2013年04月03日
会計事務所の就職はミスマッチ 買い手市場?それとも 売り手市場?
東京都・千葉県の税理士法人TOTAL代表
税理士の高橋寿克です。
税理士法人TOTALは、会計事務所のハイシーズン、確定申告は終わり、今週はひと段落。
もっとも忙しいのはスタッフの皆さんで、
私は、個人の確定申告は資産税関係以外、ほとんど関与していないので
みんなが忙しい分、暇でしたが…
(スタッフには申し訳ないけど、実はスタッフからの問い合わせが減って、私は一年中で一番閑かも)。
ちなみに、経営者なので、私の忙しさは一年中似たようなもの。
意外と皆さんが閑な8月は、就職シーズンでちょっとだけ普段より忙しかったり。
それでも 「忙しい」と大騒ぎするほどのものではありません。
土日は桜をのんびり眺めたり、情報収集で他の事務所や求人業者のサイトをネットサーフィンしたり…。
ネットサーフィンをしていてわかったこと。
実は今、会計事務所の就職状況はミスマッチが拡大しているってことです。
会計事務所の就職活動において
・「買い手市場」
「会計事務所」が人を採用しやすい状況。
・「売り手市場」
「就職希望者」が就職しやすい状況
おそらく、これを読んでくれている就職希望者、特に未経験者の方の多くは、就職市場は「買い手市場」だと感じているでしょう。
簿記3級程度ならともかく、簿記論、財務諸表論の合格があっても、大学院免除で有資格者でもたくさん履歴書を書いているのになかなか会計事務所に決まらない。
(これって普通の就活と変わらないですね。)
逆に、会計事務所経営者は、普通にあいさつができる「まともな人」がいない、「売り手市場」で困ったなあと思っている人が多いはずです。
実際、求人募集に対する反応は落ちてきており、税理士法人TOTALでも募集する人材の数に達せず、
「人材ドラフト」等の外部の有償媒体を使っています。
大原簿記専門学校の就職情報誌「WIN」やTACの「CAREER」もだいぶ以前の厚さも戻ってきていますし、
人材ドラフトのようなネット媒体は正確に数えていませんが、おそらく今が過去最高レベルの求人の出稿ではないでしょうか。すごい数の会計事務所が求人しています。
====================
税理士法人TOTALの「人材ドラフト」への掲載は予算の都合で4月上旬に終わりますが、一年を通じて自社ホームページで募集しています。
よろしければ税理士法人TOTALの採用ページをご覧いただけると幸いです。ご応募お待ちしています。
====================
以前に比べて退職する人が減っており、良い人材は動かなくなりました。また、ちょっと前の公認会計士試験の惨状で会計業界に新規で参入してくる人材も細っています。
一方で、会計事務所の優劣ははっきりしてきており、上位の少数の税理士事務所にお客様が急速に集中しつつあります。
(税理士法人TOTALは幸い、選ばれている側なので助かっています)
残念ながら、顧問料は下がり続けているので、お客様が増えている会計事務所経営者は、いかに良質な職員を予算の範囲内で確保できるかに頭を悩まされることになります。
会計事務所経営者が就職希望者に求める資質は
(1)専門知識
簿記論、財務諸表論はもちろん、法人税、消費税、相続税
(2)作業処理能力
スピードと正確性が求められます。
(3)コミュニケーション能力
社長さんや資産家を担当するには、気づき、気遣いが必要です
会計事務所も大型化、機能分化がはじまっているので
他の職員とうまく連携する組織適性もコミュニケーション能力が必要です。
従来、会計事務所の仕事のスタイルは一人完結型が多かったため、(1)、(2)が重視されました。
税理士試験の3科目合格以上が選ばれるのは(1)、そして会計事務所経験者が好まれたのは教育コストまで考えると(2)が優れているからです。
小さい事務所なら、所長が訪問して職員は作業処理をすれば、また、月次巡回監査を担当者がしても毎月の訪問の中でじっくり経験を積んで人間関係を作れれば、(3)はあまり重視する必要がなかったのでしょう。
他業界の営業で通用してきた人が少ない(もともと営業を嫌ったり避けてくる人が多い)会計業界では、組織に向いた(3)の優れた人材は不足がちです。一方でコンピューターの発達とマニュアル化で中途半端な会計事務所経験はあまり重視されなくなっていきます。
