2009年10月
2009年10月24日
企業内税理士の種類
税理士事務所・会計事務所 就職情報の税理士 高橋寿克です。
あや様よりのご質問です。
■年齢:38歳
■性別:女性
■資格:USCPA, 簿記2級、証券アナリスト
全経 所得税法1級、法人税法2級、消費税法2級
TOEIC800
■職歴:外資系金融(財務部門にて管理会計。小規模)5年
会計コンサルティング会社、1年
他職種6年
■学歴:MARCHレベル
■会計事務所経験:なし
■居住地:(出来れば大まかにでも書いて下さい)
Q.
現在の会社は規模が大変小さいため、財務部門での仕事は限られております。現在は子供も小さく、転職を考えておりませんが、将来の為に、また会社都合で職を失うことをも考慮して、税理士資格を検討しておりました。
(1)先生のコメントを拝見しておりますと、税理士試験を仮に5年で合格したとしても、未経験で税理士事務所へ正社員としての就職は厳しいように感じました。
(2)企業内税理士としての財務部門での就職の可能性についは、いかが思われますでしょうか?経理経験は一度もございません。
(3)年齢的に考えて、大変難関である税理士資格を勉強する以外の、キャリアアップの選択肢を考えた方が良いのかどうかという質問となります。予備校の話ではなく、現実を認識したいと思っております。ただ、税務には非常に興味を持っておりますし、お仕事的にも自分に向いていると思っております。
A.1 40代半ばの税理士有資格者(未経験者)の就職
税理士有資格者が欲しい税理士事務所は幹部として採用することもあると思います。具体的には、
・作業者が多く質的に問題があり品質向上を目指す場合
・後継者が欲しい場合
・支店設置の予定がある場合
などです。
また、女性の場合、独立の可能性が低いので、お客様を持ち逃げされるリスクが低く、就職は楽ではありませんが、さがせば正社員で採用するところも結構あります
(税理士法人TOTALも採用したことがあります)。
なお、男性の40代半ば税理士有資格者で未経験者は、実務経験2年の腰掛け・独立のリスクが高いのでその分だけ就職は厳しいでしょう。
A.2 企業内税理士
(1)顧問先に就職
会社の内容を分かっており、人間関係もできているので
このパターンは一番多くてお互いに安心でしょう。
ライブドアの宮内亮治氏が税理士・取締役兼CFOで有名
身近でも何人かいます。
(2)勤務中に税理士資格を取る
名刺の肩書きとして営業用に使ったり
(金融保険・コンサル)、
独立のタイミングを探るケースです。
(3)一般応募での転職
BIG4等の税理士法人に勤務していた税理士なら、
独立より企業勤務に親和性があるかもしれません。
独立失敗組の税理士もたまに企業勤務を目指すようです。
そもそも税理士試験を目指す方は
独立心も専門家志向も強いので身近には聞きません。
残念ながら、実務経験が無いと企業内税理士としての
転職は難しいかもしれません。
A.3 会計事務所への就職 あや様の場合
しっかりしたキャリアを積まれ、外資系金融の経験やTOEICスコアなど、一部の税理士法人では高く評価しそうなポイントもお持ちですね。
会計事務所勤務は、どういうキャリアプランを描いているかによって私の返事は違います。
(1)バリバリキャリア型
転職時の最低年収は500万円、できれば600万円、5年くらいでに1000万円以上を目指す。
これを思い描いているなら残念ながら間に合わないかも。
このタイプは30代前半までに税理士資格を取った方用ですね。
(2)仕事と子育ての両立型
転職時は年収300万円でも、5年くらいで500万円〜700万円を目指す。
その後は仕事内容しだいでそれ以上の給料も。
私は、こちらなら十分可能だと思います。この場合、独立前提でないなら、あまり税理士資格にこだわらなくて大丈夫です。
(もちろん、勉強を否定するつもりはありません)
会計業界は、実務経験の内容自体が評価されますので無資格で転職も可能ですし、そもそも外資系ほど転職する必要もありません。
キャリアアップに熱心な方にはぬるい業界かもしれません(安定しているとも言えます)。歴史の長い会計事務所なら、10年以上の女性スタッフがたくさんいます。
