2010年09月
2010年09月13日
公認会計士と税務
税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
※ご質問はここをクリック
A様からのお問合せです。
■年齢 31
■性別 男性
■資格 公認会計士
■職歴 大手監査法人5年目
■学歴 MARCH
今年実務補習所の修了試験を合格し、公認会計士登録しております。
ご承知の通り、監査法人の現状は、ここ数年の合格者増加による人員の余り、監査報酬カット等により、厳しい状況となり、これから数年は監査法人以外での業務も視野に入れ、自身のスキルアップが極めて重要と考えられます。
そのひとつとして、税務の知識・経験というのが考えられるかと思いますが、監査法人にいる間は税務に触れることもほとんど無い状況です。
現時点では、独立、一般事業会社、税理士法人への転職等自分の方向を模索中ですが、何度も転職できるような年齢では無いのは言うまでもありません。
Q.
公認会計士が税務の現場に飛び込もうとする場合、どのような選択肢があるのかご教示いただけますと幸いです。
A.
私自身は公認会計士試験を勉強したこともなく、監査法人の状況は友人・知人等からの伝聞やニュースでしか聞くことはないので、必ずしも正確には知りませんし、この質問に対する適切な回答をする自信は必ずしもありません。このことをご理解いただいた上でお読みください。
(後日、公認会計士及をスタッフとして迎え入れました。)
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公認会計士業界は、金融庁の公認会計士5万人計画、J-SOX対応もあり、試験合格者を3000人程度と従来より大幅に増加させました。リーマンショック後、需要はむしろ減り、価格競争とあいまって、競争環境が激化し、最大手の新日本監査法人は、昨年は大幅な赤字決算になり、会計士400人のリストラ計画が発表されるなど、厳しい状況にあります。足元では、合格者の就職難や合格者数の減少もあり、公認会計士試験の制度改正が予定されています(後日 この制度改正は国会で廃案になりました)。
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公認会計士が税務を行う場合について
1、監査法人系列の税理士法人に移籍する。
BIG4なら、それぞれ系列の税理士法人があると思います。そこに希望を出して移籍出来るならそれが一番良いと思います。同じ企業文化、過去の経歴をきちんと評価される、給与水準もそれなりに高い。ただ、最近では、公認会計士の方の転籍希望が増えているので希望が通るとは限りません。
監査法人の監査実務経験が生きるのは、監査対象の上場企業やその関連企業、外資系などの企業だと思います。そういうお客様のTAXが多いのはやはり4大税理士法人になります。
これに類するものとして、A様が新日本監査法人に在籍の場合、それ以外の3つの監査法人系列の税理士法人を受けてみる手はありえると思います。
2、公認会計士が代表の大手税理士法人に勤務する
監査法人と違って、従業員100名以上なら、税理士業界では大手と呼ばれます。その中で、公認会計士が代表のところは、比較的公認会計士の採用に積極的です。同族中堅企業で上場又は上場予備軍を抱えていたりするので、監査実務経験を評価されることがあります
IPO関連ならなおのこと)。
昨年は、税理士の採用から公認会計士の採用に切り替えたところもあると聞いています。
ただ、昨年来の会計士試験論文合格者の就職難の影響もあり、彼らにとっても実務経験が積める数少ない就職先として人気になっています。若い、給料の安い論文合格者との比較になるので、ある程度、即戦力として期待されるでしょう。
このクラスは比較的、労働時間の長い、激務なところも多く、労働環境の違いに戸惑われるかもしれません。
3、中小の公認会計士兼税理士事務所
監査を形だけやっている公認会計士事務所の中には、会計士の加入をパートナー又は後継者として歓迎するところもあるでしょう。ただし、後継者の話はあまり真に受けずに割り引いて受け取ってください。なお、中小企業ですから、トップの考え方により、事務所の性格、職場環境はまるで違います。見極めが大事になります。
4、税理士が主宰する税理士事務所
