2015年12月27日

派遣社員と教育(会計事務所編)

税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。

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kura 様からのお問合せです。
■年齢  35才
■性別  男性
■資格  日商簿記2級
■職歴  正社員歴なし
■学歴  日東駒専卒
■会計事務所経験 なし
■居住地 東京 

はじめまして
大学卒業してから正社員経験がなく
派遣を転々してきました。

仕事内容はデータ入力や書類チェックやコールセンターが主な仕事でした。
日商簿記2級もあり30歳から経理の仕事を志望していましたが、かなわず簿記1級も勉強するも挫折。
将来が不安ながらも仕事があり暮らしていけるため、現実に目を向けずに生きてきました。

35歳になり、将来に不安がでてきまして、色々と考えた結果、
今更ながら業界年齢が高い税理士業界に興味をもちました。
この仕事をすれば健康に気をつかえば死ぬまで社会と関わりをもつことができ、かつ老後のお金の心配をあまりしなくてもいいかもという安易な考えで
今年の簿記論と財務諸表論を受験しましたがどちらもB判定でした。

前置きが長くなりましたが、自分はこの業界で働きたいと思っています。

Q.
このような経歴ですとこれから先受験しても正社員としての就職は難しいでしょうか。
アルバイトから社員登用の可能性がある事務所にまずは入社すれば可能性はあるのでしょうか。
30代半ばで働きたいと思ってもここの業界は難しいのでしょうか

A.
コールセンターでコミュニケーション能力が身についていれば正社員になれるかもしれません。
2科目合格すれば、正社員になりやすいでしょうし、アルバイトで入社しても正社員になれる可能性はあります。
アルバイトで入った事務所で正社員になれなくても、会計事務所経験者として評価されるので他の会計事務所に正社員で転職しやすくなります。

税理士事務所の業界は、比較的年齢が高くてもキャリアチェンジができる数少ない業界です。
20代後半〜30代前半が望ましいですが、女性なら30代後半でもそれほど問題になりません。
男性未経験者の場合、30代後半ならコミュニケーションスキルか、税理士科目があった方が正社員に採用されやすいでしょう。
kura様の場合、正社員経験がないこととゼロ科目で残念ながら若干不利です。
パート・アルバイトの方が採用されやすくなっているので、スタートは正社員にこだわらず、アルバイトでもやむを得ないかもしれません。

小売りや飲食といった立ち仕事、プログラマーやSEといった納期のきつい仕事、介護その他の現業系の汚れ仕事、営業のようなノルマを抱えた仕事は優秀な女性には人気がありません。
専門技能を持っている人以外は、どうしても家庭と両立しやすい一般事務職を女性は求めることになります。
大企業ではITの活用で一般事務職は正社員から派遣労働に置き換わって激減しています。
人手不足でも、「一般事務」の求人倍率は今でも0.2倍程度と極端に人余りです。
(5人に1一人しか仕事がない)
「会計事務」は、専門性がある分良いですが、それでも有効求人倍率は0.5倍前後で不足感はありません。
(問題になっているのは応募者の質です)

地元密着の事務職で安定して働き続けられる会計事務所は女性に人気で、パンチャーやファイリングはパートでまかなえるので、単価の高い派遣社員を必要としません。
パートさんの中には、もともと優秀な方や受験生も多く、正社員への転換は普通にみられます。
正社員になるには、責任感に加えてコミュニケーション能力、専門知識のいずれかは必要になります。

今の30代後半の方は、新卒時に就職氷河期で、即戦力になれるか、コミュニケーション能力があるかで評価され、不幸にして正社員になれなかった方は大変でした。
望まずに派遣社員、パート、そしてニート(実質は失業者)になる人も…。

小泉政権で労働の自由化が進められ、竹中平蔵現パソナ(人材派遣会社)会長も大臣をしており、若年者のパートや派遣労働の危険性はあまり認識されていませんでした。
派遣は、「自由な働き方」、「新しい働き方」ともてはやされたり、
正社員になれないのは「自己責任」と言われたりもしていました。

参照 「経理派遣と正社員
この元記事は、このブログを開始した2007年当時に、派遣労働の危険性を喚起したくて書いたものです。
いま読み返しても当時の危機感、熱さを思い出します。