税理士法人TOTALも、正社員第1号が今でも在職してくれています。
前回「女性の仕事と家庭の両立」の再掲になりますが、
仕事と家庭との両立を考える女性にとっては、中堅クラス以上の会計事務所のスタッフとして働くこと、そのなかでチャンスがあれば資格を取るくらいでいいと個人的には思っています。
良い点は、(高給ではないが)普通の給与であること、つぶれにくいこと、経験者の転職は容易なこと(だんなさんの転勤等に対応できます)、家庭と仕事の両立に理解があることが多いこと、パートと正社員の差が(男女差別のない事務所なら)小さく正社員になりやすいことなどです。
悪い点は、個人商店なので所長と合わないと大変です。人を使うのが得意でない方(というか人を使う技術のない方)も残念ながらいます。所長が高齢者の事務所は途中で転職する必要があります。
なお、あや様の場合は38歳という年齢は微妙です。
仕事を覚える都合があるので数年中に転職しないとさすがにつらいと思います。
(税理士資格を取る場合を除く)
今の仕事でいけるなら、正直悩むところですね。
在職のまま、今すぐ転職活動するか、反応が今ひとつなら、税理士試験の一部科目を受験・合格して転職活動をするのも手かもしれません。
あや様よりのご質問です。
■年齢:38歳
■性別:女性
■資格:USCPA, 簿記2級、証券アナリスト
全経 所得税法1級、法人税法2級、消費税法2級
TOEIC800
■職歴:外資系金融(財務部門にて管理会計。小規模)5年
会計コンサルティング会社、1年
他職種6年
■学歴:MARCHレベル
■会計事務所経験:なし
■居住地:(出来れば大まかにでも書いて下さい)
Q.
現在の会社は規模が大変小さいため、財務部門での仕事は限られております。現在は子供も小さく、転職を考えておりませんが、将来の為に、また会社都合で職を失うことをも考慮して、税理士資格を検討しておりました。
(1)先生のコメントを拝見しておりますと、税理士試験を仮に5年で合格したとしても、未経験で税理士事務所へ正社員としての就職は厳しいように感じました。
(2)企業内税理士としての財務部門での就職の可能性についは、いかが思われますでしょうか?経理経験は一度もございません。
(3)年齢的に考えて、大変難関である税理士資格を勉強する以外の、キャリアアップの選択肢を考えた方が良いのかどうかという質問となります。予備校の話ではなく、現実を認識したいと思っております。ただ、税務には非常に興味を持っておりますし、お仕事的にも自分に向いていると思っております。
A.1 40代半ばの税理士有資格者(未経験者)の就職
税理士有資格者が欲しい税理士事務所は幹部として採用することもあると思います。具体的には、
・作業者が多く質的に問題があり品質向上を目指す場合
・後継者が欲しい場合
・支店設置の予定がある場合
などです。
また、女性の場合、独立の可能性が低いので、お客様を持ち逃げされるリスクが低く、就職は楽ではありませんが、さがせば正社員で採用するところも結構あります
(税理士法人TOTALも採用したことがあります)。
なお、男性の40代半ば税理士有資格者で未経験者は、実務経験2年の腰掛け・独立のリスクが高いのでその分だけ就職は厳しいでしょう。
A.2 企業内税理士
(1)顧問先に就職
会社の内容を分かっており、人間関係もできているので
このパターンは一番多くてお互いに安心でしょう。
ライブドアの宮内亮治氏が税理士・取締役兼CFOで有名
身近でも何人かいます。
(2)勤務中に税理士資格を取る
名刺の肩書きとして営業用に使ったり
(金融保険・コンサル)、
独立のタイミングを探るケースです。
(3)一般応募での転職
BIG4等の税理士法人に勤務していた税理士なら、
独立より企業勤務に親和性があるかもしれません。
独立失敗組の税理士もたまに企業勤務を目指すようです。
そもそも税理士試験を目指す方は
独立心も専門家志向も強いので身近には聞きません。
残念ながら、実務経験が無いと企業内税理士としての
転職は難しいかもしれません。
A.3 会計事務所への就職 あや様の場合
しっかりしたキャリアを積まれ、外資系金融の経験やTOEICスコアなど、一部の税理士法人では高く評価しそうなポイントもお持ちですね。