残念ながら、多く中小の税理士事務所ではあまり高くは評価されないでしょう。強みである監査実務経験を使う場所がほとんど無いためです。その税理士事務所に上場子会社のお客様があれば、その分評価が上がるくらいのものです。会計は出来るけれど、税務は出来ない有資格者という位置づけです。独立するために一通りの技術を学びたいという場合、2年くらい腰掛けで在籍したいという意図がどうしても隠せないので嘘をついてもほとんど採用されません(経営者は嘘を見破るのは得意です)。
中堅以上の税理士事務所ならパートナー又は後継者として公認会計士として歓迎するところもあるでしょう。やはり、中小企業ですから、トップの考え方により、事務所の性格、職場環境はまるで違います。見極めが大事になります。
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税理士法人TOTALでは、1名公認会計士が入社しました。今後も引き続き公認会計士を募集しています。組織の成長に伴い人的なポテンシャルレベルが高い会計人を必要としているのですが、税理士業界だけで探すことが困難になってきているからです。将来のパートナー候補として中長期的に勤務できる方のご応募をお待ちしています。
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5、独立
営業力、人脈があり、見込み客がいるなら、独立をして、その間に税務を徐々に勉強をするという選択もあります。独立当初は暇ですから勉強する時間はあります。ただ、見込み客や戦略がないのに独立するのはさすがに無謀でしょう。ブランドや営業会社を過信したり、インターネットで何とかなると思いすぎるのは危険です。最近伸びている会計事務所の経営者は、税理士でもそれなりに優秀なはずです。
リスクをとらないと成功しませんが、以前のように、ホームページを作れば、ないし、ちょっと営業力さえ磨けば何とかなるという時代ではありません。
(営業会社もあるのですが、紹介率が60%で割に合いません。)
6、一般企業
経理部に社内会計士として勤務し、そこで、監査される側の対応を覚えると同時に税務申告実務に関わるという選択もありえます。そのまま社内で出世を目指してもいいですし、企業内での実務経験は、将来独立する場合の営業力に結びつく可能性も高いように思います。
昔は、公認会計士が税務で独立して、経営者として組織を上手につくり、税理士として成功するケースもたくさんありました。
ただ、以前と違って、中小企業相手の税理士業務は、ほとんど超過利潤はありません。徹底した価格競争に巻き込まれると、実務経験の少なさにより、効率的に高いレベルの仕事が出来ないことは致命的になります。泥臭い割に、一定のスケールがないと儲からないのです。
以前は、監査業務の高給のアルバイトをしながら税務のお客様を増やすということが可能でした。最近では監査のアルバイトは激減していますし、損益分岐点を超える税務の客様の数は上がり、増客も難しくなっています。このため、通常の税務で独立する公認会計士は減っています。
公認会計士の方は、税務をする場合でも、人的レベルの高さや監査実務経験等、公認会計士の強みが生きるフィールドで勝負する方が望ましいと思います。
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
※ご質問はここをクリック
A様からのお問合せです。
■年齢 31
■性別 男性
■資格 公認会計士
■職歴 大手監査法人5年目
■学歴 MARCH
今年実務補習所の修了試験を合格し、公認会計士登録しております。
ご承知の通り、監査法人の現状は、ここ数年の合格者増加による人員の余り、監査報酬カット等により、厳しい状況となり、これから数年は監査法人以外での業務も視野に入れ、自身のスキルアップが極めて重要と考えられます。
そのひとつとして、税務の知識・経験というのが考えられるかと思いますが、監査法人にいる間は税務に触れることもほとんど無い状況です。
現時点では、独立、一般事業会社、税理士法人への転職等自分の方向を模索中ですが、何度も転職できるような年齢では無いのは言うまでもありません。
Q.
公認会計士が税務の現場に飛び込もうとする場合、どのような選択肢があるのかご教示いただけますと幸いです。
A.
