2014年12月31日
4大税理士法人(BIG4)とは
4大税理士法人とはBIG4(DTT・E&Y・PwC・KPMG)と提携する税理士法人を言います。
BIG4とは、4つの国際的大監査法人
世界中の主要な上場企業、またはグロ−バル展開をする非上場企業をクライアント(顧客)とし、会計・監査・税務・コンサルティングといったプロフェッショナルサービスを提供しています。
・PricewaterhouseCoopers(PwC)
・Ernst & Young(EY)
・KPMG
・Deloitte Touche Tohmatsu(DTT)
なお、Tohmatsuは日本の「等松」に由来します。
そのメンバーファームとして、日本の監査法人・税理士法人が提携しています。海外との関係や監査法人・税理士法人間には資本関係・親子会社はありません。
ただし、一定の金銭(ロイヤリティ・加盟料)等の支払はあります。
日本の4大監査法人
・新日本監査法人(EY)
・監査法人トーマツ(DTT)
・あずさ監査法人(KPMG)
・PwCあらた監査法人(PwC)
4大監査法人の一角だったみすず監査法人(旧 中央青山監査法人、PWC系)は足利銀行の会計不祥事、カネボウの粉飾決算、日興コーディアルグループの会計不祥事による上場廃止騒動を受けて、自主廃業。その結果、クライアントの多くは他の3つの大監査法人に移りました。その後、PWC系のあらた監査法人を加えて4大監査法人となりましたが、あらた監査法人は規模の面では他の3法人よりも小さいです。
また、監査法人は2009年頃から実質赤字決算となることが増え、新日本、トーマツ、あずさの順で2010年以降に100人単位、全体では1000人以上の公認会計士のリストラをすすめました。その後は会計士試験合格者数の減少に伴って、採用難になったりしています(2014年現在)。
4大税理士法人
・EY税理士法人
・デロイト トーマツ税理士法人(DTT)
・KPMG税理士法人(KPMG)
・税理士法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)
外資系企業の日本子会社や上場企業の子会社等が主要なクライアント(顧客)。また、外資系企業の社員の給与計算等も行う。
クライアントが、決算書まで作成するため、申告書の別表調整が多く、決算期(最近は4半期決算で年を通じて忙しいですが)は特定時期に集中し、期間的余裕がないため、その時期の仕事はかなりきつい。繁忙期(1〜5月前半)は連日のように終電まで働き、タクシー帰りという人もいる。
英語は、できるに越したことはないが、入社時には必須ではない。
ただし、外資系企業の日本子会社関連や国際税務(海外取引に係る税務)などの部署は、英語、語学力は必須。
給料は税理士業界の中では突出して高い(感覚的ですが20〜30%くらい違う)。少数ですがパートナーになれれば監査法人以上の給料も可能。
会計業界には珍しく、新卒教育もしっかりしている。
ただ、BIG4はUP or OUT(昇進するか、さもなくば、辞めるか)の文化です(下記参照)。
国際業務をしたい、法人内で出世したい場合はもちろん
長く在籍したいなら、英語を入社後に学び続ける方が良いでしょう。
なお、上場企業本体は、自社内の経理部門が申告書の作成と申告・納税まで行っているので、4大税理士法人はあまり関与しません。上場企業・大企業などの本体の顧問税理士は、国税のOB税理士(元高官)なども多いようです。
法人税については、(税理士法人TOTALのような普通の会計事務所では、中小企業は月次監査が当たり前ですが、)外資系企業や上場企業の子会社を担当する場合は、決算書がすでにできあがっていて、大量の税務調整を行って申告書を作成するのがメインです。
また、非上場の中小企業や個人事業者のクライアントはほとんどないし、対外的な折衝がほとんどなくお客様との接点がメールや電話に偏っているので、町の税理士として独立するには向かないでしょう(公認会計士を除く)。
また、BIG4から通常の会計事務所への転職は、業務内容・給与水準が違いすぎて難しいので、
転職先は一般企業の経理、コンサルタント等も多くなります。
このため、税理士として独立しようというより、
・給料はできるだけ高い方が良い人
・福利厚生がしっかりしているところで働きたい人
・英語力を生かしたい人
・法人内で出世したい人
(公認会計士を含めた競争になります)
・同族・オーナー企業は嫌な人
に向くでしょう。
4大税理士法人の処遇については、気にするほどの大きな違いはないようです。
それぞれの法人の特色は、提携する監査法人による面も多少はありますが、
(しいて言えば、監査法人は、新日本は大きくて官僚的、トーマツが熱血体育会系、あずさが女性にやさしい、あらたが国際的という言われ方もします)
どの部署で、どんな働き方をするかの方が評価・処遇には影響しそうです。
BIG4(税理士法人)には、BIG4(監査法人)から転籍をする公認会計士、最初から税理士法人に入りつつ、監査実務も行う公認会計士もいます。
