2013年10月

2013年10月19日

所内のコミュニケーションと税理士受験

税理士事務所求人・採用情報の高橋寿克です。

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mao様からのご質問です。
■年齢  29歳
■性別  男性
■資格  日商簿記一級
■職歴  不明
■学歴  専門学校卒
■会計事務所経験 4か月
■居住地 地方

縁あって6月から地方の会計事務所に就職して見習いさせてもらっています。まだ担当は持っておりません。
年齢的に受験専念は厳しいので、日商一級を取り、税理士の受験資格を取得してから実務を積もうと思い、今の事務所にお世話になっています。

ただ、業界特有なのか、職員間のコミュニケーションがほとんどなく、少し慣れてきましたが、正直いたたまれないです。 週二回、ミーティングを通してコミュニケーションの機会はあるのですが、仕事の話だけなので、いわゆる雑談がないのです。ですから、職員のプライベートな部分はいまだに全然わからない状況です。また、僕以外、実務に専念されている方だけで、税理士試験の勉強をしている方がいないので、そういう話でコミュニケーションを深めることもできません。

所長に聞くと、職員の皆さん2、3回本試験を受けて打ちのめされ、今は受験勉強を休まれているようです。当初、休みの日でも事務所で勉強してもいいからと言われて張り切って事務所で勉強していたのですが、他の職員さんは業務をしに出社するので、申し訳なく思い、今は自宅で勉強している状況です。社会ですから、友達をつくるために働いているわけじゃないのは重々承知しています。

Q.1 職員間の希薄なコミュニケーションはこの世界では当たり前なのでしょうか?
Q.2 高橋先生の事務所において、何か職員間の連携を深めるためにしていることはありますか?

A.1
税理士事務所は個人商店の色彩が強いため、所長税理士によってコミュニケーションの内容も影響されます。
(職員同士の飲酒を禁止している事務所もあります)
担当制で仕事を行う会計事務所が多いため、所長の方針によっては、ほとんど他のスタッフと会話しなくてもできる仕事ですし、そんな会計事務所もあります。
専門家・職人仕事のため、シャイだったりコミュニケーションが苦手な所長や職員もいるでしょう。

ただ、一般的には、お客様とコミュニケーションをとることが求められる仕事ですし、IT業界などと違いそれほどコミュニケーションが希薄だとは感じません。
むしろ、女性が多いこともあり、テレビ番組、家族の話、スポーツの話、今日の晩御飯の話…
昼休みはうるさいくらいのところも多いと思いますが。

A.2
人間関係については、所長と職員だけという1階層の会計事務所が多いですが、
税理士法人TOTALは、会計事務所としては人数もいる方のため、2〜3階層(中間に本部長、マネージャー)が必要になっています。
また、チームでの対応が求められる中堅企業もあるし、適材適所で分業も行っています。
そうすると、必然的に仕事上コミュニケーションをとることが求められます。

チームで仕事をする上では、仕事以外の話もしてある程度その人の考え方やバックグランドを知っていた方が親しみも持てますし助け合おうという気にもなります。

税理士法人TOTALでは公式には、年に3回(そのうちの1回は「事業計画説明会」です)、職員同士が飲食をともにするイベントがあります。この際には、親睦が図れるような工夫もします。
私は出席しませんがそれぞれ2次会も事務所負担で行っています。ここではまったり話をしているのでしょうか。
その他、不定期に食事会等を行うことがあります。

スタッフ同士でも、飲みに行ったり、食事に行ったり、野球や映画を観に行ったりしているようです。

面白いものでコミュニケーションは構成員によって左右されるようで、同じ仕組みなのに、
新宿本部はお昼(外食者が多く)静かで、
船橋本部はお昼はうるさいくらいで、
東京本部はその中間です。
それぞれ、コミュニケーションはとれているとは思いますが。地域性もあるかな。

ところで、税理士試験の勉強は、他の職員が勉強しているかどうかに左右される面もあります。
(1)所長が受験に理解がない場合
 仕事の成果が大事(そのこと自体は当たり前ですが)と所長が繰り返す、熱血系、ベンチャー系事務所。
(2)所長は受験を勧めるが、受験している人は少ない又は他にいない
(3)所長が受験を勧め、受験している人も多く、合格者も例年いる。 
 (2)と(3)の違いは、実際の合格者の数を聞いてみるとわかりますが、(3)はかなり少ないです。

