2019年01月

2019年01月07日

地方公務員の税理士試験受験と転職

税理士事務所 求人・採用・就職情報
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。

「地方公務員の税理士試験受験と転職」

あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします。

ゴースト様からのお問合せです。
■年齢 38歳
■性別 男性
■資格 簿記論、財務諸表論、消費税法、国税徴収法
    TOEIC840
■職歴 地方公務員13年勤務
■学歴 MARCH
■会計事務所経験 なし
■居住地 首都圏
いつも楽しく拝見させていただいております。
どんな質問にも誠意をもってご回答されていて、先生のお人柄が伝わってきます。
さて、早速ですが、相談に乗っていただきたいことがございます。

私は地方自治体で13年ほど、行政事務職員として働いてまいりました。
13年の間には、福祉関係の職場を中心に、現場から法律・条例等の制度所管、内部管理等まんべんなく経験してきました。仕事がら、いろいろな状況の人と直に接することもありましたし、関係団体と交渉することなどもあり、「ビジネス」ではないですが、様々な方と関わりながら、それなりに楽しく仕事をしてきました。数年前には比較的若くして内部の昇格試験にも合格し、係長職として部下を抱えながら仕事をしております。

まったく会計とは無縁に過ごしていたところ、数年前、法人決算に関わる業務で財務諸表に触れる機会があり、いざ書類に目を通したときのこと、貸借すら分からず、文字どおり右も左も分からないような状況に出くわしました。この経験が大変悔しく、早速簿記2級を勉強し始めましたのですが、初めて触れる分野だったので勉強は面白く、数か月で2級を取得することができました。

と、ここからはよくある話で、もっと勉強したい、難関資格に挑戦したい、という動機から税理士試験へのチャレンジが始まりました。
税理士試験の勉強もやはり面白く、仕事が忙しい時期もあって苦労しましたが(今日日 地方公務員も人が減らされて大変な時間外労働を強いられる部署もあります。)、7年かけてなんとか4科目合格し、現在最後の1科目である法人税法への挑戦に向け、日々勉強に励んでおります。

ここで、40歳が目前に迫り、迷いが生じてきました。
現在の仕事の内容が、現場を離れ、管理的な方向に偏ってきています。周りを見る限り、このまま年を重ね、適当に課長になり、さらに現場からは遠ざかっていくことが目に見えています。すると、このキャリアで、このまま定年までいて退職し、自分に何が残るだろうかと不安になりました。給与面等の待遇はよくなって行くと思いますが、最近は、そのポジションに自分が座り、やりがいを感じて仕事をしている姿がイメージできなくなってきました。

やがて、それよりも、ずっと勉強してきた試験の知識を活かしたい、苦労してとってきた資格を活かして、人の役に立つことを実感しながら働きたいという気持ちが日々強くなってきました。

前置きが長くなりましたが、以下、アドバイスを頂戴できればと思います。

私はこれまでいわゆる会計業務というものに触れたことがありません。ただ、具体的なイメージはまだ固まっていないものの、将来、税理士として働きたいと思っています。

ただ、生活面から、年収大幅ダウンは厳しいと考えています。何より家族の理解が得られません(現在、子1人、来年にはもう1人生まれる予定です)。税理士資格のない者が会計事務所で働く時の年収については心得ていますが、家族を持つ者としての責任として、やはり年収は譲れない部分であることは事実です(ご無礼申し上げます)。

そこで、ここ数年国税庁では経験者採用を実施しているようですので、これにチャレンジし、国税職員として税務のキャリアをスタートしてはどうかと考えています。これであれば、今の待遇を変えずに勉強を継続し、税務経験を積むことができ、また、この経験は将来税理士業務を行う場合の武器にもなると考えています。
(ちなみに、現職において地方税部門に配置される可能性はほぼありません。)

以上を前提とし、先生のお考えをお聞かせいただければ幸いです。

Q.1
国税出身の税理士の需要等についてどのようにお考えですか。
もとが公務員志望で、人の生活を裏で支えたいという気持ちもあります。国税へ転職し、資格を活かしながら現場で働くことは良い経験になると考えています。

数年、例えば45歳くらいまでそのような現場で修業した後の、税理士法人などへの転職(もしくは独立することなど)は有利、不利、どのような印象を持たれますか。

Q.2
Q1以外、例えば現状ですぐ会計業界へ飛び込む場合の年齢リスク、業務経験リスク等、過去の質問を拝見し理解はしているつもりです。それでもなお、私にいただけるアドバイスがあればお願いいたします。

