2012年08月25日
投資銀行業務と税理士業務
東京都千代田区・新宿区と千葉県船橋市の税理士法人TOTALの税理士 高橋寿克です。
T様よりのご質問です。
内容
■年齢 27歳
■性別 男
■資格 簿記2級 FP2級
2013年度簿記論、財務諸表論受験予定
■職歴 投資銀行 トレーダー 5年程度(都内)
■学歴 国内私立大学部卒
■会計事務所経験 無
■居住地 東京
この度はこのような形でのご質問になりまして大変恐縮でございます。
職業柄、詳細を書きすぎるとすぐに特定されてしまうため、かなり簡素に書かせて頂いております。
Q.1
そもそも税理士になるべきか。
将来のビジョンとして、現在の投資銀行業務をこのまま継続していくことは考えておらず、
3年程度で税理士5科目(大学院免除含む)を取得して転職をしたいと考えています。
しかし、その際には年齢が31、2くらいということ、給料が相当下がるだろうと予想されることなどの懸念があります。そんな中でも、この難関資格を取得して将来は税理士や経営者を目指すべきだ。と思う決定的な理由はありますでしょうか?
まわりの意見の中には、「税理士になっても今と比べてリターン(年収など)すくないんじゃないの」という声もあります。
それだとしたら、何のために毎日勉強しているのか不安になってしまいます。
Q.2
大学院免除の際に、早稲田、筑波などいわゆる国内トップ大学を選ぶべきですか、東亜などの通信を選ぶべきですか。また、税法は法人税を取得すべきでしょうか。
社会人で20代後半ということもあり大学院免除の利用を検討していますが、やはり国内トップ大学院にすすむべきでしょうか。
不躾な質問になりました。どうぞよろしくお願いいたします。
A.1
投資銀行業務は、若くして高給で、その分激務で、将来の保証はないかもしれない仕事ですよね。
最近は少し下がったようですが、それでも20代でも年収1000万円以上は決して珍しくない。
ゴールドマン・サックス、ドイツ銀行、モルガン、メリルリンチ等、投資銀行・外銀に勤務する私の知人の中には20代で2000万円、30代で3000万円くらいもらっている方々もいました。当時、「周りはもっともらっている」と言っていました。私の知る限り、必ずしも特別優秀な人ばかりというわけではありません。強いストレスにさらされているのはわかりましたが。
その後、彼らは、ある者は起業して経営者になり、ある者は渡り歩き続け、ある者は残念ながら社会から消えていきました。
ある意味、地味な税理士と対極にあるような仕事ですね。
私自身は、独立前に1年くらい、株式投資にのめりこんでいた時期があります。
短期間で1000万円以上の利益をあげて(信用取引は行っておらず、現物のみです)、このままなら生涯年収は100億円くらいかなと取らぬ狸の皮算用をしたこともあります。
あのまま投資家になっていたら、うまくすればB・N・F氏のようになっていたのかもしれません。
でも、その後、投資はやめました(利益は3000万円くらいにはなりました)。
何も生み出さない、誰からも評価されないお金に意味を見い出せなくなったからです。
私自身は、投資家にならなかったことに何の悔いもありません。60歳を過ぎて暇なら、また投資をしてもいいですが。
その後、元大手銀行員の公認会計士受験生が、名古屋のテレビ塔からデイトレードで稼いだ紙幣をまいた事件がありましたが、その時に彼が言ったのが
「自由な半面、市場から利益をもぎ取るだけで、世間に何のプラスも生み出していない。この世界に自分がいてもいなくても同じと思うと、たまらない気持ちになった」
妙に気持ちがわかる気がしたものです。
税理士になるべきかどうかは、どんな生き方をしたいかだと思います。
お金を稼ぎたいなら、効率的な職業選択とは思えません。