私は、(2)のタイプの事務所に勤務し、最後の1科目なのに4年間合格できませんでした。
他のスタッフは、合格科目がある方もいましたが、私が入社したころにはもう受験自体をしていませんでした。私は、意思も弱く、仕事を言い訳に環境に流され、自分ひとりで勉強し続けることができませんでした。
結局、受験に専念してやっとのことで合格しました。

税理士法人TOTALでは、家庭を抱えて仕事を受験の両立が難しい主婦を除くと、資格取得を勧めています(中長期的なキャリアプランを考えています)。
そのための環境を整えることには努力は惜しみません。
昼休みにDVDやネットでヘッドホンをして授業を受ける人、定時後も(退出のタイムカードを打刻して)事務所に残って勉強する人、専門学校や大学院に通う人、
たくさんのスタッフががんばって勉強を続けています。
先日、今年の大学院免除者2名に通知が来ました。
もう少しで、今年の税理士試験の発表もあります。一人でも多く、官報合格・科目合格してほしいと思います。

地方では、受験仲間が職場にいることは少ないかもしれません。それでも強い意志を持ってmao様も試験がんばってください。


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2013年10月13日

メガバンクから税理士事務所への転職

税理士事務所求人・採用情報の高橋寿克です。

税理士受験生のsak様よりのご質問です。
■年齢  28
■性別   男 
■資格  簿記2級 消費税法受験済み(科目合格なし)
■職歴  メガバンク6年  
■学歴  一橋大学卒
■会計事務所経験  なし
■居住地 東京 
■その他 TOEIC900(英会話は日常会話程度)

偶然このブログを拝見し、是非転職について相談させて頂きたいと思いましたのでコメントさせていただきます。

専門職として働きたい、人の役に立つ仕事をしたいという想いから税理士を目指しています。
大学を卒業し銀行で働いていましたが、いろいろな事情があり現在はいわゆる閑職に配置されています。
残業がないため勉強時間は比較的取れるのですが、やりがいはなく将来に繋がるスキルも全く身に付かないため、早いうちに転職をして実務経験を積んだほうがいいのではないかと考えるようになりました。

Q. 将来税理士として働くことを前提に考えた場合、どのようなキャリア設計をすべきか
 1.ある程度の科目数が揃うまで現在の職場で働く
 2.税理士事務所に就職する
 3.一般企業の経理など、親和性がありそうな業務で経験を積む

無職で受験専念というのは今のところ考えておりません。お忙しいところ恐縮ですが、ご回答頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

A.
以前は、メガバンクから税理士を目指される方はほとんどありませんでした。
たまにいるとしたら、女性、30代後半スタート、またはMARCH・関関同立・地方国立大出身者等がまれにいるくらいでした。

金融機関といえば、地銀(地方銀行)、信金、たまに信託、証券、ノンバンク…出身者は以前からおられました。

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そういえば、うちの代表社員・東京本部長の沓掛税理士は、sak様と同じ一橋大学卒で
明治安田生命保険出身ですが、大手生命保険会社出身の税理士も珍しいかもしれません。
(彼は在職中に最終合格しており、その点でもすごいなあと尊敬しています)
税理士法人TOTALは、沓掛税理士以外にも、複数の 地銀(地方銀行)出身者、証券、ノンバンク等金融機関出身者がいます。
そろそろうちにもメガバンク出身者がいても…。

最近では、認定支援機関の融資と助成金支援が続いています。
特に融資は、お客様ご自身で金融機関に申し込みに行くと断られた案件でも
ポイントを理解している当事務所が事業計画を作り変えて
紹介状をつけてお願いすると通ることも多いです。
地銀出身者も計画書作成をがんばっています。

税理士法人TOTALのお客様で、必要な方は是非お気軽にご相談ください。
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最近では、履歴書が送られてくる中に、東京三菱UFJ、三井住友、みずほ銀行在職・退職の方がたまにおられます。学歴も立派で、健康を損ねた等のやむを得ない事情があるわけではありません。
私の新卒時代は、金融機関に行けば「人生安泰」と言われていたので隔世の感はあります。
「半沢直樹」がヒットするようにメガバンクでさえも厳しい環境に置かれているのかもしれません。

受験専念は考えておられないとのことなので、個人的には
 1.の現職で科目数が進むまで働く をお勧めします。

 税理士試験は、5科目の科目合格制のため、簿記論・財務諸表論の会計科目はともかく、税法についてはかなり合格しにくくなっています。
 このため、税理士を育てよう、長く職員にいてもらおうという一定水準以上の税理士事務所は、従来は3科目以上合格者しか採用しないのが普通でした。
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税理士法人TOTALは、官報合格が難しいなら、最後は大学院に進学して税法免除してもいいと思っているので、税理士試験受験生については従来から2科目合格者以上を採用しています。
税理士試験を受験しない人については簿記3級でもかまいません。
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最近では、それでは職員の人数がそろわないので2科目合格者から採用するという事務所も増えてきました。
sak様の 「人の役に立つ仕事をしたいと」いう想いからは多少ずれるかもしれませんが、(メガバンクから転職しても違和感の少ない)BIG4は、今でも3科目合格以上が足きりラインでしょう。