会計事務所勤務は、どういうキャリアプランを描いているかによって私の返事は違います。
(1)バリバリキャリア型
転職時の最低年収は500万円、できれば600万円、5年くらいでに1000万円以上を目指す。
これを思い描いているなら残念ながら間に合わないかも。
このタイプは30代前半までに税理士資格を取った方用ですね。
(2)仕事と子育ての両立型
転職時は年収300万円でも、5年くらいで500万円〜700万円を目指す。
その後は仕事内容しだいでそれ以上の給料も。
私は、こちらなら十分可能だと思います。この場合、独立前提でないなら、あまり税理士資格にこだわらなくて大丈夫です。
(もちろん、勉強を否定するつもりはありません)
会計業界は、実務経験の内容自体が評価されますので無資格で転職も可能ですし、そもそも外資系ほど転職する必要もありません。
キャリアアップに熱心な方にはぬるい業界かもしれません(安定しているとも言えます)。歴史の長い会計事務所なら、10年以上の女性スタッフがたくさんいます。
税理士法人TOTALも、正社員第1号が今でも在職してくれています。
前回「女性の仕事と家庭の両立」の再掲になりますが、
仕事と家庭との両立を考える女性にとっては、中堅クラス以上の会計事務所のスタッフとして働くこと、そのなかでチャンスがあれば資格を取るくらいでいいと個人的には思っています。
良い点は、(高給ではないが)普通の給与であること、つぶれにくいこと、経験者の転職は容易なこと(だんなさんの転勤等に対応できます)、家庭と仕事の両立に理解があることが多いこと、パートと正社員の差が(男女差別のない事務所なら)小さく正社員になりやすいことなどです。
悪い点は、個人商店なので所長と合わないと大変です。人を使うのが得意でない方(というか人を使う技術のない方)も残念ながらいます。所長が高齢者の事務所は途中で転職する必要があります。
なお、あや様の場合は38歳という年齢は微妙です。
仕事を覚える都合があるので数年中に転職しないとさすがにつらいと思います。
(税理士資格を取る場合を除く)
今の仕事でいけるなら、正直悩むところですね。
在職のまま、今すぐ転職活動するか、反応が今ひとつなら、税理士試験の一部科目を受験・合格して転職活動をするのも手かもしれません。
2009年10月07日
女性の仕事と家庭の両立(公認会計士短答式合格者)
税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
※ご質問はここをクリック
S様よりのご質問です。
■年 齢 29歳
■性 別 女性
■資 格 日商簿記2級取得、会計士短答式合格、現在論文式の発表待ち
■職 歴 家庭教師のアルバイト
■学 歴 国立の経済学部
■会計事務所経験 なし
■居住地 (出来れば大まかにでも書いて下さい)
■その他
もともと、経理という仕事は女性が仕事と家庭を両立しやすいため志したのですが、今後の進路で迷っています。
会計士の論文の出来が悪く多分不合格だと思っています。監査法人に就職は来年も無理だと予想しまして会計士ではなく、税理士に転向したいと思っています。
しかし、本音を言うと結婚して家庭と仕事を両立させて長く働けるような仕事に就きたいと思っています。会計士に合格できなかったものが税理士試験に合格できるのかという不安もあります。
Q.1
資格をとって独立するよりも、一般事業社の経理で勤め上げる方が女性の働き方として現実的なのかどうか。
そのために、派遣でも実務経験を得るために経理実務をした方がいいのか、
それとも税理士を目指して個人事務所にパートでも働かせて頂いた方が長い目で見た時にはキャリアになるのかが分かりません。
Q.2
先生がご指摘しておられた派遣中心の都内の税理士法人とは○○税理士法人のことでしょうか?(注:一部都合により、運営サイドで編集しました。)
実はその法人からスカウトメールが来ました。HPだけでは実情がわかりません。この意思決定が今後どのようになってしまうのか不安です。
またそのような派遣中心の税理士法人を先生が知っておられる範囲で教えていただけないでしょうか?
