2009年07月16日

税理士・公認会計士の受験開始時期

税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。

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カズ様からのお問合せです。
■年齢:42歳 
■性別:男性
■資格:MBA(海外)マーケティング専攻
    TOEIC 855点
    今年初受験(財表)2月から勉強開始
■職歴:外資系消費財メーカー営業、マーケティング、
   外資系コンサルティングファーム、CRMコンサルタント等
■学歴:海外MBAマーケティング修了
    明治大学 農学部卒
■会計事務所経験: なし
■居住地 東京
■その他、特殊事情:
妻はフルタイムで働いており、子供もおりませんので3年ぐらいは受験に専念できます。
昨年8月に勤めていた会社が、民事再生法の適用を申請
これまでの営業・マーケティングの経験とMBA(マーケティング専攻)の知識を生かして経営支援のできる中小企業向けのコンサルタント税理士を目指しています。

Q、
財務諸表論の受験経験とこれまでの経歴で、アルバイトとして雇ってくれる事務所はありますか?
例えば外資系のクライアントを持っている事務所などはいかがでしょうか?
40歳以上未経験でも正社員として雇っていただける可能性はありますか?
雇っていただくには何科目合格する必要があるでしょうか?

専門学校の方はMBA(マーケティング)を持っているので税理士の資格との親和性は高く(中小企業診断士のように)40代でも就職は可能ですと言われましたが、客観性に欠けるので客観的なご意見をお願いいたします。

A、
カズ様、これから書くことは、客観的事実というよりは、あくまでも私の主観的意見表明に過ぎないし、議論にもなじまないことをご了承ください(全体的に辛口です)。

カズ様の英語&マーケッティング能力、華やかでうらやましいです。
(私は英語が大の苦手で、大昔? 新婚旅行で英語のせいで初の夫婦げんかをしました)
おそらく、得意のマーケティング能力が、この選択の危険性を伝えてくれているのでしょう。

財務諸表論の受験経験とカズ様の経歴でアルバイトとして雇用する会計事務所はあまりないと思います。アルバイトは入力補助等が中心になるので頭の良い人より、素直で使いやすい人が優先するので、若い人、女性との比較で不利でしょう。
外資系のクライアントを持っている事務所は比較的大きいところが多いので、2〜3科目合格者クラスが中心になります。
また、40代未経験では中堅以上の事務所は期待薄ですが、零細事務所や営業要員を募集している事務所なら薄給でもよければ正社員の可能性はゼロではないでしょう。状況から、育てるというよりは営業要員・担当者として、すぐに結果を求められるでしょう。

税理士の特徴は、税法合格(特に法人税)が思っているよりも難しく受験期間が働きながらだと長引くこと、専門職なので一人前になるために通常で5年程度かかることです。税理士法人TOTALはこれを2〜3年でできるよう努力していますが、20代の方は2年でも可能ですが、40代半ばの未経験者は有資格者・4科目合格者でも仕事を覚えるのに結構苦労しています。

極論すると、これまでの経験から、税理士試験受験開始時期はできれば30代前半までが望ましいと考えています。個人差もあるので早慶クラスの頭脳なら30代半ばでも間に合うこともあるでしょう。また、税理士法人TOTALは勤務しながら大学院進学も認めているのですが、その場合はリスクが減るので2年くらい遅くても何とかなります。

なお、公認会計士試験については、今から受験する方はできれば在学中に、遅くても25歳までに勉強を始めないと危険だと考えています。このあと、合格者増の影響で就職難になること、論文合格者の3/4が20代で合格していることから、30代での合格では職歴や学歴に見るべきものがないと厳しいでしょう。

税理士試験も実務も、合理的にキレで勝負するというよりは、鍛えて体で覚えるというスタイルです(鍛えきった後のスピードはかなりすばらしいですが)。
頭脳に自信があって25歳以上35歳くらいまで、そうでなければ33歳くらいまでが税理士に転じる目安と考えます。
ちなみに私は25歳で税理士試験に転じました。

