旧法(平成14年3月以前進学)の税法免除は問題が大きかったと思いますが、現行法は大学院免除でも一定の試験合格が求められており、大学院修了者もかなり採用しています。
また、税理士試験はやや厳しすぎると思っているので、税理士法人TOTALでは実務経験が数年ある仕事ができるスタッフで、試験が厳しそう・時間がかかりすぎるという方、年齢が高くなって辛そうという方には、大学院免除を勧めています。
ケースによっては一定の条件の下、選抜して学費を全額負担しています。
「全額」負担は珍しいらしく、同業の税理士事務所所長にはかなり驚かれます。
当税理士法人には大学院修了者も12名いますし
現在、働きながら大学院に通っているスタッフも3名在籍中です。
なお、税理士法人TOTALでは、専門学校の学費も
正社員は、一定の条件で負担しています。
受験スタッフも、試験後に入社又は受験スタッフとして継続勤務した場合、科目合格したときは、
次年度試験の受験費用を事務所負担。
(1科目かつ最大10万円を限度といたします。ご注意ください)
今後もスタッフの税理士資格取得を積極的に支援するつもりです。
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