2015年12月19日

税理士は、税務に関する法律家

税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。

昨日は、平成27年度(第65回)税理士試験の合格発表がありました。
合格された方、おめでとうございます。

税理士法人TOTALでも、
官報合格した方、大学院在学中で3科目合格になり試験を終えられた方が出ました。
仕事との両立は大変だったことと思います。

おめでとう!

科目合格の報告も週明けにはあることでしょう。
(以前書いた「消費税法」の件は、合格率も戻り、専門学校のボーダーラインが高すぎたようでほっとしています)

一方で、毎年のことではありますが、がんばったのに不合格だった方もおられます。
来年の合格を、いつにもまして祈念したいと思います。


今日は大原簿記学校の就職説明会です。
多くの志高い税理士試験受験生が、あきらめずにいつの日か合格し、
よりよい税理士に育ち、税理士業界、そして社会の発展に寄与して欲しいと願っています。


ご質問はここをクリック

JM様からのお問合せです。
■年齢  37才
■性別  男性
■資格  全経上級、簿記論、財務諸表論
 H27年度受験科目 所得税、相続税、国税徴収法  
■職歴 パチスロ店長、会計事務所、一般企業
(昨年8月からは受験に専念し、現在は合格発表まで法人税、消費税を勉強しています。)
■学歴 高卒
■会計事務所経験 1年半 正社員 担当15件
■居住地 埼玉県

はじめまして。
ブログなど拝見させていただき、受験生のために積極的に時間を使われておられ、このような方もいらっしゃるのだと少し感激しています。

以下、就職とは直接関係ないのですが質問させてください。

Q.1
先生が尊敬する税理士さんはいらっしゃいますか?
いらっしゃるとしたらどのような税理士さんでどこに魅力を感じておられるのでしょうか?

Q.2
租税正義の概念を共有できない顧客に対しては、どのようなスタンスをとられるのでしょうか?
先生のご意見は金言であると思いましたので、自身の今後の方向性に活かしたく質問させていただきます。

〜質問の背景〜
昨年ですが経理を手伝っていた親族の会社の税務調査を税理士さんにお任せしたところ冤罪的事実認定を受け重加されましたが調査は速やかに終わりました。また調査期間中に税理士である友人に事実認定の見通しや取引の正当性の立証方法を聞いたところ、的を得た回答は得られませんでした。
(友人は税理士法人でそれなりの地位にあります。)

私自身は前職で弁護士さんに相談する機会が多々あり、適宜適切なアドバイスに大変優秀な方達だなと感じておりました。
税理士は税法を扱う法律家だと考えて、これを矜持として受験に専念したわけですがどうも違うようだなと考えるようになりましたので質問させていただきました。

A.1
尊敬する というとちょっと重いのですが、
ある部分勝てないな、素敵だなと思う税理士さんは結構たくさんいます。

勤務していた2人の所長には今でも感謝してます。
Y先生は、会計分析の技術、現場を見る力
M先生は、包み込む性格のやさしさと人としての誠実さ
を尊敬しています。

会計業界の大御所の税理士の、時代を読む眼もすばらしいし、
ピカ一の交渉力のある寝技師の税理士ともお付き合いさせていただいていますし
メディア戦略が素晴らしい先生もおられます。
税法マニアの勉強熱心な税理士、
どんなに疲れていても細かい気遣いを欠かさない税理士
メルマガ営業が天才的な税理士、
アラフォーで経営者として明らかに勝てないなという大きさがある税理士、
男の魅力一杯で、男が惚れる税理士や
アラサーで企画力・行動力が素晴らしい税理士も
尊敬しています。

一生懸命税理士業務をしていると、幸いトップクラスの税理士の方とお会いする機会に恵まれます。
結果を残している税理士の先生は魅力的な方が多いです。
弁護士や大企業幹部のような勉強ができるスマートな方よりも、
たたき上げて迫力や味がある方が多いです。
お会いして話をしたりお酒を飲むと、ライバルであると同時に友人になれます。
一人一人挙げていると、きりがないかもしれません。
まだまだ、お会いしてみたい税理士の先生もたくさんいます。

A.2
今年の税制改正(消費税)をめぐる財務省の前例のないドタバタぶりと、自公の政党間及び自民党内の政治的駆け引きを見ていると、「租税正義」というようなお題目を唱えるのは少し気がひけます。

野田前総理は郷里の選出でよくお会いする方ですし、
早稲田大学のゼミの先輩は、安倍政権の中枢で頑張っておられます。
官僚として国家を支えて頑張っている小学校や開成中学・高校の同級生、クラブの先輩・後輩もいます。
(昔は、私も国家のために官僚や政治家になって頑張ろうと夢見ていました。
今は、一税理士として、お客様やスタッフの幸せのために頑張りたい、それがひいては社会・国家のためになればと思っています)
国家を動かし、支える人々の、誠実さ、能力の高さ、そして人間ゆえの限界も知っているので、
私は、飯塚先生のように「不撓不屈」の精神で国家権力に対して闘うつもりも、逆に迎合するつもりもありません。

ただ、税理士という資格が、法律によって保護された規制業種である以上
社会的な信用をなくさないように、脱税に注意するのは当然のことです。
国税庁も税理士監理官を設置して、税理士に対する管理を強めています。
安易に脱税に手を染め、懲戒になる税理士・公認会計士が増えており、残念です。
税理士に対する懲戒処分等

税理士法によって、納税義務の適正な実現のために特別にその権利を認められた
税理士は、「税務に関する法律家」 です。

租税法律主義に基づき、税務行政が行われており
(この公平さは役所の中でもかなり秀逸です)
税理士は、税務調査の場面では、事実認定と、法律の解釈を争うことになります。
事実認定は、裁判の場面を想定して、普段から挙証責任や立証方法を考慮した資料を作成・保存しておく必要があります。

