2017年10月21日
簿記1級と税理士試験の難易度
税理士事務所 求人・採用・就職情報
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
新たなご質問はここをクリック
簿記1級と税理士試験の難易度について
めぐみ様からのお問合せです。
質問文が長文のため、若干、編集の上省略させていただき、複数回に分けて回答させていただきます。
前回は
「病気回復からの税理士事務所への就職」
■年齢 28才
■性別 女
■資格 無
■職歴 無
■学歴 高卒
■会計事務所経験 無
■居住地 東京
■その他 長期の病気(現在完全に治っている)、
さて、今回は
Q.1
簿記1級か全経上級に一生かかっても合格できない人もいると言いますが、何故一生かかっても合格できないのでしょうか。難しすぎてどうしようもない様な試験なのでしょうか。
Q.2
高卒ですが、当時大学入試はマーチ以上の実力がありましたが、それ位の能力があってもこれから税理士になるには難しすぎるでしょうか。私の様な者は最初から税理士になるべきでないでしょうか。
Q.3
簿・財に合格できても、税法に合格できない人が沢山いますが、その様な人は具体的に何故税法科目に合格できないのでしょうか。
税法科目に合格できる人は何が違うのでしょうか。
A.1
日商簿記1級の合格率は直近の第146回の検定試験では
やや低めの8.8%、平均しても10%くらいで
簿記2級の47.5%、簿記3級の50.9%と比べてかなり低くなっています。
全経上級の合格率は、直近の第187回で
やや低めの15.89%、平均すると20%くらいです。
簿記2級以下は、商業高校の生徒さんでも普通に合格していますが、
日商簿記1級は商業高校では、在学中には学年で数人出るかどうかというレベルでそれなりの難易度です。
日商簿記の方が、全経よりも知名度、評価がおおむね高いので、
合格率からみても難易度は
日商簿記1級 > 全経上級
といってよいと思います。
ペーパー試験ですから、記憶力、理解力、処理能力が問われます。
また、簿記は女性にとっては すそ野が広い資格なので受験生には様々な方がいます。
事務をやったことがないのでとりあえず簿記でも始めよう
3級、2級と受かったのでせっかくだから1級も…
税理士等の他の国家資格とは受験生の質が違います。
当然学力や処理能力が足りない人の中には一生合格できない人も出てきます。
感覚的には税理士試験の簿記論1科目と簿記1級なら難易度にそれほど大きな差がないかもしれません。
マーチ合格レベルの学力があれば、普通はまじめにやれば合格できると思います。
なお、税理士試験の受験資格のために受ける方は、難易度の低い全経上級の方がおすすめです。
A.2
税理士試験は、極端に言うと暗記力と速記力の勝負です。
そして、合格できるかどうかは、あきらめない強い意志があるかどうかにかかっています。
10代から始めれば、学力はあまり関係ありません。
商業高校出身の方はもちろん、偏差値30代、40代の普通高校や工業高校から専門学校に進学して税理士になっておられる方も知り合いの税理士にもいます。
年齢とともに記憶力や速記力が落ちると学力で補う必要があるので、
アラサーでのスタートなら、絶対ではありませんが、日東駒専クラスの学力がある方が望ましいと思いますし、
40代以上スタートなら、早慶以上でも苦労するでしょう。
めぐみ様の年齢で、マーチ以上の実力があるなら難しすぎることはありません。
税理士になるチャンスは、もちろんあるとおもいます。
A.3
税法科目は、若ければ(20代前半なら)、本気で努力すれば誰でも受かります。
その件を置いておくと…
税理士試験の受験生のうち、多くは
簿記論 又は(及び) 財務諸表論から受験を始めます。
このため、税法科目受験生の多くは簿記論・財務諸表論の合格者です。
税法の方が会計科目より合格率が低いだけでなく、税法科目と会計科目の受験生では母集団の質が異なるのです。
また、内容的にも会計科目は、習熟度が低くてもセンスだけで合格できます。
(簿記論は、特に算数が得意な人)
これに対して税法は、理論暗記をはじめとして細かい記憶、計算パターンの高い習熟度が必要とされます。
さらに、簿記論、財務諸表論を合格するまでに年数をかけると、暗記力と速記力も加齢とともに衰えます。
まじめに、地道に努力を続けることが、税法の合格には求められます。
めぐみ様が合格できるかどうかは、あきらめずに頑張れるか次第です。
この努力がきついので、最近では税法科目免除のために大学院進学を目指す人も増えています。
=============
税理士法人TOTALでは、働きながら税理士試験を受験するスタッフがたくさんいます。
(受験費用はもちろん、専門学校の費用を毎年1科目分、法人で原則として全額負担しています)
毎年、科目合格者、官報合格者がいますが、
税法でつまずいている30代の幹部には大学院進学を勧めています。
(こちらも法人で全額負担することがあります)
30代前半までにできるだけ多くのスタッフに税理士になってもらいたいとおもっています。
=============
次回は
「税理士試験の挫折 と 税理士の年収」
※なお、この件に関するコメントは下記のコメント欄をご利用ください。
新規のご質問はここをクリック してください。
インターネットで顔が見えない方に適切な回答をするために、 質問の書式にご協力いただけると幸いです。 情報が不足する場合には回答できないことがあることはご留意ください。
また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。
ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。
「過去の質問」はこちら
記事の無断コピーや一部利用は著作権侵害で違法です。
記事を商業利用するには、高橋寿克の事前の明示許諾が必要です。
商業利用(おまとめサイト等を含む)は原則として有料になります。
利用料の金額等、詳しくは税理士法人TOTALまでお問い合わせください。
