2015年12月13日

女性教員の会計事務所への転職 

税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。


妊娠や出産、育児を理由に職場で不利益な扱いをするマタニティーハラスメント(マタハラ)を経験したことがある女性は、正社員で21%、派遣会社員は48%にのぼるそうです(厚生労働省発表)。

少子化で労働人口が減り女性の就業に期待がかかるなか、アベノミクス「一億総活躍社会」に向けて、女性が安心して働き続けられるような対策が、国にも私たち企業にも求められます。


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ぎん様からのお問合せです。
■年 齢  27才
■性 別  女性
■資 格  簿記2級
■職 歴   教員5年目
■学 歴  MARCH理学部卒
■会計事務所経験 なし
■居住地  東京

初めまして。検索からこのブログを発見し、過去の記事を拝見致しました。
税理士事務所への転職について質問させてください。

Q. 転職の時期について
前年度の3月に税理士になろうと決意をしたものの、業界未経験のため、働きながら資格を取るにしろ、まずは転職をしようと考え、今年の6月、11月に日商3級・2級を取得しました。
税理士科目については12月から勉強を始めていますが、
転職サイトに登録してみたものの、実情としては科目合格や実務経験があることが暗黙の了解であるということを悟りました。

そうは言っても、2級所持未経験でも雇ってくれる事務所はあるようですが、
教育業界にとどまった状態で科目合格をしてから転職を始めるべきなのかなと思い始めました。
非常勤講師をしながらであれば比較的時間が取れるので勉強しやすい環境であるのは確かです。
ただし、実務未経験のまま年齢を重ねてしまうことに恐怖を感じる自分もいます。

どのタイミングで転職をすべきなのかわからなくなってしまいました。
アドバイスをいただけたらと思います。

宜しくお願い申し上げます。

A.
お読みいただきありがとうございます。

参照) 「女性の家事・育児と会計事務所の仕事の両立
にまとめられています。

常勤の若い教師は、都市部では大変だとお聞きしています。
朝が早いのに、若手は部活の顧問をすることも多く、夜や週末もつぶれます。
 中学・高校は、私立の場合、進学実績を上げるための小テスト・補講等も日常化し、その準備や採点も負荷となっておられます。そういえば、高校の先生には男性が多いですね。
 小学校は、未就学児の家庭のしつけが以前より不十分で、体力の弱い女性だと子供たちは手加減しないので、下手をすると学級崩壊の恐れがあります(長女のクラスはそのため担任の先生が退職なさいました)。
さらに、子供だけでなく親(モンスターペアレンツ)にも頭を悩まされます。
他の方のお子さんを育てる女性教師が、自分の子育てをするイメージがわきにくいという皮肉な状況です。
地方では、ゆっくりと時間が流れ、人的にも余裕もあり、尊敬もされる教師は「いい仕事」ですが、
東京では女性が一生続けられるか悩まれる方も多いようで、会計業界に転職してくる方もおられます。

なお、実情として暗黙の了解で科目合格や会計事務所実務経験を求めるのは転職サイト(人材ドラフト等)に高いお金を払っている即戦力が欲しい事務所か中堅以上の税理士事務所です。

家の近くの小規模事務所は、科目合格者よりも素直でくせのない未経験者を求めていたりします。
また、中堅以上の税理士法人も、激務で離職率が高いところを除くと、女性やパートには広く門戸を開いているところも多いでしょう。


どのタイミングで転職をすべきかは、
ぎん様が仕事に何を求め、ライフプランをどうしたいかによって変わると思います。

結婚や、出産、子育て、旦那さんの転勤によって働き方が変わる女性にとって、仕事とどう向き合うかは人によって大きく変わりますし、一方で、予測にも限界があります。

1.安定した事務仕事がしたい場合
 (1)税理士資格取得にこだわらないとき
12月は採用シーズンです。今すぐ転職活動をしましょう。
会計事務所は、将来、結婚出産等でどこに行ってもある専門的な事務仕事で、2〜3年働けば会計事務所経験者として転職には困りません。

 (2)税理士資格はそれなりにあった方が良いと思うとき
来年夏に転職しましょう。
経済的に可能なら受験専念が望ましいでしょう。最低でも1月から簿記論・財務諸表論を取ります。
1日平均10時間、7か月勉強できる自信があれば消費税法と合わせて3科目受講します。

経済状況によっては非常勤講師をしながら受験でも構いません。この場合は簿記論・財務諸表論を取ります。
本試験の手ごたえが悪くても、ぎんさんの学歴・若さなら働きながらでも簿・財は合格できます。

2.税理士に何が何でもなりたい場合
(1)経済的に可能なら受験専念が望ましいでしょう。
1月から簿記論・財務諸表論・消費税法の3科目を受講します。1日10時間勉強するつもりでがんばりましょう。

(2)経済的に難しければ非常勤講師をしながら受験します。
1月から簿記論・財務諸表論を取ります。試験後、法人税法又は消費税法を勉強して税理士試験の結果を待ちます。それによって翌年の受験科目が変わります。

会計事務所への転職は2.(1)、 2.(2)とも試験で3科目合格のある程度の手ごたえがあった夏になります。手ごたえがよくわからなければ、試験結果を待っても構いません。
女性の場合は特に、いつか大学院に行っても良いくらいの気楽さの方が人生設計をしやすいかもしれません。

税理士試験は、受験期間が長くなるのが特徴です。自分の人生の優先順位をきちんと考えてみてくださいね。


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税理士法人TOTALでは、男性には税理士資格取得を奨励していますが、女性には必ずしも求めていません。男女差別だというご意見もありますが、女性のライフプランを考えると多様性があっていいのではないかと思っています。

むしろ、パート・正社員をフレキシブルに変えられるようにして、スタッフの近くに出店を続けて通勤時間を短くし、仕事と家庭の両立を支援しています。

安心して産める・子供を育てられる環境を求めて他業種から転職してこられる方も多く、実際に入社してしばらくすると、結婚、出産ラッシュになります(笑)。
現在も8人(累計 延べ25人)の方が産休・育休中で、子育て中の主婦は全体の3分の1近くになります。

あんまり書くと、出産するために入社する方が増え過ぎるのでスタッフには書かないように止められています。
期待されすぎると困るので、あえて補足すると、うちは、女性バックオフィスの給料は必ずしも高くないですよ。会計業界の相場くらいに過ぎません。

また、税理士法人TOTALにも教師出身者や、専門学校の講師出身者の方がおられて、うまくキャリアを生かしてくれています。
私自身は「教育」が得意ではないので、うらやましいかぎりです。
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コメント一覧

1. Posted by ぎん   2016年01月05日 14:30
高橋先生
こんにちは。昨年ご相談のコメントを投稿いたしました、ぎんです。
ご回答いただき、有難うございます。
教員を一生の仕事に…と思っておりましたが、5年間働いてきた中で色々な疑問が生じてしまいました。先生のおっしゃる通り、殆どが精神的にも肉体的にも力のある男性ですね。

さて、高橋先生から頂いたアドバイスを元に考え、
1月速習コースで簿記論・財務諸表論を受講し、8月の税理士試験に向けて勉強をすることにしました。
試験の手ごたえによって転職活動を行いたいと思います。
教育業界出身の方々が実際にいらっしゃり、キャリアを活かされているとのお話を聞いて少し自信が持てました。
働き方について、先生から頂いたアドバイスと女性の働き方の記事を参考に、自分のライフプランをしっかりと考え決断したいと思います。

本当にありがとうございます。

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