A.1
公認会計士試験の迷走はかなりあちこちに影響をもたらしましたね。直接に巻き込まれて大変だったと思います。
女性の仕事と家庭の両立のためには、(未来のだんなさんが転勤がなければ)中堅企業以上の育児に理解のある会社又は公務員に正社員で入るのが一番良いと思っています。学歴が高くて今でも入社が可能なら最善だと思います。
ただ、日本の大企業は新卒主義で、中途ではよほどの実務経験者でないと普通は入れません。派遣からのキャリアアップはきついと思いますし、派遣では一生は働けません。
外資系はキャリアアップ可能ですが、生涯、競争は激しいです。
派遣から零細企業の経理はありえますが、家庭との両立に理解があるか、そもそも会社が存続可能か、仕事が楽しいかなど乗り越えるべき問題は多いでしょう。
資格を取って独立は、家庭との両立を考える女性にとっては現実的ではありません。
独立は、勉強と自営業者を一生やることを意味します。実際には大変なはずです。
むしろ、中堅クラス以上の会計事務所のスタッフとして働くこと、そのなかでチャンスがあれば資格を取るくらいでいいと個人的には思っています。
子育てが終わってライフワークで独立するのは否定しません。
次善の策で会計事務所という選択もありだと思っています。
良い点は、(高給ではないが)普通の給与であること、つぶれにくいこと、経験者の転職は容易なこと(だんなさんの転勤等に対応できます)、家庭と仕事の両立に理解があることが多いこと、パートと正社員の差が(男女差別のない事務所なら)小さく正社員になりやすいことなどです。
悪い点は、個人商店なので所長と合わないと大変です。人を使うのが得意でない方(というか人を使う技術のない方)も残念ながらいます。所長が高齢者の事務所は途中で転職する必要があります。
A.2
このサイトは、特定の会計事務所を非難するものではありませんのでコメントは差し控えます(S様には個別に回答いたします)。
インターネット上で検索してみてください。なお、目安としては
・スタッフ数の5倍以下しか法人クライアントがない
または、
・スタッフの20分の1以下しか税理士がいない
事務所は派遣中心でしょう。
「経理派遣と正社員」参照
8月と12月なら短答レベルで採用する中堅税理士事務所はあると思います。
短答合格なら、来年、簿記論、財務諸表論を受ければ合格の可能性が高いでしょう。
簿財合格の30歳女性ならパートはもちろん、一部で正社員でも採用されると思います。
※なお、ご質問はここをクリック
また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。
ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。
「過去の質問」はこちら
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
※ご質問はここをクリック
S様よりのご質問です。
■年 齢 29歳
■性 別 女性
■資 格 日商簿記2級取得、会計士短答式合格、現在論文式の発表待ち
■職 歴 家庭教師のアルバイト
■学 歴 国立の経済学部
■会計事務所経験 なし
■居住地 (出来れば大まかにでも書いて下さい)
■その他
もともと、経理という仕事は女性が仕事と家庭を両立しやすいため志したのですが、今後の進路で迷っています。
会計士の論文の出来が悪く多分不合格だと思っています。監査法人に就職は来年も無理だと予想しまして会計士ではなく、税理士に転向したいと思っています。
しかし、本音を言うと結婚して家庭と仕事を両立させて長く働けるような仕事に就きたいと思っています。会計士に合格できなかったものが税理士試験に合格できるのかという不安もあります。
Q.1
資格をとって独立するよりも、一般事業社の経理で勤め上げる方が女性の働き方として現実的なのかどうか。
そのために、派遣でも実務経験を得るために経理実務をした方がいいのか、
それとも税理士を目指して個人事務所にパートでも働かせて頂いた方が長い目で見た時にはキャリアになるのかが分かりません。
Q.2
先生がご指摘しておられた派遣中心の都内の税理士法人とは○○税理士法人のことでしょうか?(注:一部都合により、運営サイドで編集しました。)
実はその法人からスカウトメールが来ました。HPだけでは実情がわかりません。この意思決定が今後どのようになってしまうのか不安です。
またそのような派遣中心の税理士法人を先生が知っておられる範囲で教えていただけないでしょうか?