2.の税理士事務所はできれば3科目合格するまではsak様の場合はお勧めしません。
税理士事務所で、科目合格不問で採用するところは、税理士資格取得を応援していないか、少なくとも気にしていない可能性が高いでしょう。

そういう事務所である程度の年収だとしたら、勉強時間が確保しにくいほど残業することになるでしょうし、
そうでないとしても一人だけ勉強するのは人間関係がつらいかもしれません。

他に選択肢がない税理士受験生なら、社会人経験・会計事務所経験を積んで別の会計事務所に転職する足掛かりになるので、零細でも、きつくても会計事務所で働くというのは良いと思います。
ただ、メガバンクで育ったsak様にはおすすめしません。最初に勤務する会計事務所はその後の職業人生に大きな影響を与えます。

3.の一般企業の経理は、大手・中堅のしっかりしている会社は、最近の公認会計士のリストラの影響でメガバンク出身者でも良い条件のところはなかなか難しいと思います。
中途採用では即戦力が求められるので、上場対応ができて、経理・監査実務経験がある方が有利です。

それ以外の中小経理は、当たり外れが激しいです。
中小企業は、上場企業と違って社長の個人商店です。労働条件も離職率もむちゃくちゃなところもあります。
また、転職後は環境に慣れるまでしばらくストレスを受け続けます。理不尽な目にあうかもしれません。いかに大企業が優秀な人材が多いかを知り、人生勉強にはなるでしょうが試験勉強にはあまりプラスになりません。

このため、税理士試験受験生の中には、わざと税務・経理と関係のない、人間関係が少ない単純作業のアルバイトをする人もいたりします。

というわけで1.の現職メガバンクで科目合格を目指すのが良いと思います。

メガバンクにいると、以前に比べて給与が低い(それでも他産業よりは高いです)、役職が上がらない、40過ぎてやめる人が多いなど、欠点が目立って閉塞感もあると思います。

以前は、銀行は、高給と労働時間が長い仕事の代名詞でした。
最近ではメガバンクも、私たちの新卒のころと違ってコンプライアンス重視で労働時間的にはそれほど激務ではないとお聞きしています。
今、地銀あたりが労基が入って残業を制限し始めているところです。
他方で、社会一般では、最近でも、若手は2割近くが週60時間以上働いているそうです。
労働時間的には、銀行が特別きつい職場ということはもうないかもしれません。
なお、会計業界でも、きついところは、大手も含めて終電近くも普通、終電がなくなってタクシー帰りや、会社に泊まり込みもあると聞いています。「マイ寝袋」の話を聞いたときはびっくりしました。
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税理士法人TOTALはそこまで残業していません。残業代もきちんと割増しで払うので高くつきますから、そうなる前に人を補充します。本日(日曜日)も私以外は事務所には来ていないようです。
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もちろん、うち以外も、普通の会計事務所はそんなに働いていません。

現職で閑職に追いやられたのは残念ではありますが、
考えようによっては、時間がとりやすく、精神的に割り切ってしまえば仕事の負荷もかかりません。
給料もきちんともらえるし、仕事と勉強の両立には最良の環境かも知れません。

私は個人的には1〜2年程度の受験専念をお勧めするのですが、
sak様なら、専念しなくても頭脳のキレ、若さとも問題ないような気がします。
税理士目指してがんばってください。
試験後も専門職として勉強は必要ですし、仕事は面白いですよ。

2013年10月10日

税理士事務所の採用面接〜前職の退職理由

税理士法人TOTALの高橋寿克です。
税理士事務所の求人・採用に関する情報をお届けしています。

昨日は、TOTALグループの事業計画説明会
年に1度、4本部から、グループ全員が集まり、
経営理念の共有を図りつつ
(〜あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい〜)
目標を発表し、懇親を深めます。
今年の参加者は70名を超え、大変盛り上がりました。