金銭的には、
勤務無資格者なら300万円〜600万円、
税理士になっても450万円〜800万円の人が多く、
パートナーになっても700万円〜3000万円くらいでしょう。
独立すれば、もちろん青天井になりますが、営業力がなければ成功はおぼつきません。
投資銀行業務より、平均的なリターンは少ないと思います。
また、そもそも3年で税理士資格をとれるのはかなり限られた人ですし、一定の専念期間が必要でしょう。
ただ、税理士は
地域のベンチャー起業家、経営者、資産家といったお客様に感謝され、 お客様の成長を一緒に喜べるやりがいのある仕事です。
自分の心にうそをついて仕事をしたり、無理にセールスする必要もない。
社会的にも「先生」として一定の評価をしてもらえる。
正しいことを正しくすすめてお客様に「ありがとう」と感謝される。
私はこの仕事が大好きです
投資銀行業務の継続を望まないのは、何らかの限界を感じてのことと思います。
大きな仕事をしたいなら、起業家を目指すのも良い、
社会の役に立ちたいなら、政治家でも社会起業家でも良い。
税理士になるべきかどうかは、何に価値を置いてどんな自分でありたいか次第だと思います。
A.2
私は、大学院免除は、税理士になるための手段に過ぎないのでどこの大学院でも良いと思います。
東亜の通信制大学院はあまりおすすめしません。合格倍率、スクーリング等、東京在住者には条件が厳しいからです。
早稲田、筑波などいわゆる国内トップ大学を選ぶ理由があるとしたら、プライドか学歴ロンダリングでしょうか。
学部が同格以上の大学なら、あえて選ばなくてもかまいません。
もちろん、早稲田大卒だから、大学院も早稲田が良いというならわかります。
東京なら、大学院は、都心や郊外など選択肢はたくあんあります。本サイトの趣旨から外れるのでこれ以上は書きませんが、調べてみてください。
税法は、大学院免除なら何でもかまいません。ただ、免除終了後には、法人税や相続税法、消費税法は体系的に詰めて勉強することをおすすめします。
====================
税理士法人TOTALでは、大学院免除者を中心に、とらなかった重要な科目の受講を一部義務付けています
====================
確実に訴訟社会になってきています。技術のない職業専門家は、その分だけ事故に遭いやすくなります。
※なお、
この件に関するコメントは下記のコメント欄をご利用ください。
新規のご質問はここをクリック してください。
また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。
ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。
「過去の質問」はこちら
T様よりのご質問です。
内容
■年齢 27歳
■性別 男
■資格 簿記2級 FP2級
2013年度簿記論、財務諸表論受験予定
■職歴 投資銀行 トレーダー 5年程度(都内)
■学歴 国内私立大学部卒
■会計事務所経験 無
■居住地 東京
この度はこのような形でのご質問になりまして大変恐縮でございます。
職業柄、詳細を書きすぎるとすぐに特定されてしまうため、かなり簡素に書かせて頂いております。
Q.1
そもそも税理士になるべきか。
将来のビジョンとして、現在の投資銀行業務をこのまま継続していくことは考えておらず、
3年程度で税理士5科目(大学院免除含む)を取得して転職をしたいと考えています。
しかし、その際には年齢が31、2くらいということ、給料が相当下がるだろうと予想されることなどの懸念があります。そんな中でも、この難関資格を取得して将来は税理士や経営者を目指すべきだ。と思う決定的な理由はありますでしょうか?