冤罪的事実認定に伴い重加算税を課され、忸怩 (じくじ)たる思いをなさったことでしょう。
JM様が感じておられるように、実際には法律家として法律を理解している税理士は残念ながら多くはないのかもしれません。
法律を正確に理解していない・知らない税理士だと、事前の準備も足りず、適切な主張をすることもできずに、何となく調査官が言う金額で税額が決まってしまうこともあるでしょう。
「税務署は、お土産がないと帰らない」
というのは不勉強な税理士の言い訳に過ぎません。

税理士業務をきちんとこなそうと思うと、本法はもとより、租税特別措置法、施行令、施行規則、通達、判例、書籍、毎年の税制改正大綱を読む必要があります。実務は結構大変です。
(だから私は60代前半で実務家は引退したいなと思っています)

税理士が法律に疎いのは、
(1)税理士試験を目指す人は、論理に強い人よりは数字が好きな経済人タイプ
 法律家を目指す人は、司法試験や司法書士試験を受験することが多い。

(2)税理士試験は、財務省・国税庁の意向で通達行政を前提とした暗記タイプの試験
 このことは実務家登用試験としては有効ですし理解出来ます。
ただ、このため大手専門学校で、法律学、法解釈学を教えることはほぼありません。

私は元司法試験受験生で、それなりに法律を勉強していました。
・専門学校のベテラン講師が、法律用語を間違って使いまくっていたこと
・理論サブノートが、法律の美しさ・精緻さを著しく損なっており作り直すのに時間がかかったこと
・法律を確認したくて法規集を開いていたら、「法規集を見る人がいるんだ」と受験仲間に驚かれて、そのことにびっくりしたこと
は私の受験時代の思い出です。
(久しぶりに思い出しましたが、ちょっと書き過ぎですね)

この弱点を補うため、税理士法人TOTALでは、入社すると法律用語の研修資料も配布しています。
税理士は、税務に関する法律家
という言葉を普段から、私はスタッフに繰り返し伝えています。
社内研修も続けており、
税務調査では、納税者の立場に立って、適切な主張・立証をします。

税理士法人TOTALは、税務調査に強いです。
申告是認率(調査で修正・指導されなかった割合)は高めですし、かなり意識しています。
国家権力にマークされると怖いので?ホームページ上にはあまり書いていませんが。
(逆に、「税務調査に強い」とホームページで宣伝しているいくつかの税理士法人が、実は申告是認はほとんどないと知り、ある意味すごいなあとは思ったことがありますが…)

税理士法人TOTALは、コンプライアンスを重視しています。
ただ、ガチガチに保守的な運用をしたらお客様の役に立ちません。
合法的な節税は、企業経営の重要な課題です。

起業したてのお客様は、すべてお行儀が良い人ばかりではありません。
「経営の神様」と言われている松下幸之助だって、最初から「神様」だったとも、聖人・道徳家のようなことを言っていたとも思えません。
お客様に物を売り、社員を採用し、人を巻き込み、社会に認められるためには
正しいことを正しく行う重要性を認識して変わっていかれたのだと思います。

起業家の方は、元々は少しやんちゃだったり、無理をしたがる方も多いでしょう。
このため、若い起業家のお客様を最初からきれいごとで間口を狭めて断ることはあまりありません。

税理士と納税者との間には信頼関係が必要です。
きちんとした節税を徹底的に行うのが大前提ですが、
脱税は中期的に会社の成長・発展に役立たないことは理解していただくよう説明しています。

信頼関係が築けない脱税志向が強い納税者は、
TOTALと合わないのでその方からお断りされることもありますし、
変わる見込みがないような悪質な場合は、残念ではありますが、こちらからお断りすることもあります。

私は、お客様とはほとんどお酒を飲みません。慣れあう関係は好きではありませんし、数百社のお客様の決算打ち合わせを直接担当しているので体が持たないから、お気持ちだけありがたくいただいて辞退することが多いです。
ただ、がんばって結果を出した社長にごくたまにおつきあいさせていただくことがあります。
そんなお客様のお一人と、先日初めてお酒を飲みました。

「裏でうまくやろうとしていた連中はみんな消えていった。
先生に会えてよかったよ。」


(実は、その社長はお酒を飲まれませんでした)


従業員が多くなってくると、直接お客様を担当しなくなる所長の方が多い業界です。
100人を超える税理士法人で現場に出ている代表者は珍しいでしょう。
TOPは、税務実務ではなく「経営」をすべきだという意見は正しいとも感じています。
それでも私は、毎日現場に出て、お客様やスタッフの声に耳を傾け続けています。
お客様のお役に立てるようにお話したり、逆に勉強させていただいたり…。
一緒に頑張ってきたお客様の中には、会社を伸ばして頑張っておられる社長さんもたくさんおられます。
そんな方との会話が私は大好きです。






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コメント一覧

1. Posted by JM   2015年12月21日 17:20
高橋先生

お忙しい中お時間をいただき有難うございました。

正直私は頭も心も足りないなので先生のような凄腕(法律家としても、経営家としても)を目指すこと自体おこがましい気がしますが、いただいたご返答はメモして合格まで、また合格後も参酌させていただきます。
調査の現場での訴訟を見越した事実認定の大切さに気付いておられる税理士さんもいらっしゃること、またそれを事務所内で共有しておられることを知れて良かったです。
(効率化のみを謳う方しかお会いしたことがなかったので。)

いつか税理士という立場で経営やその心構えなど直接お話をいただける機会を夢見て、まずは来年の試験に励もうと思います。

本当にありがとうございました。

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高橋寿克

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