2013年04月28日
40代からの会計事務所転職と税理士資格取得
税理士法人TOTALの税理士 高橋寿克です。
S様よりのご質問です。
内容:
■年齢 42歳
■性別 女
■資格 簿記1級、宅建合格者
簿記論・財務諸表論(消費税受験中)
全て、学生時代の2年間のみ
■職歴 学校事務6年、派遣事務 2年
会計事務所 2年
■学 歴 専門学校卒
■会計事務所経験 2年パート 入力スタッフ
■居住地 愛知県 名古屋市以外
■その他 家庭と仕事の両立中
将来は、税理士を目指して、40歳から主婦・子育て・仕事をしながら勉強を再開した者です。
質問は、「転職の可能性」と「受験専念の先に」ついてです。
今は、小規模(所長含めて8人)の会計事務所で入力スタッフとして働いています。
ずっと働こうと思っていましたが、所長より「貴方はうちの事務所には合わない」と、解雇を促されました。
具体的な理由は、「ミスが多い、真剣さが感じられない」との事。
スタッフ間では「一緒に頑張ろう」と、環境もよく残念でしたが、経営者とコミュニケーションが取れなかった自分の能力不足、姿勢に甘さもあったのかと、自問自答しながら辞める事にしました。お仕事の内容は、会計ソフトへの入力、電話・来客対応などで、入力も月次決算までで、年末調整や決算、各種届出事務はした事がありません。
そこで、お尋ねしたいのが
Q.1 転職に私の実務経験は役にたちますか
Q.2 年齢的に転職先があるかどうか
Q.3 転職先がなかった場合、受験専念で合格して可能性があるか否か
事務所を辞める私は、振り出しに戻ってしまいました。年齢や辞めた理由を考えると、以前よりも状況は厳しいと思っています。
事務所への転職が叶わなくても自分で出来る努力を続けながら、何かの仕事には就くつもりです。。何卒、よろしくお願い致します。
A.
税理士法人TOTALは、最近の年間離職率は10%くらいです。
うちは転勤族の主婦のパートの方も多いのでそのうち半分(全体では5%)が旦那さんの転勤等,家庭の事情による退職で、実質離職率は5%くらいです。
そのうちの半分(2.5%)は採用のミスマッチ、
残り(2.5%)が、独立、他業種への転職、体調不良等になります。
直近の採用は旦那さんの転勤1名を除いて1年半近く誰も退職していませんし、だいぶ落ち着いてきましたがまだまだです。
旦那さんの転勤は避けられませんが(多店舗展開して受け皿は増やします)、採用のミスマッチを減らして実質年間離職率を優良上場企業並みの3〜4%にするのが現在の目標です。
「会計事務所・税理士事務所の離職率」についてはこちら
私が以前は苦手にしていたのが40代以上の方の処遇です。
若いスタッフと同じような成長、同じような作業の速さと精度を求めて、負荷をかけすぎて、自分から辞めていかれた方が何人もおられました。年齢によって仕事の仕方、教育の仕方が違うということを理解していなかったのです。
その方たちの中には、税理士法人TOTALをやめたのち、50代で税理士資格をおとりになって、人柄を評価され今や税理士法人の代表社員をしている方、若いころの職歴を生かした専門性のある税理士として活躍している方、自分のペースで働ける会計事務所に移ってのんびりと働いている方など、多くの方がそれぞれの場所で頑張っておられます。
私が若すぎて、上手に雇用してあげられなかったのです。
今回、井上会計との合流で、たくさんの年上の「部下」を持つことになりました。
私自身も年齢を重ね経験を積んできたせいか、彼ら・彼女たちの高いコミュニケーション能力、細かな気づき、しっかりした礼儀等
「年の功」の良さを感じることが多く、学ばせていただいています。今回の会計事務所合併は今のところ想像以上に順調に進んでいます。
(TOTALに合流してもいいという先生がおられましたら、ご連絡ください)
A.1
会計事務所の経験が2年、事務経験は通算10年あります。
入力経験があり、一通りの流れも経験しています。
もちろん転職に実務経験は役に立ちます。
A.2
実務経験、2科目持ち、税法勉強中、
転職先はあると思います。
ただ、会計事務所は零細企業なので所長と合うかどうかが最も重要で、なおかつ、所長税理士は職人肌のため、経営者としては未熟で、年上の部下を使うのが得意でないことが多いでしょう。
勤務していた(いる?)会計事務所は8名の職員なら、会計事務所としては小規模というより中規模と言っていいかもしれません。
税理士の平均年齢は60歳以上です。小規模の所長税理士の中には、50代・60代の方も多く、お客様もそれなりの年齢のため、職員も20代よりは40代経験者の方が良いという税理士もいます。
実はそういう会計事務所の方が、単価が高くて良いお客様の比率が高かったりします。
Q.3
上記の税理士法人TOTALに在籍していた方々は採用時に、代表社員は50代3科目未経験、専門税理士は40代後半未経験4科目、その他40代未経験有資格者等でしたが採用しました(全員女性です)。
有資格者、科目が進んだ者を即戦力、後継者として採用したい会計事務所はいくらでもあります。
