2010年05月25日
女性のステップアップと簿記1級
税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
※ご質問はここをクリック
こもりや様よりのご質問です。
■年齢 32歳
■性別 女性
■資格 日商簿記2級(3年前取得)
■職歴 会計事務所(事務員、サービス業など数年)
■学歴 語学系短大卒
■会計事務所経験 就労中の会計事務所(所長以外は5名)で、パート3年。
■居住地 茨城県
■その他 既婚ですが子供はいません。
月に数日、通院の為、遅刻又は早退。
仕事内容は、領収書・伝票・出納帳・通帳などからのデータ入力、年末調整、確定申告時の補助、設立等の異動届の作成、その他雑用全般、来客接待です。
私の他に内勤事務員は10年在籍しているパートの女性と、1年弱の男性社員1名です。内勤事務員は決算まで組みません。外回りの社員は仕事が忙しいため、仕事を教えてもらえる環境ではありません。仕事は社員からではなくパートの女性から教えてもらいました。
会計事務所は一般の会社に比べ、産休等で休む確率がある女性は正社員で就職出来にくいように思います。今の事務所の所長は人柄はいいですが、事務所としてはやはり女(パート)は下に思われてるようです。同県内では同じ傾向があると思われます。
仕事レベルが上がらないため、簿記1級の資格を取ろうと思っています。
Q.
簿記1級が取れたら、32歳又は33歳の既婚者子なしで現事務所か他の会計事務所の外回り、又は会社の経理の社員として転職できますか?
A.
(1)会計事務所の評価
税理士事務所の多くは、零細の個人事業であり、その場合、仕事のスタイルは所長税理士の考え方に負うところが多くなります。
税理士によっては、残念ながら、女性は入力補助者としか処遇しない、決算書も組ませないというところもかなりあります。
お客様は男性社長が多いので、女性だとうまくいかないという思いもあるのだと思います。
実際、税理士法人TOTALに入社してくれたり面接でお会いした女性「税理士」でさえも、入力や書類作成ばかりしてきたという方もおられます。
(もったいないのでうちでは外回りをしてもらいますが)
逆に、簿記3級でも、経験に応じて女性をステップアップさせて、外回りや管理職に登用する税理士事務所もあります。
=============
税理士法人TOTALは男女差別は基本的にはないので、女性でも外回りは希望すれば配属します(技術・経験・適性で選別はします)。
女性の、「税理士でない管理者」も複数います。
外回りをしたくない人には無理はさせませんが。
=============
こもりや様の勤務先の会計事務所の税理士は、前者だとすると、簿記1級を取得してもそれほど評価に大きな変化はないような気がします。
3年もすると、単純な会計入力は問題ないでしょうから、まずは所長税理士と話して、将来は外回りをしたいので申告書を組む仕事をさせて欲しい旨、交渉してみるといいかもしれません。
申告書を組むのも認めてもらえないなら理解のある事務所への転職も考えることもあるでしょう。
他の会計事務所への転職の場合、簿記1級の評価は、難易度の割りにそれほど高くありません。
商業簿記が中心なので、1級の工業簿記があまり必要とされないからです。
税理士試験の科目合格の半分くらいの評価でしょう。
簿記論・財務諸表論なら簿記1級と難易度で大差がないですし、税法科目なら科目合格前の「受験経験」でも会計事務所では評価されます。
会計事務所経験が3年以上なら、税理士試験の受験資格があるはずなので
同じ勉強をするなら、税理士の受験勉強をした方が外回りを目指す上では効率が良いように思います。
会計事務所経験3年というのはたとえ入力中心でも、会計事務所では高く評価されます。簿記1級取得の有無に関わらず、外回りを希望して転職活動をしてみる手はあります。
=============
女性の場合、産休・育児休業を考えて、補助者と考える会計事務所が多いのも事実です。お客様との信頼関係や効率を考えると止むを得ない面もあります。
ただ、私自身は優秀なやる気のある女性の能力を生かさないのは社会の損失だと考えています。
もっとも男女逆差別をする気もないので、仕事の質・量等の内容に応じて給与を支払うだけですし、男性には(女性もですが)、資格取得をサポートしています。
そして、若い男性には、体で仕事を覚えて、より熱い仕事をすることを期待しています。
=============
(2)一般企業への転職
会計事務所は、所長次第の側面が強く、小規模のため、地方では必ずしも女性が外回りをするために適切な会計事務所がないこともあるでしょう。
会計事務所ではなく、一般企業の経理職への転職もありえます。
中規模企業以上なら、簿記1級は評価されます。工業簿記が必要なメーカーならなおさらです。
ただし、中堅企業以上になると、職歴・学歴・年齢等、選考基準は会計事務所以上に厳しい可能性が高いといえます。
また、地方にはそもそも中堅企業が少ないでしょう。
零細・小企業なら求人はそれなりにあるでしょう。
会計事務所経験3年で経理・総務・給与計算等の人事と一人何役もこなせるので、バックオフィス中心に過ごしたことは重宝されるでしょう。
他方で、会計事務所以上に社長の個性に影響されること、倒産リスクや待遇悪化のリスクが高いことを考慮する必要があります。
この場合は、簿記1級は、あると評価されますが、オーバースペックなのであまり重要ではないでしょう。
転職は可能ですが、きちんと見極めたり話し合う必要があります。
また、中堅企業以外は簿記1級よりも、それ以外のことで判定されると思います。
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
※ご質問はここをクリック
こもりや様よりのご質問です。
■年齢 32歳
■性別 女性
■資格 日商簿記2級(3年前取得)
■職歴 会計事務所(事務員、サービス業など数年)
■学歴 語学系短大卒
■会計事務所経験 就労中の会計事務所(所長以外は5名)で、パート3年。
■居住地 茨城県
■その他 既婚ですが子供はいません。
月に数日、通院の為、遅刻又は早退。
仕事内容は、領収書・伝票・出納帳・通帳などからのデータ入力、年末調整、確定申告時の補助、設立等の異動届の作成、その他雑用全般、来客接待です。
私の他に内勤事務員は10年在籍しているパートの女性と、1年弱の男性社員1名です。内勤事務員は決算まで組みません。外回りの社員は仕事が忙しいため、仕事を教えてもらえる環境ではありません。仕事は社員からではなくパートの女性から教えてもらいました。
会計事務所は一般の会社に比べ、産休等で休む確率がある女性は正社員で就職出来にくいように思います。今の事務所の所長は人柄はいいですが、事務所としてはやはり女(パート)は下に思われてるようです。同県内では同じ傾向があると思われます。
仕事レベルが上がらないため、簿記1級の資格を取ろうと思っています。
Q.