A.1
公認会計士試験の迷走はかなりあちこちに影響をもたらしましたね。直接に巻き込まれて大変だったと思います。
女性の仕事と家庭の両立のためには、(未来のだんなさんが転勤がなければ)中堅企業以上の育児に理解のある会社又は公務員に正社員で入るのが一番良いと思っています。学歴が高くて今でも入社が可能なら最善だと思います。
ただ、日本の大企業は新卒主義で、中途ではよほどの実務経験者でないと普通は入れません。派遣からのキャリアアップはきついと思いますし、派遣では一生は働けません。
外資系はキャリアアップ可能ですが、生涯、競争は激しいです。
派遣から零細企業の経理はありえますが、家庭との両立に理解があるか、そもそも会社が存続可能か、仕事が楽しいかなど乗り越えるべき問題は多いでしょう。
資格を取って独立は、家庭との両立を考える女性にとっては現実的ではありません。
独立は、勉強と自営業者を一生やることを意味します。実際には大変なはずです。
むしろ、中堅クラス以上の会計事務所のスタッフとして働くこと、そのなかでチャンスがあれば資格を取るくらいでいいと個人的には思っています。
子育てが終わってライフワークで独立するのは否定しません。
次善の策で会計事務所という選択もありだと思っています。
良い点は、(高給ではないが)普通の給与であること、つぶれにくいこと、経験者の転職は容易なこと(だんなさんの転勤等に対応できます)、家庭と仕事の両立に理解があることが多いこと、パートと正社員の差が(男女差別のない事務所なら)小さく正社員になりやすいことなどです。
悪い点は、個人商店なので所長と合わないと大変です。人を使うのが得意でない方(というか人を使う技術のない方)も残念ながらいます。所長が高齢者の事務所は途中で転職する必要があります。
A.2
このサイトは、特定の会計事務所を非難するものではありませんのでコメントは差し控えます(S様には個別に回答いたします)。
インターネット上で検索してみてください。なお、目安としては
・スタッフ数の5倍以下しか法人クライアントがない
または、
・スタッフの20分の1以下しか税理士がいない
事務所は派遣中心でしょう。
「経理派遣と正社員」参照
8月と12月なら短答レベルで採用する中堅税理士事務所はあると思います。
短答合格なら、来年、簿記論、財務諸表論を受ければ合格の可能性が高いでしょう。
簿財合格の30歳女性ならパートはもちろん、一部で正社員でも採用されると思います。
※なお、ご質問はここをクリック
また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。
ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。
「過去の質問」はこちら
2009年10月03日
司法試験から税理士試験へ
税理士事務所・会計事務所 就職情報の
税理士 高橋寿克です。
アミ様よりのご質問です。
■年 齢 37歳
■性 別 女性(既婚・現在子供なし。これからできればとは思っています。)
■資 格 ビジネス法務2級、今後2月まで に簿記3・2級を取得予定
(3級取得後、知り合いの会社で弥生ソフトを用いた決算書の作成まで行うパートをする予定)
■職 歴 裁判所勤務(3年間・29歳で退職)
試験期間中は、予備校のアルバイトを週2日(31〜34歳)
■学 歴 旧帝大→私立BIGロースクール
■会計事務所経験 なし
■居住地 不明
■その他 この秋新司法試験を不合格となり、受験資格を失った者です。200番足らず合格には及びませんでした。
勉強してきた法律の知識や考え方を生かせる仕事を探したいと真剣に思っており、税法という法律を扱う税理士に大変魅力を感じています。でも、年齢や未知の会計・税務の試験である点、職歴が(試験勉強を続けてきたため)きちんとしたものとしては3年しかないことが不安です。
Q.
(1)仮に、順調にいって42歳くらいで5科目合格ができた場合に、このような職歴でも未経験で雇って頂ける可能性はあるのでしょうか。
(2)税理士試験の科目合格には標準的にいってどのくらい勉強時間が必要とされているのでしょうか(TACのパンフでは簿記論450時間、法人税600時間などとありますが、この倍くらいを目安とするのは甘いでしょうか)。
(3)会社や倒産法などの学習を少しでも生かしたいと考え、将来資格がとれた場合、事業再生・事業承継等を扱うような会社や会計事務所へ転職したいと考えていますが、40代も半ばで可能でしょうか。
A.
