2009年09月30日

20代後半男性の税理士試験の受験と就職

税理士法人TOTALの税理士 高橋寿克です。

K.T.様よりのご質問です。

■年 齢 28歳
■性 別 男
■資 格 なし(現在簿記2級・3級勉強中)
■職 歴 通信(2年6ヶ月) 代理店営業 
     保険(1年7ヶ月) 代理店営業
■学 歴 早慶
■会計事務所経験 なし
■居住地 東京(実家で親と同居、独身)
■その他
金融危機による経営悪化のため、今年の7月末に所属部署が閉鎖され、会社都合退職。
現在求職中です。

保険会社で相続がらみの税務に触れ、面白みを感じたのと、リストラの経験からプロフェッショナルとして手に職を持って働きたいという思いから、税理士試験にチャレンジしたいと考えております。

懸念しているのは、「年齢」と「無職」であることです。2ヶ月近く無職ですが、精神的にきついものがあります。

Q.
税理士になることを目指すに当たって下記3点の選択肢が考えられると思うのですが、どの選択肢が現実的に妥当だと思われますでしょうか?
(1)無職の状態で税理士試験にトライし、まずは簿記・財表の合格を1年〜2年で目指し、就職活動を行う。
(2)未経験でも入所可能な税理士事務所を探して正社員として入社し、勤務しながら税理士試験合格を目指す。
(3)一般企業に入社し、収入を確保してから勤務しながら税理士試験を目指す。
試験合格を目指すのであれば、(1)の選択肢が一番だとは思うのですが、離職期間が長くなってしまうのと年齢がネックになると考えていてチャレンジに躊躇しているのが実情です。

A.
K.T.様、リストラ大変でしたね。お疲れ様でした。
税理士は、お客様に(大企業に多い)製造業の比率が低く、民間企業に比べて景気変動の影響は小さいと思います。また、転職・独立の選択があるので比較的、不景気に強い資格なのかもしれません。

ただし、その分だけ、税理士試験の合格は大変で、早めに適切に専念期間を設けて、その後の仕事との両立にうまくつなげられるかが早期合格のポイントになります。
専門学校のパンフレットには、仕事との両立が容易であるかのような記載がありますが、実際には両立はかなり大変です。責任ある仕事が任されやすく、無理も言われやすい男性ならなおさらです。

3つのうち、私なら(2)はないですね(×)。
足元では会計事務所の採用はやや厳しめな状況です。都内で、税理士試験の受験経験もなく、簿記2級レベルでは中堅以上の事務所では採用されにくいでしょう。採用される事務所は、決して業務や教育のレベルが高いとはいえないでしょう。
会計事務所は専門職です。勉強が進んでいない状態で教育が不十分な事務所で業務についていくのはきついはずです。
また、会計事務所自体が中小企業なため、生産性に応じてしか給与は払えないので、給与水準も低いでしょう。
若さは一瞬です。記憶力とスピードはこの後、加速度的に衰えます。税理士試験が長丁場になるだけでなく、最終合格できる可能性が低くなるでしょう。人生をうまく立て直すためにもお勧めできません。

(3)は会計事務所の未経験者の給与水準を考えると、ありうる選択でしょう(△)。
ただ、K.T.様の場合、
・転職直後は業務や人間関係になれるのに神経を使うこと
・親元・独身でお金について気を使わなくていいこと、
・30代前半で会計事務所の実務経験を数年積む必要があること
を考えると、税理士にどうしてもなるという場合は最善ではないと思います。
もっとも、社会人として安定した職場で働けるのが第一で、税理士資格は保険的に結果として取れればいいという場合は、この選択が最善かもしれません。

(1)の簿記論・財務諸表論の2科目受験は試験合格を目指すなら、無難な選択で、専門学校の受験相談で言われそうな答えです(○)。

私見は(◎)、
2科目受験では足りない。
金銭的・精神的・年齢的に余裕があるうちに出来るだけ勉強する。1年間税理士試験受験に専念して簿記論・財務諸表論と法人税法又は消費税法の3科目を受験する。
税法は会計科目よりもはるかにきついです。働き始める前に肌で感じておいた方が目安になるはずです。法人税法を選択するときはそれなりの覚悟が必要です。5科目の官報合格を目指すなら通らなくてはいけない関門です。大学院進学も視野に入れるなら消費税法の選択も有力です。
ずっと働いていただけに無職はストレスだと思います。2科目受験では優秀なら中途半端に時間が余って、かえって試験に集中できないかもしれません。
自分を追い込むように勉強する。自分の頭脳と相談しながら、税法を意地でも受験する。
今からだと少し遅れ気味ですが、何とか3科目こなせるはずです。

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ちなみに私は25歳時勉強スタート、26歳時5科目一括受験(3科目合格)でした。相当記憶力に自信がありましたがさすがに手が回りませんでした。
司法試験から転じたので税理士試験を甘く考えていた部分はあるかもしれません。
スタッフでも1月スタートで、3科目受験(2科目合格)の者がいました。
==================

1年後の試験の出来次第でもう一年受験に専念するか、働き始めるかを判断する
(K.T.様の場合、専念は最大2年まででしょう)。

会計業界未経験の方は、男性の場合、環境が許すなら税法を含む2〜3科目合格を目指すのが優良な税理士法人に就職し、税理士になる近道だと思います。

税理士試験は難関ですが、努力を続けられるあきらめない方なら合格できる試験です。
がんばってください。

コメント一覧

1. Posted by K.T.   2009年10月01日 13:26
高橋先生

こんにちは。
K.T.です。

お忙しい中、貴重なアドバイスを頂きましてありがとうございます。

(2)の選択肢もあるかと思い、履歴書の送付をしておりましたが、やはりどこも書類落ちでした。

税理士試験は超難関の試験で相当な覚悟が必要ですが、自分の気持ちともう一度向かい合って(1)か(3)の選択をしたいと思います。

本当にありがとうございました。

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