簿記1級が取れたら、32歳又は33歳の既婚者子なしで現事務所か他の会計事務所の外回り、又は会社の経理の社員として転職できますか?
A.
(1)会計事務所の評価
税理士事務所の多くは、零細の個人事業であり、その場合、仕事のスタイルは所長税理士の考え方に負うところが多くなります。
税理士によっては、残念ながら、女性は入力補助者としか処遇しない、決算書も組ませないというところもかなりあります。
お客様は男性社長が多いので、女性だとうまくいかないという思いもあるのだと思います。
実際、税理士法人TOTALに入社してくれたり面接でお会いした女性「税理士」でさえも、入力や書類作成ばかりしてきたという方もおられます。
(もったいないのでうちでは外回りをしてもらいますが)
逆に、簿記3級でも、経験に応じて女性をステップアップさせて、外回りや管理職に登用する税理士事務所もあります。
=============
税理士法人TOTALは男女差別は基本的にはないので、女性でも外回りは希望すれば配属します(技術・経験・適性で選別はします)。
女性の、「税理士でない管理者」も複数います。
外回りをしたくない人には無理はさせませんが。
=============
こもりや様の勤務先の会計事務所の税理士は、前者だとすると、簿記1級を取得してもそれほど評価に大きな変化はないような気がします。
3年もすると、単純な会計入力は問題ないでしょうから、まずは所長税理士と話して、将来は外回りをしたいので申告書を組む仕事をさせて欲しい旨、交渉してみるといいかもしれません。
申告書を組むのも認めてもらえないなら理解のある事務所への転職も考えることもあるでしょう。
他の会計事務所への転職の場合、簿記1級の評価は、難易度の割りにそれほど高くありません。
商業簿記が中心なので、1級の工業簿記があまり必要とされないからです。
税理士試験の科目合格の半分くらいの評価でしょう。
簿記論・財務諸表論なら簿記1級と難易度で大差がないですし、税法科目なら科目合格前の「受験経験」でも会計事務所では評価されます。
会計事務所経験が3年以上なら、税理士試験の受験資格があるはずなので
同じ勉強をするなら、税理士の受験勉強をした方が外回りを目指す上では効率が良いように思います。
会計事務所経験3年というのはたとえ入力中心でも、会計事務所では高く評価されます。簿記1級取得の有無に関わらず、外回りを希望して転職活動をしてみる手はあります。
=============
女性の場合、産休・育児休業を考えて、補助者と考える会計事務所が多いのも事実です。お客様との信頼関係や効率を考えると止むを得ない面もあります。
ただ、私自身は優秀なやる気のある女性の能力を生かさないのは社会の損失だと考えています。
もっとも男女逆差別をする気もないので、仕事の質・量等の内容に応じて給与を支払うだけですし、男性には(女性もですが)、資格取得をサポートしています。
そして、若い男性には、体で仕事を覚えて、より熱い仕事をすることを期待しています。
=============
(2)一般企業への転職
会計事務所は、所長次第の側面が強く、小規模のため、地方では必ずしも女性が外回りをするために適切な会計事務所がないこともあるでしょう。
会計事務所ではなく、一般企業の経理職への転職もありえます。
中規模企業以上なら、簿記1級は評価されます。工業簿記が必要なメーカーならなおさらです。
ただし、中堅企業以上になると、職歴・学歴・年齢等、選考基準は会計事務所以上に厳しい可能性が高いといえます。
また、地方にはそもそも中堅企業が少ないでしょう。
零細・小企業なら求人はそれなりにあるでしょう。
会計事務所経験3年で経理・総務・給与計算等の人事と一人何役もこなせるので、バックオフィス中心に過ごしたことは重宝されるでしょう。
他方で、会計事務所以上に社長の個性に影響されること、倒産リスクや待遇悪化のリスクが高いことを考慮する必要があります。
この場合は、簿記1級は、あると評価されますが、オーバースペックなのであまり重要ではないでしょう。
転職は可能ですが、きちんと見極めたり話し合う必要があります。
また、中堅企業以外は簿記1級よりも、それ以外のことで判定されると思います。