司法試験の結果は大変残念でした。前年並みの合格率ならアミ様は合格して弁護士になっていたはずです。制度の改正のあおりを受けての三振の無念さ、お察しいたします。
===================
私の妹も、アミ様以上の高齢で子育てしながら旧帝大のロースクールに通っています。
私自身、答案を取り違えて東大法学部から官僚と言う夢は敗れ、旧司法試験も1年で短答合格も、奇病での体調不良で撤退していますのでお気持ちはある程度は分かります。
(この間の事情に興味がある方はこちら)
===================
(1)税理士有資格なら一部の税理士事務所・税理士法人で採用すると思います。
ただ、法律家としての色が強いことは必ずしもプラスに評価されるとは限らないこと、
(税理士法人TOTALは、税理士を、税務に関する法律家だと思っていますが、これは必ずしも一般的ではなく、事務屋・計算屋と定義している方も多いと思います。)
40代まで実務経験がないことで入れる事務所ばかりではないでしょう。
また、民間企業での職務経験の浅さはマイナス評価でしょう。
(2)税理士試験の科目合格に必要な勉強時間は大原やTACの言っている時間の2〜3割増くらいです(演習や手戻りの分でずれます)。
少ないと感じると思いますが、一発で合格した場合の時間です。
私は、初年度(25歳スタート)、5科目一括受験をしました(3科目合格)が、一応捨てた科目はなく、勝負になるレベルには達していたと思います。
アミ様の場合、年齢的に記憶力が落ちているので理論暗記がつらい税法の一部は5割増以上かもしれません。合格までの勉強時間数の増減には、科目選択と、いかに少ない回数で合格するかが影響します。うまくすれば倍はかかりません(私は7回受けた科目がありましたが)。
(3)事業再生・事業承継等をどのような規模で捕らえているかにもよります。
中小規模の案件でよければ税理士法人TOTALのような中堅の税理士事務所でもあります。この場合は税理士主導も多いでしょう。
大規模なものになると、ファンド、金融機関や大規模ローファームと提携した一部の税理士法人に集中します。内容的にもデューデリ等一部作業を請け負う形が増えるでしょう。また、公認会計士との協働も増えます。
前者は何とかなると思います。後者の場合、年齢や公認会計士との比較で難しいかもしれません。
妻の司法書士試験の勉強仲間の主婦の皆さんは、アラフォーで試験勉強を開始して、今では独立したり、勤務して司法書士業務を行っています。目先の仕事やこれからの子育てを考えると税理士試験の方が良いと言う判断ですよね。
人生には無駄はないと思います。アミ様の場合、まだ、人生の半分も来ていません。今考えているより税理士試験は大変かもしれませんが、あきらめずにがんばってください。
税理士 高橋寿克です。
アミ様よりのご質問です。
■年 齢 37歳
■性 別 女性(既婚・現在子供なし。これからできればとは思っています。)
■資 格 ビジネス法務2級、今後2月まで に簿記3・2級を取得予定
(3級取得後、知り合いの会社で弥生ソフトを用いた決算書の作成まで行うパートをする予定)
■職 歴 裁判所勤務(3年間・29歳で退職)
試験期間中は、予備校のアルバイトを週2日(31〜34歳)
■学 歴 旧帝大→私立BIGロースクール
■会計事務所経験 なし
■居住地 不明
■その他 この秋新司法試験を不合格となり、受験資格を失った者です。200番足らず合格には及びませんでした。
勉強してきた法律の知識や考え方を生かせる仕事を探したいと真剣に思っており、税法という法律を扱う税理士に大変魅力を感じています。でも、年齢や未知の会計・税務の試験である点、職歴が(試験勉強を続けてきたため)きちんとしたものとしては3年しかないことが不安です。
Q.
(1)仮に、順調にいって42歳くらいで5科目合格ができた場合に、このような職歴でも未経験で雇って頂ける可能性はあるのでしょうか。
(2)税理士試験の科目合格には標準的にいってどのくらい勉強時間が必要とされているのでしょうか(TACのパンフでは簿記論450時間、法人税600時間などとありますが、この倍くらいを目安とするのは甘いでしょうか)。
(3)会社や倒産法などの学習を少しでも生かしたいと考え、将来資格がとれた場合、事業再生・事業承継等を扱うような会社や会計事務所へ転職したいと考えていますが、40代も半ばで可能でしょうか。
A.