最近では、お客様を増やしている会計事務所ほど、サービス業化し、また分業も進んでいるのでコミュニケーション能力を重視し、このため、準大手の一部などでは、税理士試験の科目合格者・経験者より、コミュニケーション能力に優れて洗脳しやすい会計事務所未経験者を精神教育し、税理士試験の受験をしない・重視しない人間を作って、長時間労働で生産性を上げようとしているのかなという例もあります。
もっとも、会計事務所経営者からすると、あいさつがきちんとできない、仕事に対する責任感がない身勝手な受験生が増えて最低限の精神教育が必要になってしまったという思いも理解できますが。
この構造・変化に税理士受験生が気付かないので、ミスマッチが生じやすくなっているように思います。
ただ、仕事を優先して、税理士試験をおろそかにし過ぎると、将来、逆風が吹いたり転職するときに危険になります。
税理士受験生には、初心を忘れずに、大変ですが仕事と勉強の両立を頑張って、税理士にいつかなってもらいたいと思います。
===================
税理士法人TOTALでは(2)、(3)のバランスが取れた人材を採用し、じっくり育てたいと思っています。
最初から複数科目合格であればもちろん高く評価しますが、仕事と勉強の両立を支援すれば徐々に知識は身に着きます。OJTや一定の社内教育もしていますが、試験と実務は違います。税理士試験の受験勉強は専門知識を獲得する一番の近道だと思っています(税理士試験はスピードと記憶の定着を図るので、(1)と(2)の訓練には最適です)。
実際に働き始めると、(2)や(3)が欠けている人も残念ながらいます。その時は、適材適所で処遇し、足りない部分はバックアップするようにしています。
自分で言うのもなんですが、仕事と勉強の両立を支援し、その後も、医療や資産税等の専門人材を目指したり、教育、管理、営業とキャリアプランを用意でき、色々な仕組み、色々な可能性がある税理士法人TOTALは結構いい会計事務所ではないかと勝手に思っているのですが。
===================
※なお、ご質問はここをクリック
また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。
ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。
「過去の質問」はこちら
税理士の高橋寿克です。
税理士法人TOTALは、会計事務所のハイシーズン、確定申告は終わり、今週はひと段落。
もっとも忙しいのはスタッフの皆さんで、
私は、個人の確定申告は資産税関係以外、ほとんど関与していないので
みんなが忙しい分、暇でしたが…
(スタッフには申し訳ないけど、実はスタッフからの問い合わせが減って、私は一年中で一番閑かも)。
ちなみに、経営者なので、私の忙しさは一年中似たようなもの。
意外と皆さんが閑な8月は、就職シーズンでちょっとだけ普段より忙しかったり。
それでも 「忙しい」と大騒ぎするほどのものではありません。
土日は桜をのんびり眺めたり、情報収集で他の事務所や求人業者のサイトをネットサーフィンしたり…。
ネットサーフィンをしていてわかったこと。
実は今、会計事務所の就職状況はミスマッチが拡大しているってことです。
会計事務所の就職活動において
・「買い手市場」
「会計事務所」が人を採用しやすい状況。
・「売り手市場」
「就職希望者」が就職しやすい状況
おそらく、これを読んでくれている就職希望者、特に未経験者の方の多くは、就職市場は「買い手市場」だと感じているでしょう。
簿記3級程度ならともかく、簿記論、財務諸表論の合格があっても、大学院免除で有資格者でもたくさん履歴書を書いているのになかなか会計事務所に決まらない。
(これって普通の就活と変わらないですね。)
逆に、会計事務所経営者は、普通にあいさつができる「まともな人」がいない、「売り手市場」で困ったなあと思っている人が多いはずです。
実際、求人募集に対する反応は落ちてきており、税理士法人TOTALでも募集する人材の数に達せず、
「人材ドラフト」等の外部の有償媒体を使っています。
大原簿記専門学校の就職情報誌「WIN」やTACの「CAREER」もだいぶ以前の厚さも戻ってきていますし、
人材ドラフトのようなネット媒体は正確に数えていませんが、おそらく今が過去最高レベルの求人の出稿ではないでしょうか。すごい数の会計事務所が求人しています。
====================