それぞれの仕事にはある程度、旬な時期、適齢期があると思います。資格取得はゴールではなくスタートに過ぎません。

あえてどうしても税理士にこだわるなら
(1)今年、財務諸表論合格、来年簿記論と法人税又は消費税合格、そのまま働きながら夜間・週末大学院に行って46歳で税理士登録

(2)3年間人生をかけて勉強し、官報合格し、薄給でも修行だと思って2年間辛抱し、すぐに独立して、マーケティング能力や営業センスを生かして、専門家としてというよりは経営者として成功する
というパターンが考えられます。
余裕がなさ過ぎる計画でリスクが取れていないことはお分かりいただけるでしょう。

それよりは税理士にこだわらず、マーケティングの専門家・コンサルタントとして成功する方が簡単でしょう。

カズ様の経歴や能力はすばらしいと思います。
男は40歳を過ぎたら、これまでしてきたことを生かして、より社会に貢献できる道を進むべきではないでしょうか。

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また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。
ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。
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コメント一覧

4. Posted by カズ   2009年07月17日 14:48
高橋先生、

お忙しい中、迅速なご回答ありがとうございます。

非常に参考になりました。

今年、財表を何とか合格して、来年税法科目に挑戦してみようと思います。

本当にありがとうございました。

カズ



3. Posted by 税理士ひさ   2009年07月16日 19:16
カズ様

一般論としてちょっと辛口で書きすぎたかもしれません。ネットで情報が制限される中では限界もあったと思ってご容赦ください。

中小企業診断士ですが
税理士試験の合格後にとることが多いので
両資格を持っている人は多いでしょう。
就職では感覚的には科目1科目分くらいかな。
うちでもかつて中企士を採用したことがあります。カズ様が今からとる必要はありません。
それよりも税法の方が価値があります。
MBA自体は能力の証明にはなりますし、営業色が強い会計事務所ならプラス評価です。

ただ、税理士の就職では1にも2にも税理士試験科目、それも法人税、相続税、消費税が有利です(ただし、受かりにくい時間のかかる科目です)

私自身も体を壊して社会復帰の手段として税理士試験を選びました。
普通に生きていく手段が欲しかっただけです。
当初思っていたよりは大変でしたが
精神的なストレスは仕事上ほとんどないです。
今この瞬間も幸せだなと感じます。
この仕事を選んでよかったと思っています。

カズ様の熱意が通じれば採用する事務所はあると思います。

道は開けると信じて
是非がんばってください。
2. Posted by カズ   2009年07月16日 18:50
追伸:

最近になって、税理士事務所で経営の専門家として中小企業診断士の方が少なからず働いていらっしゃるとお聞きしたのですが、中小企業診断士の資格を持っていれば、経営の専門家として税理士事務所への就職は可能なのでしょうか?

可能であれば、それはMBAで代替は利くのでしょうか?それとも、中小企業診断士の資格を改めて取る必要があるのでしょうか?

お忙しいところ、申し訳ありません。

よろしくお願いいたします。

暑くなってきましたので、お体ご自愛ください。

                     カズ

1. Posted by カズ   2009年07月16日 18:45
高橋先生、

 お仕事でご多忙の中、見ず知らずのものの為に真剣にお答えを頂本当にありがとうございます。

 はじめに、私の説明不足が原因なのですが、(詳しく書くかどうか迷ったので)私がまったくの畑違いの税理士を目指して現在勉強しているのにはそれなりの理由があります。
 私は、大学卒業後に大手外資系消費財メーカーで7年間営業パーソンとして実績を残し、マーケティング職へのキャリアチェンジを目指し、海外に留学しMBAを取得しました。
 帰国後は、外資系消費財メーカーなどのマーケティング職の上級管理職として会社を転々としましたが、外資系特有のストレスがたたり、体調を崩してしまいました。ですから、外資系の会社で働くのは正直もう無理です。ここには詳しく書けませんが、本当にひどい目にあいました。
 かといって日本の会社で働きたいと思っても、私のように会社を短いスパンで替わっているものには日本の会社は非常に冷ややかです。
 このような状況下で、失業後、自宅で主夫兼個人事業主である妻の経理をやっていたこともあり、会計系の資格に興味を持ち、自分がもう一度社会復帰する手段として税理士の資格に目をつけたのです。
 決して中途半端な気持ちでご質問をさせていただいたわけではないことをご理解ください。
 しかし、先生にご指摘いただき、改めて税理士の勉強を続けることの大変さやリスクの高さを実感しています。今は、3週間後の試験のことで頭が一杯なので、終了後に改めて今後の目指す方向性を考えてみたいと思います。              
                        カズ

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