S様の場合、所長が若い、成長著しい事務所で作業のスピードと精度を競うのはやめた方が良いでしょう。
40代後半以上の所長の事務所なら、丹念に探せば、S様を必要とする会計事務所があると思います。
====================
税理士は、無資格職員がお客様を担当していますが、士業の中では異常です。
医師以外の職員が手術をしたり、助手が歯を治療するようなものです。司法書士なら、無資格者の立ち合いは懲戒事由です。長い目で見ると税理士以外の担当者は減るでしょう。現状でも法律的には税理士しか税務相談はできないことになっています。税理士が余り始めており、登録者以外の担当を禁じる法律改正・運用変更が将来も絶対ないとは言い切れません。
今、重宝されている無資格担当者は将来は不要になる危険性があります。TOTALでは現在、総勢70名の内、26名が士業資格者で、24名が資格試験の受験生です。外回り担当者には主婦を除き、資格の勉強をしてもらっています。
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S様よりのご質問です。
内容:
■年齢 42歳
■性別 女
■資格 簿記1級、宅建合格者
簿記論・財務諸表論(消費税受験中)
全て、学生時代の2年間のみ
■職歴 学校事務6年、派遣事務 2年
会計事務所 2年
■学 歴 専門学校卒
■会計事務所経験 2年パート 入力スタッフ
■居住地 愛知県 名古屋市以外
■その他 家庭と仕事の両立中
将来は、税理士を目指して、40歳から主婦・子育て・仕事をしながら勉強を再開した者です。
質問は、「転職の可能性」と「受験専念の先に」ついてです。
今は、小規模(所長含めて8人)の会計事務所で入力スタッフとして働いています。
ずっと働こうと思っていましたが、所長より「貴方はうちの事務所には合わない」と、解雇を促されました。
具体的な理由は、「ミスが多い、真剣さが感じられない」との事。
スタッフ間では「一緒に頑張ろう」と、環境もよく残念でしたが、経営者とコミュニケーションが取れなかった自分の能力不足、姿勢に甘さもあったのかと、自問自答しながら辞める事にしました。お仕事の内容は、会計ソフトへの入力、電話・来客対応などで、入力も月次決算までで、年末調整や決算、各種届出事務はした事がありません。
そこで、お尋ねしたいのが
Q.1 転職に私の実務経験は役にたちますか
Q.2 年齢的に転職先があるかどうか
Q.3 転職先がなかった場合、受験専念で合格して可能性があるか否か
事務所を辞める私は、振り出しに戻ってしまいました。年齢や辞めた理由を考えると、以前よりも状況は厳しいと思っています。
事務所への転職が叶わなくても自分で出来る努力を続けながら、何かの仕事には就くつもりです。。何卒、よろしくお願い致します。
A.
税理士法人TOTALは、最近の年間離職率は10%くらいです。
うちは転勤族の主婦のパートの方も多いのでそのうち半分(全体では5%)が旦那さんの転勤等,家庭の事情による退職で、実質離職率は5%くらいです。
そのうちの半分(2.5%)は採用のミスマッチ、
残り(2.5%)が、独立、他業種への転職、体調不良等になります。
直近の採用は旦那さんの転勤1名を除いて1年半近く誰も退職していませんし、だいぶ落ち着いてきましたがまだまだです。
旦那さんの転勤は避けられませんが(多店舗展開して受け皿は増やします)、採用のミスマッチを減らして実質年間離職率を優良上場企業並みの3〜4%にするのが現在の目標です。
「会計事務所・税理士事務所の離職率」についてはこちら
私が以前は苦手にしていたのが40代以上の方の処遇です。
若いスタッフと同じような成長、同じような作業の速さと精度を求めて、負荷をかけすぎて、自分から辞めていかれた方が何人もおられました。年齢によって仕事の仕方、教育の仕方が違うということを理解していなかったのです。
その方たちの中には、税理士法人TOTALをやめたのち、50代で税理士資格をおとりになって、人柄を評価され今や税理士法人の代表社員をしている方、若いころの職歴を生かした専門性のある税理士として活躍している方、自分のペースで働ける会計事務所に移ってのんびりと働いている方など、多くの方がそれぞれの場所で頑張っておられます。
私が若すぎて、上手に雇用してあげられなかったのです。
今回、井上会計との合流で、たくさんの年上の「部下」を持つことになりました。
私自身も年齢を重ね経験を積んできたせいか、彼ら・彼女たちの高いコミュニケーション能力、細かな気づき、しっかりした礼儀等
「年の功」の良さを感じることが多く、学ばせていただいています。今回の会計事務所合併は今のところ想像以上に順調に進んでいます。
(TOTALに合流してもいいという先生がおられましたら、ご連絡ください)
A.1
会計事務所の経験が2年、事務経験は通算10年あります。
入力経験があり、一通りの流れも経験しています。
もちろん転職に実務経験は役に立ちます。
A.2