税理士法人TOTALの「人材ドラフト」への掲載は予算の都合で4月上旬に終わりますが、一年を通じて自社ホームページで募集しています。
よろしければ税理士法人TOTALの採用ページをご覧いただけると幸いです。ご応募お待ちしています。
====================
以前に比べて退職する人が減っており、良い人材は動かなくなりました。また、ちょっと前の公認会計士試験の惨状で会計業界に新規で参入してくる人材も細っています。
一方で、会計事務所の優劣ははっきりしてきており、上位の少数の税理士事務所にお客様が急速に集中しつつあります。
(税理士法人TOTALは幸い、選ばれている側なので助かっています)
残念ながら、顧問料は下がり続けているので、お客様が増えている会計事務所経営者は、いかに良質な職員を予算の範囲内で確保できるかに頭を悩まされることになります。
会計事務所経営者が就職希望者に求める資質は
(1)専門知識
簿記論、財務諸表論はもちろん、法人税、消費税、相続税
(2)作業処理能力
スピードと正確性が求められます。
(3)コミュニケーション能力
社長さんや資産家を担当するには、気づき、気遣いが必要です
会計事務所も大型化、機能分化がはじまっているので
他の職員とうまく連携する組織適性もコミュニケーション能力が必要です。
従来、会計事務所の仕事のスタイルは一人完結型が多かったため、(1)、(2)が重視されました。
税理士試験の3科目合格以上が選ばれるのは(1)、そして会計事務所経験者が好まれたのは教育コストまで考えると(2)が優れているからです。
小さい事務所なら、所長が訪問して職員は作業処理をすれば、また、月次巡回監査を担当者がしても毎月の訪問の中でじっくり経験を積んで人間関係を作れれば、(3)はあまり重視する必要がなかったのでしょう。
他業界の営業で通用してきた人が少ない(もともと営業を嫌ったり避けてくる人が多い)会計業界では、組織に向いた(3)の優れた人材は不足がちです。一方でコンピューターの発達とマニュアル化で中途半端な会計事務所経験はあまり重視されなくなっていきます。
最近では、お客様を増やしている会計事務所ほど、サービス業化し、また分業も進んでいるのでコミュニケーション能力を重視し、このため、準大手の一部などでは、税理士試験の科目合格者・経験者より、コミュニケーション能力に優れて洗脳しやすい会計事務所未経験者を精神教育し、税理士試験の受験をしない・重視しない人間を作って、長時間労働で生産性を上げようとしているのかなという例もあります。
もっとも、会計事務所経営者からすると、あいさつがきちんとできない、仕事に対する責任感がない身勝手な受験生が増えて最低限の精神教育が必要になってしまったという思いも理解できますが。
この構造・変化に税理士受験生が気付かないので、ミスマッチが生じやすくなっているように思います。
ただ、仕事を優先して、税理士試験をおろそかにし過ぎると、将来、逆風が吹いたり転職するときに危険になります。
税理士受験生には、初心を忘れずに、大変ですが仕事と勉強の両立を頑張って、税理士にいつかなってもらいたいと思います。
===================
税理士法人TOTALでは(2)、(3)のバランスが取れた人材を採用し、じっくり育てたいと思っています。
最初から複数科目合格であればもちろん高く評価しますが、仕事と勉強の両立を支援すれば徐々に知識は身に着きます。OJTや一定の社内教育もしていますが、試験と実務は違います。税理士試験の受験勉強は専門知識を獲得する一番の近道だと思っています(税理士試験はスピードと記憶の定着を図るので、(1)と(2)の訓練には最適です)。
実際に働き始めると、(2)や(3)が欠けている人も残念ながらいます。その時は、適材適所で処遇し、足りない部分はバックアップするようにしています。
自分で言うのもなんですが、仕事と勉強の両立を支援し、その後も、医療や資産税等の専門人材を目指したり、教育、管理、営業とキャリアプランを用意でき、色々な仕組み、色々な可能性がある税理士法人TOTALは結構いい会計事務所ではないかと勝手に思っているのですが。
===================
※なお、ご質問はここをクリック
また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。
ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。
「過去の質問」はこちら