司法試験の結果は大変残念でした。前年並みの合格率ならアミ様は合格して弁護士になっていたはずです。制度の改正のあおりを受けての三振の無念さ、お察しいたします。
===================
私の妹も、アミ様以上の高齢で子育てしながら旧帝大のロースクールに通っています。
私自身、答案を取り違えて東大法学部から官僚と言う夢は敗れ、旧司法試験も1年で短答合格も、奇病での体調不良で撤退していますのでお気持ちはある程度は分かります。
(この間の事情に興味がある方はこちら)
===================
(1)税理士有資格なら一部の税理士事務所・税理士法人で採用すると思います。
ただ、法律家としての色が強いことは必ずしもプラスに評価されるとは限らないこと、
(税理士法人TOTALは、税理士を、税務に関する法律家だと思っていますが、これは必ずしも一般的ではなく、事務屋・計算屋と定義している方も多いと思います。)
40代まで実務経験がないことで入れる事務所ばかりではないでしょう。
また、民間企業での職務経験の浅さはマイナス評価でしょう。
(2)税理士試験の科目合格に必要な勉強時間は大原やTACの言っている時間の2〜3割増くらいです(演習や手戻りの分でずれます)。
少ないと感じると思いますが、一発で合格した場合の時間です。
私は、初年度(25歳スタート)、5科目一括受験をしました(3科目合格)が、一応捨てた科目はなく、勝負になるレベルには達していたと思います。
アミ様の場合、年齢的に記憶力が落ちているので理論暗記がつらい税法の一部は5割増以上かもしれません。合格までの勉強時間数の増減には、科目選択と、いかに少ない回数で合格するかが影響します。うまくすれば倍はかかりません(私は7回受けた科目がありましたが)。
(3)事業再生・事業承継等をどのような規模で捕らえているかにもよります。
中小規模の案件でよければ税理士法人TOTALのような中堅の税理士事務所でもあります。この場合は税理士主導も多いでしょう。
大規模なものになると、ファンド、金融機関や大規模ローファームと提携した一部の税理士法人に集中します。内容的にもデューデリ等一部作業を請け負う形が増えるでしょう。また、公認会計士との協働も増えます。
前者は何とかなると思います。後者の場合、年齢や公認会計士との比較で難しいかもしれません。
妻の司法書士試験の勉強仲間の主婦の皆さんは、アラフォーで試験勉強を開始して、今では独立したり、勤務して司法書士業務を行っています。目先の仕事やこれからの子育てを考えると税理士試験の方が良いと言う判断ですよね。
人生には無駄はないと思います。アミ様の場合、まだ、人生の半分も来ていません。今考えているより税理士試験は大変かもしれませんが、あきらめずにがんばってください。
35歳 旧帝大卒・職歴ありの場合の税理士への転身
東京都と千葉県船橋市の税理士法人TOTALの税理士 高橋寿克です。
EM様よりのご質問です。
■年 齢 35歳
■性 別 男
■資 格 日商3級、証券アナリスト
(来年2月、6月に日商2,1級受験計画)
■職 歴 資産運用会社(勤続11年)
■学 歴 旧帝大
■会計事務所経験 なし
■居住地 東京23区
■その他 独身ですので学習に充てることができる時間は既婚の方よりも相対的に多めと思います。
Q.
・体と頭の動く限り、定年なく長く働きたいと希望しています。
・現在の仕事ではお客様の利益と自社の利益となることの間にずれを感じております。
・上記の希望も踏まえて、地に足をつけてお客様とWINWINの関係を築いていける仕事に転向したいと考え、税理士を志しています。
・まず、簿財から学習開始し一科目でも合格した時点で会計事務所への転職活動を行おうと考えています。
この計画について、なにかアドバイス等ございましたら、お忙しいところ恐縮ですが何卒よろしくお願いします。
A.
EM様の場合、職歴・学歴ともしっかりなさっていますし、転職の選択肢は税理士の他にもありますが、人生をかけて、より早く、より確実に社会に貢献できる税理士になると言う決意があるという前提で書きます。
税理士の仕事の良い点は、お客様と会計事務所で利益が相反する場面はあまりなく、お客様の成長に貢献することが自社の利益、ひいては地域・社会の発展につながり、精神的な満足度が高いと言う点です。
まず、税理士試験には簿記1級は要りません。簿記1級は工業簿記・原価計算があり一般企業(メーカー等)の経理では評価されますが、会計事務所ではあまり評価されません。商業簿記は2級で足りるからです。もちろん、税理士の受験資格のひとつにはなっていますが、おそらく大学で履修した法律学又は経済学に属する科目で受験資格を満たしているでしょう。
簿記1級は意外に難関ですので、その時間を、税法の受験にあてるべきでしょう。