彼らは、将来の独立も視野に入れつつ向上心を持って入ってきます。若くて優秀な方がたくさんいます。その中で法人に残る人間とポジションを争うことになります。税理士法人内の出世は、公認会計士と競うことになります。
公認会計士もいるUP or OUT
(組織のピラミッド構造を維持するため、ランクごとに一定年限までに出世できないと退職勧奨される)
の出世競争は大変です。
実際、BIG4のトップ4人のうち3人が公認会計士であり
(もう一人は外資系金融機関、BIG4を渡り歩いた海外経験者)、
BIG4を含めて監査法人系の税理士法人では、税理士の出世は楽ではないでしょう。
残れそうにない場合は、アラサー、遅くとも30代前半のうちに、上場関連経理やコンサル等への転職を検討し始めることになります(BIG4出身者は、会計士を除くと独立組は少数派になります)。
それ以上の年齢ではキャリアの積み上げが、転職時には加齢と合わせてマイナス評価されかねません。
外資系の文化であり、日本的企業のようにステイしてのんびりマイペースで働く(法人にしがみつく)という選択ができないのはつらいところです。
4大税理士法人の採用条件については、、
・税理士試験2科目以上で選考対象ですが、
法人税を含む3科目以上の合格が望ましい
(即戦力が必要、かつ繁忙期の仕事がきつく
税理士試験受験との両立が難しいため)
・年齢は20代半ばまでが望ましい
・学歴は早慶以上が望ましく、MARCHまでは選考される。
売り手市場の時期は日東駒専でも可
(学歴は官報合格者等なら必須ではありません)
・英語はTOEICで一定以上ならプラス評価される
・零細会計事務所の職歴は若くないとあまり評価されない
(30歳くらいまでしか会計事務所経験者でも採用されないことが多い)
・上場企業の職歴はあまり評価されない
(銀行等金融出身者を除く)。
・大学院免除は若干不利(法人税法合格者を除く)。
一般企業の採用条件に近い気がします。それに専門性の高い即戦力を求める分を追加した感じですね。
また、BIG4監査法人からの転籍等もあるため、会計士の就職状況に影響され、会計士の就職が買い手市場の時は採用されにくく、売り手市場の時は採用されやすくなる傾向があります。
もちろん、採用は企業との相性です。学歴を含む条件が多少劣っても、法人(採用担当者)が求めるものと一致すれば上記条件は必ずしも必要ではありません。参考程度と思ってください。
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BIG4とは、4つの国際的大監査法人
世界中の主要な上場企業、またはグロ−バル展開をする非上場企業をクライアント(顧客)とし、会計・監査・税務・コンサルティングといったプロフェッショナルサービスを提供しています。
・PricewaterhouseCoopers(PwC)
・Ernst & Young(EY)
・KPMG
・Deloitte Touche Tohmatsu(DTT)
なお、Tohmatsuは日本の「等松」に由来します。
そのメンバーファームとして、日本の監査法人・税理士法人が提携しています。海外との関係や監査法人・税理士法人間には資本関係・親子会社はありません。
ただし、一定の金銭(ロイヤリティ・加盟料)等の支払はあります。
日本の4大監査法人
・新日本監査法人(EY)
・監査法人トーマツ(DTT)
・あずさ監査法人(KPMG)
・PwCあらた監査法人(PwC)
4大監査法人の一角だったみすず監査法人(旧 中央青山監査法人、PWC系)は足利銀行の会計不祥事、カネボウの粉飾決算、日興コーディアルグループの会計不祥事による上場廃止騒動を受けて、自主廃業。その結果、クライアントの多くは他の3つの大監査法人に移りました。その後、PWC系のあらた監査法人を加えて4大監査法人となりましたが、あらた監査法人は規模の面では他の3法人よりも小さいです。
また、監査法人は2009年頃から実質赤字決算となることが増え、新日本、トーマツ、あずさの順で2010年以降に100人単位、全体では1000人以上の公認会計士のリストラをすすめました。その後は会計士試験合格者数の減少に伴って、採用難になったりしています(2014年現在)。
4大税理士法人
・EY税理士法人
・デロイト トーマツ税理士法人(DTT)
・KPMG税理士法人(KPMG)
・税理士法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)
外資系企業の日本子会社や上場企業の子会社等が主要なクライアント(顧客)。また、外資系企業の社員の給与計算等も行う。
クライアントが、決算書まで作成するため、申告書の別表調整が多く、決算期(最近は4半期決算で年を通じて忙しいですが)は特定時期に集中し、期間的余裕がないため、その時期の仕事はかなりきつい。繁忙期(1〜5月前半)は連日のように終電まで働き、タクシー帰りという人もいる。