実務経験、2科目持ち、税法勉強中、
転職先はあると思います。
ただ、会計事務所は零細企業なので所長と合うかどうかが最も重要で、なおかつ、所長税理士は職人肌のため、経営者としては未熟で、年上の部下を使うのが得意でないことが多いでしょう。
勤務していた(いる?)会計事務所は8名の職員なら、会計事務所としては小規模というより中規模と言っていいかもしれません。
税理士の平均年齢は60歳以上です。小規模の所長税理士の中には、50代・60代の方も多く、お客様もそれなりの年齢のため、職員も20代よりは40代経験者の方が良いという税理士もいます。
実はそういう会計事務所の方が、単価が高くて良いお客様の比率が高かったりします。
Q.3
上記の税理士法人TOTALに在籍していた方々は採用時に、代表社員は50代3科目未経験、専門税理士は40代後半未経験4科目、その他40代未経験有資格者等でしたが採用しました(全員女性です)。
有資格者、科目が進んだ者を即戦力、後継者として採用したい会計事務所はいくらでもあります。
S様の場合、所長が若い、成長著しい事務所で作業のスピードと精度を競うのはやめた方が良いでしょう。
40代後半以上の所長の事務所なら、丹念に探せば、S様を必要とする会計事務所があると思います。
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税理士は、無資格職員がお客様を担当していますが、士業の中では異常です。
医師以外の職員が手術をしたり、助手が歯を治療するようなものです。司法書士なら、無資格者の立ち合いは懲戒事由です。長い目で見ると税理士以外の担当者は減るでしょう。現状でも法律的には税理士しか税務相談はできないことになっています。税理士が余り始めており、登録者以外の担当を禁じる法律改正・運用変更が将来も絶対ないとは言い切れません。
今、重宝されている無資格担当者は将来は不要になる危険性があります。TOTALでは現在、総勢70名の内、26名が士業資格者で、24名が資格試験の受験生です。外回り担当者には主婦を除き、資格の勉強をしてもらっています。
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コメント一覧
3. Posted by 税理士ひさ 2013年05月06日 14:56
>Y.A様
書き込みありがとうございます。
勉強とその後のお仕事がんっばってください。
書き込みありがとうございます。
勉強とその後のお仕事がんっばってください。
2. Posted by Y.A 2013年05月03日 00:32
いつも拝読させて頂いております。
40代女性、科目合格し現在受験専念中の者です。
勉強は苦しくも楽しいのですが、仮に合格したとしても高年齢の女性の税理士志願者は市場での需要が無いのでは…と不安に思っておりましたので、今回のご質問者様へのご解答に光明を見たような思いが致しました。
私も例え厳しくとも今後も努力を続けていこうと思います。
ありがとうございました。
40代女性、科目合格し現在受験専念中の者です。
勉強は苦しくも楽しいのですが、仮に合格したとしても高年齢の女性の税理士志願者は市場での需要が無いのでは…と不安に思っておりましたので、今回のご質問者様へのご解答に光明を見たような思いが致しました。
私も例え厳しくとも今後も努力を続けていこうと思います。
ありがとうございました。
1. Posted by S 2013年04月28日 12:29
sです。高槁先生、お忙しい中お返事をいただき有難うございました。
勤務先に辞意を伝えてから、退職までの毎日を「事務所で働くのは最後になるかも」の気持ちで、
今は後悔のないように仕事に取り組んでいます。
夏を前に退職する事になりそうです。
お返事を拝見しました。
今後の転職先についても、具体的にご提示下さり有難うございました。
辞めると決めた時、
解答は他にもある。正しいとか、間違ってるとか
将来を決めるのは今後の自分の在り方しかない。と、考えて気持ちを切り換えるようにしてました。
出来る努力を続けて諦めずに勉強も、就職活動もしてみます。
人間力というか、自己研鑽も努めたいと思いました。
これからも、ブログを拝見させていただきます。
この度は、お世話になり有難うございました。
勤務先に辞意を伝えてから、退職までの毎日を「事務所で働くのは最後になるかも」の気持ちで、
今は後悔のないように仕事に取り組んでいます。
夏を前に退職する事になりそうです。
お返事を拝見しました。
今後の転職先についても、具体的にご提示下さり有難うございました。
辞めると決めた時、
解答は他にもある。正しいとか、間違ってるとか
将来を決めるのは今後の自分の在り方しかない。と、考えて気持ちを切り換えるようにしてました。
出来る努力を続けて諦めずに勉強も、就職活動もしてみます。
人間力というか、自己研鑽も努めたいと思いました。
これからも、ブログを拝見させていただきます。
この度は、お世話になり有難うございました。