また、簿財1科目合格で働き始めるのは、年齢的に遠回り又は税理士になれないことになりかねないので反対です。
金銭的に余裕があるなら働き始める前に出来るだけ勉強する。1年間税理士試験受験に専念して簿記論・財務諸表論と法人税法又は消費税法の3科目を受験する。
税法は会計科目よりもはるかにきついです。働き始める前に肌で感じておいた方が目安になるはずです。法人税法を選択するときはそれなりの覚悟が必要です。5科目の官報合格を目指すなら通らなくてはいけない関門です(多少合格しやすい所得税法でもかまいませんが就職で若干不利になります)。
年齢的な点を考えると、働きながら、週末や夜間の大学院進学も有力です。この場合、法人税は受験せず消費税法の選択でも良いでしょう。
1年間、効率的に目的意識を持って勉強してみてください。
今からだと少し遅れ気味ですが、何とか3科目こなせると思います。
1年後の試験の出来次第ですが、ある程度の手ごたえなら働き始めて良いですし、今ひとつで大学院免除も気が乗らないならもう一年だけ税理士試験に専念しても良いと思います。
税理士は、資産運用のような刺激の強さ・スケールの大きさには欠けますが、お客様の顔が見えて、ありがとうと言ってもらえる仕事です。
税理士試験は思われているよりは大変ですが、あきらめなければ合格できる試験です。会計人として優秀な方のチャレンジを歓迎します。ぜひがんばってください。
EM様よりのご質問です。
■年 齢 35歳
■性 別 男
■資 格 日商3級、証券アナリスト
(来年2月、6月に日商2,1級受験計画)
■職 歴 資産運用会社(勤続11年)
■学 歴 旧帝大
■会計事務所経験 なし
■居住地 東京23区
■その他 独身ですので学習に充てることができる時間は既婚の方よりも相対的に多めと思います。
Q.
・体と頭の動く限り、定年なく長く働きたいと希望しています。
・現在の仕事ではお客様の利益と自社の利益となることの間にずれを感じております。
・上記の希望も踏まえて、地に足をつけてお客様とWINWINの関係を築いていける仕事に転向したいと考え、税理士を志しています。
・まず、簿財から学習開始し一科目でも合格した時点で会計事務所への転職活動を行おうと考えています。
この計画について、なにかアドバイス等ございましたら、お忙しいところ恐縮ですが何卒よろしくお願いします。
A.
EM様の場合、職歴・学歴ともしっかりなさっていますし、転職の選択肢は税理士の他にもありますが、人生をかけて、より早く、より確実に社会に貢献できる税理士になると言う決意があるという前提で書きます。
税理士の仕事の良い点は、お客様と会計事務所で利益が相反する場面はあまりなく、お客様の成長に貢献することが自社の利益、ひいては地域・社会の発展につながり、精神的な満足度が高いと言う点です。
まず、税理士試験には簿記1級は要りません。簿記1級は工業簿記・原価計算があり一般企業(メーカー等)の経理では評価されますが、会計事務所ではあまり評価されません。商業簿記は2級で足りるからです。もちろん、税理士の受験資格のひとつにはなっていますが、おそらく大学で履修した法律学又は経済学に属する科目で受験資格を満たしているでしょう。
簿記1級は意外に難関ですので、その時間を、税法の受験にあてるべきでしょう。
また、簿財1科目合格で働き始めるのは、年齢的に遠回り又は税理士になれないことになりかねないので反対です。
金銭的に余裕があるなら働き始める前に出来るだけ勉強する。1年間税理士試験受験に専念して簿記論・財務諸表論と法人税法又は消費税法の3科目を受験する。
税法は会計科目よりもはるかにきついです。働き始める前に肌で感じておいた方が目安になるはずです。法人税法を選択するときはそれなりの覚悟が必要です。5科目の官報合格を目指すなら通らなくてはいけない関門です(多少合格しやすい所得税法でもかまいませんが就職で若干不利になります)。
年齢的な点を考えると、働きながら、週末や夜間の大学院進学も有力です。この場合、法人税は受験せず消費税法の選択でも良いでしょう。
1年間、効率的に目的意識を持って勉強してみてください。
今からだと少し遅れ気味ですが、何とか3科目こなせると思います。
1年後の試験の出来次第ですが、ある程度の手ごたえなら働き始めて良いですし、今ひとつで大学院免除も気が乗らないならもう一年だけ税理士試験に専念しても良いと思います。
税理士は、資産運用のような刺激の強さ・スケールの大きさには欠けますが、お客様の顔が見えて、ありがとうと言ってもらえる仕事です。
税理士試験は思われているよりは大変ですが、あきらめなければ合格できる試験です。会計人として優秀な方のチャレンジを歓迎します。ぜひがんばってください。