ご質問はここをクリック

それでは、いず様よりの質問です。
■年齢  33歳
■性別  男
■資格  簿記2級 税理士科目なし 
    (簿記論、法人税法受験済み)
■職歴  通信業(営業)8年
■学歴  地方中堅国立大学
■会計事務所経験 あり(2年) 
    税理士、私、入力スタッフの3人 専門性なし 正社員
■居住地 東京 
■その他、特殊事情

職歴から、(私としては効果が薄いのがわかっていますが、)飛び込み営業をさせられています。
申告書も手書きですし、イータックスに至ってはお客様から要望があっても拒否しています。お客様が来られる事務所なのにとてもたばこ臭く、のどが痛いです。典型的な古い体質の事務所なんだろうと思います。前向きな意見も後回しにされたうえ、ほぼ通りません。逆に怒られます。

残業も多く、翌朝になることも何回かあります。私と同時期に入ったスタッフがいたのですが、数か月でやめてしまったのと、もう一人の入力スタッフの人はほぼ先生の補助ですが、暇さえあれば、ネットを見ています。そんな理由から、私の担当のお客は30件近く担当させて頂いていますが、ほぼ自分で入力しています。集金も行きますし、月次の打ち合わせも行きます。

先日は、税務処理を間違いと指摘されたのですが、所長税理士の処理のほうが間違っていました。

Q.1
正直、今をよくしようと努力するよりも新しいところで頑張るほうが早いと思います。今はせっかく勉強の時間を確保したくてもなかなか勉強の時間が確保できません。転職すべきとは思いますが、いかがでしょうか?
愚痴のようになってしまい申し訳ございません。

Q.2
転職する場合の面接では、転職理由としてこういうエピソードは話すのはNGでしょうか?
よろしくお願いいたします。

A.1
税理士業界の「飛び込み」営業は、1勝9敗で効率が悪くてつらいですね。
もっとも、先日、他の業界の経営者の方に、それならずいぶん楽だよと言われて
税理士業界はいかに恵まれているか再認識しましたが。
(普段は8勝2敗の楽な営業をさせていただいています)

税理士法人TOTALは手書きではなくソフトで処理し、e-TAXほぼ100%、集金は自動引き落とし、仕事中は禁煙、残業時間は普通かな。翌朝はもちろん、翌日まで仕事することはないです(そういえば、私自身も徹夜をすることはなくなりました)。
科目合格者、官報合格者とも毎年普通にいます(残念ながら不合格者も多いですが)。
私も税務でたまに間違えますが、スタッフに根拠を調べてもらって、直せばいいだけです。日々精進せねば。

まあ、いず様の場合は大変ですね。会計事務所は所長の個人商店ですから、聞く耳を持たない所長なら変えようとして怒られるより転職する方が早いと思います。

これを読まれている方に誤解してもらいたくないのは、

良い税理士事務所はもちろんあるし、
普通の会計事務所は、当たり前ですが普通にあるということです。

むしろ営業色が強くて、成長率が高すぎる人材不足の事務所や、零細で労働環境に無関心な所長の事務所でなければ、労働時間が普通で試験と両立できる事務所ならごく普通に、どこにでもあります。
労働環境が悪い事務所にいると、そのうちそれが普通だと思い始めてしまうのが怖いですね。
中堅以上の税理士事務所なら、税理士が10人に一人以上いるか調べたり、在職中での科目合格者がいるか確認すればいいでしょう。
くわしくは 「会計事務所の規模別・種類別の特徴」

就職希望者が会計事務所経験や合格科目数が少ないと、採用される確率が低くなることはあります。
この場合は、給与、労働時間、仕事の質・面白さ、教育、人間関係等、求める条件を優先順位を決めて譲れないものを考えて応募する方が良いでしょう。

A.2
採用面接では、正直に話した方が良いと思います。
業界経験者の場合、転職理由を聞かれます。それが不合理でないなら、むしろ同情されるし、不利な扱いは受けないと思います。
ただ、その退職理由が、応募した事務所にも該当する場合には採用されにくいでしょう。
(退職理由が勉強できないことで、応募事務所は勉強より仕事をしてもらいたい場合等)
でも、それがいず様にとって譲れないポイントなら、採用されない方が良いのです。
選択肢の少ない地方だと事情も違いますが、東京なら、たくさんの事務所があります。
お互いが納得できる事務所を探せばいいだけです。

税理士法人TOTALは受験生には2科目合格を課しているのですが(受験生でなければ簿記3級でもかまいません)、他の事務所で数年経験してから、2科目合格して今年入社してくれたスタッフがいます。

もちろん、退職理由の話し方には気を使ってくださいね。

このあとも仕事と勉強の両立は大変だと思いますが、あきらめずに頑張ってください。




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