派遣社員は、雇用が不安定です。
更新の保障はなく、専門技術がないと、
事務職は契約打ち切りで30代後半で実質的に定年になります。

有期雇用契約なので、会社としては「教育」する必要も福利厚生を整える必要はありません。
会社は、ある種、部品として割り切って使うことになります。
教育しないし、いつかいなくなるので重要な仕事・責任ある仕事は任せません。
教育されない上に、社内的なことにはたずさわらせないので、コミュニケーション能力も磨かれません。
(コミュニケーション能力のない人にとっては気楽でいいとも言えますが)
社会的にも評価が低く結婚(男性の場合)、転職時や住宅ローンを組む際には不利になります。

賞与、退職金や交通費が無く、教育コストもかけずに済み、40代以降の面倒を見る責任もないので、時給にするとパートの1.5倍程度と高く見えるのです。

若者にはぜひ言いたいと思います。

今の時給の高さにだまされないでほしい。

人手不足の今は、正社員になる大チャンスです。
できれば、多少条件が悪くても正社員になってほしい。それが無理ならパートから正社員になれるような仕事でも良い。

若いうちは作業も早く、物覚えもいいでしょうからパートや派遣で時間を切り売りできます。
40代になるとそうはいきません。

コンピューターでは簡単に置き換わらないもの、
専門知識の蓄積(複合的な専門知識)とコミュニケーション能力を磨き続けることが社会では求められ続けるのです。

=============
税理士法人TOTALでは、本職・有資格者でなくても、
男性スタッフが、当たり前に結婚し、住宅ローンを組み、子育てをしています。
 住宅ローンが過大で心配なスタッフもいますが… (^_^;)

私は、スタッフを採用すると30年どうやって「成長」してもらうかを考えます。
150人いたら、150通りの人生を考えます。

新入社員(パートも含む)には声の出し方や大きさ、あいさつの仕方、電話の取り方も教育します。
法律用語やビジネス文書についても教えます。

若いうちは、若い起業家相手に勢いだけでいけますが、いつかは限界が来ます。
40代には40代の、50代には50代の仕事をやってもらいます。
そのためには30代のうちに変化や成長を体感させる必要があります。
単調に同じ仕事を何年も続けさせたりしません。
常に「成長」を求め、より技術的・精神的に高いレベルの仕事をしてもらいたいと思います。
(60歳をすぎたら、のんびりでもいいですよ)

そのためには若いうちからの勉強と資格の取得が重要になります。
スタッフには、「人材」・「人財」として投資を続けています。
税理士試験の勉強には金を出す分、口も出します。
30代のうちに男性は全員、税理士になってもらいたいと言っています。

税理士法人TOTALの経営理念は
「〜あなたと共に歩み、あなたと共に成長したい〜」
です。
=============


会計事務所は、大企業にはかないませんが、他の中小企業や資格に比べるとかなり恵まれています。
最近の「資格では食べられない」と言われる状況でも、無資格職員でも食べられる業界です。
継続的な人間関係を使った効率化と若さゆえの長時間労働がそれを可能にしています。
もっとも、それ故に資格を取る勉強をやめてしまう人が多い業界でもあります。
資格を評価しない・資格をとらせない大型税理士法人も増えていて、そこで働く人やひいては業界の将来を危惧しています。

20代、30代の間、勉強させないで、仲間意識を持たせて長時間労働をさせれば給与はそれなりに高くなります。
でも、税理士はあくまでも、ライセンスがあっての専門職です。
仕事と勉強の両立は大変ですが、20代、30代は飲み会、遊びの時間を削って、ときには家庭の協力を得てプライベートを犠牲にしてでも歯を食いしばって勉強してほしいと思います。

税理士なってはじめて見えてくる世界や、得られる信用があります。
専門知識とコミュニケーション能力を磨き、資格をとっておかないと
経営者の年齢による劣化や時代の変化に遅れて40代以降苦しくなる業界です。
(40代後半以降、子育てでお金もかかるようになります)

採用面接では、(他の事務所の)中堅職員さんが、
所長の高齢化や、親から子への代替わりで、リストラにあったとわかるケースがあります。
(本人は自覚していなかったりしますが)
そうなる前に、転職したり、資格を取っておいた方が安全です。

今年も、税理士試験の結果がでました。
合格した方は、おめでとうございます。
不合格の方、残念でした&お疲れ様でした。
来年に向かってもう次の戦いは始まっています。

受験生のみなさん頑張ってください。






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コメント一覧

1. Posted by kura   2015年12月29日 12:09
高橋先生、丁寧な回答ありがとうございました
また来年もがんばろうという気持ちになれました

4月から専念し何とか2科目合格して就職できるようがんばります

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高橋寿克

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