英語は、できるに越したことはないが、入社時には必須ではない。
ただし、外資系企業の日本子会社関連や国際税務(海外取引に係る税務)などの部署は、英語、語学力は必須。
給料は税理士業界の中では突出して高い(感覚的ですが20〜30%くらい違う)。少数ですがパートナーになれれば監査法人以上の給料も可能。
会計業界には珍しく、新卒教育もしっかりしている。
ただ、BIG4はUP or OUT(昇進するか、さもなくば、辞めるか)の文化です(下記参照)。
国際業務をしたい、法人内で出世したい場合はもちろん
長く在籍したいなら、英語を入社後に学び続ける方が良いでしょう。
なお、上場企業本体は、自社内の経理部門が申告書の作成と申告・納税まで行っているので、4大税理士法人はあまり関与しません。上場企業・大企業などの本体の顧問税理士は、国税のOB税理士(元高官)なども多いようです。
法人税については、(税理士法人TOTALのような普通の会計事務所では、中小企業は月次監査が当たり前ですが、)外資系企業や上場企業の子会社を担当する場合は、決算書がすでにできあがっていて、大量の税務調整を行って申告書を作成するのがメインです。
また、非上場の中小企業や個人事業者のクライアントはほとんどないし、対外的な折衝がほとんどなくお客様との接点がメールや電話に偏っているので、町の税理士として独立するには向かないでしょう(公認会計士を除く)。
また、BIG4から通常の会計事務所への転職は、業務内容・給与水準が違いすぎて難しいので、
転職先は一般企業の経理、コンサルタント等も多くなります。
このため、税理士として独立しようというより、
・給料はできるだけ高い方が良い人
・福利厚生がしっかりしているところで働きたい人
・英語力を生かしたい人
・法人内で出世したい人
(公認会計士を含めた競争になります)
・同族・オーナー企業は嫌な人
に向くでしょう。
4大税理士法人の処遇については、気にするほどの大きな違いはないようです。
それぞれの法人の特色は、提携する監査法人による面も多少はありますが、
(しいて言えば、監査法人は、新日本は大きくて官僚的、トーマツが熱血体育会系、あずさが女性にやさしい、あらたが国際的という言われ方もします)
どの部署で、どんな働き方をするかの方が評価・処遇には影響しそうです。
BIG4(税理士法人)には、BIG4(監査法人)から転籍をする公認会計士、最初から税理士法人に入りつつ、監査実務も行う公認会計士もいます。
彼らは、将来の独立も視野に入れつつ向上心を持って入ってきます。若くて優秀な方がたくさんいます。その中で法人に残る人間とポジションを争うことになります。税理士法人内の出世は、公認会計士と競うことになります。
公認会計士もいるUP or OUT
(組織のピラミッド構造を維持するため、ランクごとに一定年限までに出世できないと退職勧奨される)
の出世競争は大変です。
実際、BIG4のトップ4人のうち3人が公認会計士であり
(もう一人は外資系金融機関、BIG4を渡り歩いた海外経験者)、
BIG4を含めて監査法人系の税理士法人では、税理士の出世は楽ではないでしょう。
残れそうにない場合は、アラサー、遅くとも30代前半のうちに、上場関連経理やコンサル等への転職を検討し始めることになります(BIG4出身者は、会計士を除くと独立組は少数派になります)。
それ以上の年齢ではキャリアの積み上げが、転職時には加齢と合わせてマイナス評価されかねません。
外資系の文化であり、日本的企業のようにステイしてのんびりマイペースで働く(法人にしがみつく)という選択ができないのはつらいところです。
4大税理士法人の採用条件については、、
・税理士試験2科目以上で選考対象ですが、
法人税を含む3科目以上の合格が望ましい
(即戦力が必要、かつ繁忙期の仕事がきつく
税理士試験受験との両立が難しいため)
・年齢は20代半ばまでが望ましい
・学歴は早慶以上が望ましく、MARCHまでは選考される。
売り手市場の時期は日東駒専でも可
(学歴は官報合格者等なら必須ではありません)
・英語はTOEICで一定以上ならプラス評価される
・零細会計事務所の職歴は若くないとあまり評価されない
(30歳くらいまでしか会計事務所経験者でも採用されないことが多い)
・上場企業の職歴はあまり評価されない
(銀行等金融出身者を除く)。
・大学院免除は若干不利(法人税法合格者を除く)。
一般企業の採用条件に近い気がします。それに専門性の高い即戦力を求める分を追加した感じですね。
また、BIG4監査法人からの転籍等もあるため、会計士の就職状況に影響され、会計士の就職が買い手市場の時は採用されにくく、売り手市場の時は採用されやすくなる傾向があります。
もちろん、採用は企業との相性です。学歴を含む条件が多少劣っても、法人(採用担当者)が求めるものと一致すれば上記条件は必ずしも必要ではありません。参考程度と思ってください。
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