2016年11月29日

未経験者はつらいよ〜経験者限定・優遇

税理士事務所・会計事務所の求人・採用情報の税理士 高橋寿克です。

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税理士事務所・会計事務所の求人は、
「会計事務所又は経理経験者限定」のように、経験者に限定していたり、
特に記載がなくても、実際には未経験者はほとんど書類審査も通らない事務所もあります。

税理士事務所・会計事務所は少人数のところが多く、小さい会計事務所は教育することが大変です。
このため会計事務所経験者が歓迎されます。
特に成長中の若い事務所は、所長も営業に忙しいので教えることができません。

中堅以上の会計事務所なら、
同じような業務を同一フロアにいるたくさんの職員が並行して行いますから、教えることもできますし、訊くこともできます。
一定レベル以上の会計事務所ならマニュアル化も進んでいます。このため、未経験者もそれなりに多くいます。

ただ、中堅・大手の会計事務所でも、一般的に教育制度が整備されていません。
特に成長著しい会計事務所、ベンチャー色が強い税理士事務所は業務が忙しいため、職員の定着率が低くなり、せっかく教育しても3年いることは多くないという事務所もあります。
このため、中堅・大手税理士法人でも新卒を採用しているところは多くありません。

税理士事務所・会計事務所の業務は、一人で仕事が完結するため、「未経験者」の生産性が低く
初年度は200万円程度しか付加価値を生みません。
余裕のない事務所で極端な場合、年収200万円程度しか支払えません。

普通の会計事務所は、200万円台後半以上は払うことが多くなります。
それでも、多くの会計事務所は入社から2年くらいは持ち出しです。
働いている側にとっては、給与が安いので、どうしても定着率は悪くなります。
(「税理士事務所・会計事務所の給与水準について」より詳しくはこちら

未経験者の採用は、会計事務所にとってリスクが大きすぎて短期的には儲かりません。
手間ヒマかけて、社会人経験・会計事務所経験のない人を育てることをする&出来る事務所は
あまりないといっていいでしょう。
経験者限定・経験者優遇の税理士事務所が多くなります。

未経験者の場合、
・人柄や高い潜在能力
・合格科目や受験歴
(目安として簿記論・財務諸表論の2科目合格+法人税受験経験など)
・あまり高くない賃金(パートを含む)
など、高いハードルが待ち構えています。

つらいですねえ

私自身は未経験者の採用・育成が使命だと思っており、
税理士法人TOTALは未経験者大歓迎ですが、それでも
未経験者の場合は、最低3年、できれば5年働いてくれるとうれしいです。

教育期間は事務所経営的には持ち出しです。短期の離職者が続くと所長はうんざりします。
事務所を大きくするのをあきらめるか、会計事務所経験者を優先して採用するようになります。


ところで、「未経験者歓迎」には次のようなパターンがあります。

1、零細事務所
給与水準・職場環境から未経験者しか採用できない。

2、中堅事務所
(1)人手不足対策
 経験者が望ましいが、未経験でもやむを得ないというケースです。
(2)総務・パンチャー要員
(3)経験者よりむしろ未経験者の方がいいと考えている場合
会計事務所の経験者・転職者にはクセがある人が多いので
教育ができる事務所なら未経験者の方が
良いというケースもあります。
ただし、人柄、学歴、受験合格歴、社会人経験で
選抜されますので留意して下さい。

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税理士法人TOTALは逆に経験者の採用が6割を超えています。
中堅以上の税理士法人では、自前で未経験者を育てていく事務所が増えます。
中堅以上の税理士法人で、未経験者の比率が4割を切っていたら、離職率が高い(か過去に高かった)ことを疑うか、未経験者は育てていないと思った方が良いでしょう。
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なお、成長率の高い会計事務所の中には
未経験者歓迎、税理士科目・学歴不問というところがあります。

成長率が高いと人の補充が追いつきません。
税理士試験と仕事の両立は大変です。どうしても仕事に割ける時間に限界があります。
それでは成長率が高い事務所は困ります。
そこで、税理士試験の勉強をせずに、仕事だけしてくれる人が欲しくなります。
会社の理念を信じて、勉強せずに気を使って仕事をしてくれる人が必要です。
受験勉強をおろそかにして仕事に集中し、長く辞めない人が望ましいのです。
このタイプの事務所にはいわゆる「意識高い系」の人がひっかかりやすくなります。

試験勉強できるか、税務レベルが高いか見分け方は簡単で、税理士数が事務所規模に比して少なくなります。
(税理士が多いと試験勉強できるというのではありませんので、念のため)
税理士事務所別の登録税理士数は、日税連のHPで確認できます。
「税理士 検索」でページを出して
https://www.zeirishikensaku.jp/sch/zs_sch0.asp
「条件を指定して検索したい場合」の「税理士」を選択
https://www.zeirishikensaku.jp/sch/zs_sch3.asp
「事務所名」に就職希望会計事務所を入れればすべて出てきます。
(ここでは登録していないいわゆる「税理士有資格者」は検索できません)
業務水準を維持しようとすると、税理士一人で職員10人超は見れないので
標準的会計事務所なら、税理士有資格者が社員数の10分の1以上が望ましいでしょう。
営業力が強く、業務水準が低い事務所は
所長・代表社員と営業を行う(業務を見る余裕がない)店長クラス以外、税理士がほとんどいないことがあります。
税理士の登録年月日も出ていますので、キャリアの想像はしやすいでしょう。
最近では、従業員100人を超える準大手でもこのタイプが目立ってきました。
税理士になる気がないなら、悪い選択ではありません。給与は業界平均よりは高いところもあり、頑張った分は評価されます。
ただ、税理士試験は、暗記とスピードが重要な試験です。若さが一番の武器です。今より若い瞬間はありません。
税理士受験生にはおすすめできません。
業務水準は有資格者が少ないため、残念ながら規模の割に低くなります。

3、大手事務所
(1)派遣要員
経理事務の派遣です。
これは、求人情報ではわかりにくいので
受験生は注意して下さい。
税理士としてはキャリアになりません。
「経理派遣と正社員について」はこちら

(2)総務・パンチャー要員
 女性のいわゆる一般職です。



税理士業界未経験者で、職歴・学歴等で自分にあまり自信のない方は
 ・税理士試験に2〜3科目合格してから良い事務所に入る
 ・まずは零細事務所でも就職し、合わなければ2〜3年後に転職
 ・中堅の税理士法人のアルバイトのうち仕事も面白そうなものを選ぶ
のが良いでしょう。

「未経験者」も一度会計事務所に採用されれば、「経験者」として他の会計事務所に移ること容易になりますし、給料も上がりやすくなります。

=============
私の、最初の会計事務所での就職はこちら
もうだいぶ昔の話になってしまいました。ご興味がある方はどうぞ
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参考 「税理士事務所・税理士法人ランキング」


※なお、ご質問はこちらから

また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。
ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。
「過去の質問」はこちら

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