私自身は公認会計士試験を勉強したこともなく、監査法人の状況は友人・知人等からの伝聞やニュースでしか聞くことはないので、必ずしも正確には知りませんし、この質問に対する適切な回答をする自信は必ずしもありません。このことをご理解いただいた上でお読みください。
(後日、公認会計士及をスタッフとして迎え入れました。)
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公認会計士業界は、金融庁の公認会計士5万人計画、J-SOX対応もあり、試験合格者を3000人程度と従来より大幅に増加させました。リーマンショック後、需要はむしろ減り、価格競争とあいまって、競争環境が激化し、最大手の新日本監査法人は、昨年は大幅な赤字決算になり、会計士400人のリストラ計画が発表されるなど、厳しい状況にあります。足元では、合格者の就職難や合格者数の減少もあり、公認会計士試験の制度改正が予定されています(後日 この制度改正は国会で廃案になりました)。
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公認会計士が税務を行う場合について
1、監査法人系列の税理士法人に移籍する。
BIG4なら、それぞれ系列の税理士法人があると思います。そこに希望を出して移籍出来るならそれが一番良いと思います。同じ企業文化、過去の経歴をきちんと評価される、給与水準もそれなりに高い。ただ、最近では、公認会計士の方の転籍希望が増えているので希望が通るとは限りません。
監査法人の監査実務経験が生きるのは、監査対象の上場企業やその関連企業、外資系などの企業だと思います。そういうお客様のTAXが多いのはやはり4大税理士法人になります。
これに類するものとして、A様が新日本監査法人に在籍の場合、それ以外の3つの監査法人系列の税理士法人を受けてみる手はありえると思います。
2、公認会計士が代表の大手税理士法人に勤務する
監査法人と違って、従業員100名以上なら、税理士業界では大手と呼ばれます。その中で、公認会計士が代表のところは、比較的公認会計士の採用に積極的です。同族中堅企業で上場又は上場予備軍を抱えていたりするので、監査実務経験を評価されることがあります
IPO関連ならなおのこと)。
昨年は、税理士の採用から公認会計士の採用に切り替えたところもあると聞いています。
ただ、昨年来の会計士試験論文合格者の就職難の影響もあり、彼らにとっても実務経験が積める数少ない就職先として人気になっています。若い、給料の安い論文合格者との比較になるので、ある程度、即戦力として期待されるでしょう。
このクラスは比較的、労働時間の長い、激務なところも多く、労働環境の違いに戸惑われるかもしれません。
3、中小の公認会計士兼税理士事務所
監査を形だけやっている公認会計士事務所の中には、会計士の加入をパートナー又は後継者として歓迎するところもあるでしょう。ただし、後継者の話はあまり真に受けずに割り引いて受け取ってください。なお、中小企業ですから、トップの考え方により、事務所の性格、職場環境はまるで違います。見極めが大事になります。
4、税理士が主宰する税理士事務所
残念ながら、多く中小の税理士事務所ではあまり高くは評価されないでしょう。強みである監査実務経験を使う場所がほとんど無いためです。その税理士事務所に上場子会社のお客様があれば、その分評価が上がるくらいのものです。会計は出来るけれど、税務は出来ない有資格者という位置づけです。独立するために一通りの技術を学びたいという場合、2年くらい腰掛けで在籍したいという意図がどうしても隠せないので嘘をついてもほとんど採用されません(経営者は嘘を見破るのは得意です)。
中堅以上の税理士事務所ならパートナー又は後継者として公認会計士として歓迎するところもあるでしょう。やはり、中小企業ですから、トップの考え方により、事務所の性格、職場環境はまるで違います。見極めが大事になります。
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税理士法人TOTALでは、1名公認会計士が入社しました。今後も引き続き公認会計士を募集しています。組織の成長に伴い人的なポテンシャルレベルが高い会計人を必要としているのですが、税理士業界だけで探すことが困難になってきているからです。将来のパートナー候補として中長期的に勤務できる方のご応募をお待ちしています。
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5、独立
営業力、人脈があり、見込み客がいるなら、独立をして、その間に税務を徐々に勉強をするという選択もあります。独立当初は暇ですから勉強する時間はあります。ただ、見込み客や戦略がないのに独立するのはさすがに無謀でしょう。ブランドや営業会社を過信したり、インターネットで何とかなると思いすぎるのは危険です。最近伸びている会計事務所の経営者は、税理士でもそれなりに優秀なはずです。
リスクをとらないと成功しませんが、以前のように、ホームページを作れば、ないし、ちょっと営業力さえ磨けば何とかなるという時代ではありません。
(営業会社もあるのですが、紹介率が60%で割に合いません。)
6、一般企業
経理部に社内会計士として勤務し、そこで、監査される側の対応を覚えると同時に税務申告実務に関わるという選択もありえます。そのまま社内で出世を目指してもいいですし、企業内での実務経験は、将来独立する場合の営業力に結びつく可能性も高いように思います。
昔は、公認会計士が税務で独立して、経営者として組織を上手につくり、税理士として成功するケースもたくさんありました。
ただ、以前と違って、中小企業相手の税理士業務は、ほとんど超過利潤はありません。徹底した価格競争に巻き込まれると、実務経験の少なさにより、効率的に高いレベルの仕事が出来ないことは致命的になります。泥臭い割に、一定のスケールがないと儲からないのです。
以前は、監査業務の高給のアルバイトをしながら税務のお客様を増やすということが可能でした。最近では監査のアルバイトは激減していますし、損益分岐点を超える税務の客様の数は上がり、増客も難しくなっています。このため、通常の税務で独立する公認会計士は減っています。
公認会計士の方は、税務をする場合でも、人的レベルの高さや監査実務経験等、公認会計士の強みが生きるフィールドで勝負する方が望ましいと思います。