まわりの意見の中には、「税理士になっても今と比べてリターン(年収など)すくないんじゃないの」という声もあります。
それだとしたら、何のために毎日勉強しているのか不安になってしまいます。
Q.2
大学院免除の際に、早稲田、筑波などいわゆる国内トップ大学を選ぶべきですか、東亜などの通信を選ぶべきですか。また、税法は法人税を取得すべきでしょうか。
社会人で20代後半ということもあり大学院免除の利用を検討していますが、やはり国内トップ大学院にすすむべきでしょうか。
不躾な質問になりました。どうぞよろしくお願いいたします。
A.1
投資銀行業務は、若くして高給で、その分激務で、将来の保証はないかもしれない仕事ですよね。
最近は少し下がったようですが、それでも20代でも年収1000万円以上は決して珍しくない。
ゴールドマン・サックス、ドイツ銀行、モルガン、メリルリンチ等、投資銀行・外銀に勤務する私の知人の中には20代で2000万円、30代で3000万円くらいもらっている方々もいました。当時、「周りはもっともらっている」と言っていました。私の知る限り、必ずしも特別優秀な人ばかりというわけではありません。強いストレスにさらされているのはわかりましたが。
その後、彼らは、ある者は起業して経営者になり、ある者は渡り歩き続け、ある者は残念ながら社会から消えていきました。
ある意味、地味な税理士と対極にあるような仕事ですね。
私自身は、独立前に1年くらい、株式投資にのめりこんでいた時期があります。
短期間で1000万円以上の利益をあげて(信用取引は行っておらず、現物のみです)、このままなら生涯年収は100億円くらいかなと取らぬ狸の皮算用をしたこともあります。
あのまま投資家になっていたら、うまくすればB・N・F氏のようになっていたのかもしれません。
でも、その後、投資はやめました(利益は3000万円くらいにはなりました)。
何も生み出さない、誰からも評価されないお金に意味を見い出せなくなったからです。
私自身は、投資家にならなかったことに何の悔いもありません。60歳を過ぎて暇なら、また投資をしてもいいですが。
その後、元大手銀行員の公認会計士受験生が、名古屋のテレビ塔からデイトレードで稼いだ紙幣をまいた事件がありましたが、その時に彼が言ったのが
「自由な半面、市場から利益をもぎ取るだけで、世間に何のプラスも生み出していない。この世界に自分がいてもいなくても同じと思うと、たまらない気持ちになった」
妙に気持ちがわかる気がしたものです。
税理士になるべきかどうかは、どんな生き方をしたいかだと思います。
お金を稼ぎたいなら、効率的な職業選択とは思えません。
金銭的には、
勤務無資格者なら300万円〜600万円、
税理士になっても450万円〜800万円の人が多く、
パートナーになっても700万円〜3000万円くらいでしょう。
独立すれば、もちろん青天井になりますが、営業力がなければ成功はおぼつきません。
投資銀行業務より、平均的なリターンは少ないと思います。
また、そもそも3年で税理士資格をとれるのはかなり限られた人ですし、一定の専念期間が必要でしょう。
ただ、税理士は
地域のベンチャー起業家、経営者、資産家といったお客様に感謝され、 お客様の成長を一緒に喜べるやりがいのある仕事です。
自分の心にうそをついて仕事をしたり、無理にセールスする必要もない。
社会的にも「先生」として一定の評価をしてもらえる。
正しいことを正しくすすめてお客様に「ありがとう」と感謝される。
私はこの仕事が大好きです
投資銀行業務の継続を望まないのは、何らかの限界を感じてのことと思います。
大きな仕事をしたいなら、起業家を目指すのも良い、
社会の役に立ちたいなら、政治家でも社会起業家でも良い。
税理士になるべきかどうかは、何に価値を置いてどんな自分でありたいか次第だと思います。
A.2
私は、大学院免除は、税理士になるための手段に過ぎないのでどこの大学院でも良いと思います。
東亜の通信制大学院はあまりおすすめしません。合格倍率、スクーリング等、東京在住者には条件が厳しいからです。
早稲田、筑波などいわゆる国内トップ大学を選ぶ理由があるとしたら、プライドか学歴ロンダリングでしょうか。
学部が同格以上の大学なら、あえて選ばなくてもかまいません。
もちろん、早稲田大卒だから、大学院も早稲田が良いというならわかります。
東京なら、大学院は、都心や郊外など選択肢はたくあんあります。本サイトの趣旨から外れるのでこれ以上は書きませんが、調べてみてください。
税法は、大学院免除なら何でもかまいません。ただ、免除終了後には、法人税や相続税法、消費税法は体系的に詰めて勉強することをおすすめします。
====================
税理士法人TOTALでは、大学院免除者を中心に、とらなかった重要な科目の受講を一部義務付けています
====================
確実に訴訟社会になってきています。技術のない職業専門家は、その分だけ事故に遭いやすくなります。
※なお、
この件に関するコメントは下記のコメント欄をご利用ください。
新規のご質問はここをクリック してください。
また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。
ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。
「過去の質問」はこちら