また、違法なコピーを発見した方は通報いただけると幸いです。
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。
新たなご質問はここをクリック
簿記1級と税理士試験の難易度について
めぐみ様からのお問合せです。
質問文が長文のため、若干、編集の上省略させていただき、複数回に分けて回答させていただきます。
前回は
「病気回復からの税理士事務所への就職」
■年齢 28才
■性別 女
■資格 無
■職歴 無
■学歴 高卒
■会計事務所経験 無
■居住地 東京
■その他 長期の病気(現在完全に治っている)、
さて、今回は
Q.1
簿記1級か全経上級に一生かかっても合格できない人もいると言いますが、何故一生かかっても合格できないのでしょうか。難しすぎてどうしようもない様な試験なのでしょうか。
Q.2
高卒ですが、当時大学入試はマーチ以上の実力がありましたが、それ位の能力があってもこれから税理士になるには難しすぎるでしょうか。私の様な者は最初から税理士になるべきでないでしょうか。
Q.3
簿・財に合格できても、税法に合格できない人が沢山いますが、その様な人は具体的に何故税法科目に合格できないのでしょうか。
税法科目に合格できる人は何が違うのでしょうか。
A.1
日商簿記1級の合格率は直近の第146回の検定試験では
やや低めの8.8%、平均しても10%くらいで
簿記2級の47.5%、簿記3級の50.9%と比べてかなり低くなっています。
全経上級の合格率は、直近の第187回で
やや低めの15.89%、平均すると20%くらいです。
簿記2級以下は、商業高校の生徒さんでも普通に合格していますが、
日商簿記1級は商業高校では、在学中には学年で数人出るかどうかというレベルでそれなりの難易度です。
日商簿記の方が、全経よりも知名度、評価がおおむね高いので、
合格率からみても難易度は
日商簿記1級 > 全経上級
といってよいと思います。
ペーパー試験ですから、記憶力、理解力、処理能力が問われます。
また、簿記は女性にとっては すそ野が広い資格なので受験生には様々な方がいます。
事務をやったことがないのでとりあえず簿記でも始めよう
3級、2級と受かったのでせっかくだから1級も…
税理士等の他の国家資格とは受験生の質が違います。
当然学力や処理能力が足りない人の中には一生合格できない人も出てきます。
感覚的には税理士試験の簿記論1科目と簿記1級なら難易度にそれほど大きな差がないかもしれません。
マーチ合格レベルの学力があれば、普通はまじめにやれば合格できると思います。
なお、税理士試験の受験資格のために受ける方は、難易度の低い全経上級の方がおすすめです。
A.2
税理士試験は、極端に言うと暗記力と速記力の勝負です。
そして、合格できるかどうかは、あきらめない強い意志があるかどうかにかかっています。
10代から始めれば、学力はあまり関係ありません。
商業高校出身の方はもちろん、偏差値30代、40代の普通高校や工業高校から専門学校に進学して税理士になっておられる方も知り合いの税理士にもいます。
年齢とともに記憶力や速記力が落ちると学力で補う必要があるので、
アラサーでのスタートなら、絶対ではありませんが、日東駒専クラスの学力がある方が望ましいと思いますし、
40代以上スタートなら、早慶以上でも苦労するでしょう。
めぐみ様の年齢で、マーチ以上の実力があるなら難しすぎることはありません。
税理士になるチャンスは、もちろんあるとおもいます。
A.3
税法科目は、若ければ(20代前半なら)、本気で努力すれば誰でも受かります。
その件を置いておくと…
税理士試験の受験生のうち、多くは
簿記論 又は(及び) 財務諸表論から受験を始めます。
このため、税法科目受験生の多くは簿記論・財務諸表論の合格者です。
税法の方が会計科目より合格率が低いだけでなく、税法科目と会計科目の受験生では母集団の質が異なるのです。
また、内容的にも会計科目は、習熟度が低くてもセンスだけで合格できます。
(簿記論は、特に算数が得意な人)
これに対して税法は、理論暗記をはじめとして細かい記憶、計算パターンの高い習熟度が必要とされます。
さらに、簿記論、財務諸表論を合格するまでに年数をかけると、暗記力と速記力も加齢とともに衰えます。
まじめに、地道に努力を続けることが、税法の合格には求められます。
めぐみ様が合格できるかどうかは、あきらめずに頑張れるか次第です。
この努力がきついので、最近では税法科目免除のために大学院進学を目指す人も増えています。
=============
税理士法人TOTALでは、働きながら税理士試験を受験するスタッフがたくさんいます。
(受験費用はもちろん、専門学校の費用を毎年1科目分、法人で原則として全額負担しています)
毎年、科目合格者、官報合格者がいますが、
税法でつまずいている30代の幹部には大学院進学を勧めています。
(こちらも法人で全額負担することがあります)
30代前半までにできるだけ多くのスタッフに税理士になってもらいたいとおもっています。
=============
次回は
「税理士試験の挫折 と 税理士の年収」
※なお、この件に関するコメントは下記のコメント欄をご利用ください。
新規のご質問はここをクリック してください。
インターネットで顔が見えない方に適切な回答をするために、 質問の書式にご協力いただけると幸いです。 情報が不足する場合には回答できないことがあることはご留意ください。
また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。
ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。
「過去の質問」はこちら
記事の無断コピーや一部利用は著作権侵害で違法です。
記事を商業利用するには、高橋寿克の事前の明示許諾が必要です。
商業利用(おまとめサイト等を含む)は原則として有料になります。
利用料の金額等、詳しくは税理士法人TOTALまでお問い合わせください。
また、違法なコピーを発見した方は通報いただけると幸いです。