以上、長文となりましたが、年齢のこともあり、若干焦っています。
最後は自分の決断、と思いつつも、どのような可能性があるのか、周りに税理士や会計事務所に詳しい人もおらず、一人悩んでいます。

年末のお忙しいところとは思いますが、ご返信いただければ幸甚です。

A.1
国税出身の税理士には、一定の需要があります。
(1)独立の場合
税務署OBの税理士は、税務調査を数多くこなしてきており、行政手続きの流れを知っており交渉相手となる税務署職員の手の内がわかる、さじ加減がわかるところは強みです。
このため「税務調査に強い」ことを売りにして成功している税理士も一定程度おられます。

ただ、以前と違って税務署による顧問先の斡旋は行われないので独立する方は減っており、独立するためには自分でお客様を獲得する営業力が必要になります。
人と接するのが得意で親身になって話ができ積極的に人の中に入れるのだとしたら有利でしょう。
(税理士で、最初から営業が得意な人は多くありません)

中には組織化して数十人規模の税理士法人の経営者をされている方もおられます(経営者として成功するのはバイタリティがあふれる方が多いように思います)。

なお、以前は顧問税理士が税務署出身者だと調査に入りにくいという都市伝説(もしかしたら20年前は事実だったかもしれません)がありましたが、最近は税務署OBだからといって特別な扱いはしてくれません。現役は、OBに気を使って手加減するということもなさそうです。それだけ税務署・国税局は公平な役所だと言っていいでしょう。最近では、脱税に手を染める不良OBの摘発も目立っています。

(2)パートナー候補・後継者として
40代半ばのOB税理士なら、税理士法人のパートナーとしての需要はあると思います。
民間の税理士事務所の代表からは、公務員出身者なら人柄は真面目だし看板にもなると思われるでしょうし、
税務署OBの代表者にも、同じ文化で育った後継候補として迎えられることもあるでしょう。
これらは、個別性が強いので、退職後に探すのではなく、税務署在職中に条件をよく見極めて転職する必要があるでしょう。

(3)専門職として
職歴によっては専門職として勤務することが考えられます。条文を読める審理担当や、資産税部門出身者は需要が多いでしょう。
勤務、半独立のいずれの形態も見られます。

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税理士法人TOTALでは、現在、元国税不服所審判官(税理士法人のパートナー)、元審理担当、元資産税部門統括官の3人の国税OBの税理士が頑張ってくれています。
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不利な点があるとしたら、ゴースト様のお気づきの通り、経済的な問題です。
(1)の独立はどうしても開業当初2〜3年は利益が出にくいですし、
(2)は上述の通り、個別に判断するしかありません。
 税務署と税理士事務所でも文化や求められるものが違うので、
(3)の勤務の場合はどうしても当初は評価がやや低くなるのはさけられません。

A.2
第2子の誕生、おめでとうございます。
上のお子さんの年齢が低く奥様が育休明けはフルタイマーで一定の所得が見込まれる場合以外は、今すぐ会計事務所に転職するのはあまりお勧めできません。

忙しく働きながら7年で4科目税理士に合格とはすばらしいですね。そんな中でも早い出世をしているので仕事の実力は証明されており、業務経験を積むのは税務署経由でも間に合うと思います。

20年前、男性の平均寿命が70代半ばの時代なら、組織で出世を目指し、60歳定年後は悠々自適という将来設計はしやすかったと思います。

ただ、今のアラフォーだと男性も90歳を超えて生きる方が多いでしょう。医学の発達と健康情報の普及により寿命が15年も伸びるのです。

地方公務員も今後は役職定年で給料が3割カットされ、定年後はさらに半分以下の給料になるでしょう。頼みの年金は少なくとも70歳支給まで繰り下げられるでしょう(最大75歳もありうると思っています)。

ゴースト様の場合、子育てでお金がかかるピークの前に役職定年を迎えることになるかもしれません。
大企業では総合職・ゼネラリストとして出世した元部長よりも、出世できず現場に最後までいて定年を迎えた人の方が、技術者・スペシャリストとして再雇用の条件が良いという逆転現象も起きています。
地方公務員も技官と違って行政職の方は、どうしても異動が多く専門性はないので定年後は不利になるかもしれません。


私からアドバイスするとしたら2点
(1)奥様の仕事について(奥様が正社員なら読み飛ばしてください)
もし奥様が専業主婦だとしたら、最終的には「正社員」を目指してパートからでもいいので働いてもらう。
高齢化社会で男性の1馬力で2人の子育てを経済的に支え続けるのはかなりリスクがあります。もし、独立や転職の勝負所で奥様が正社員になっていれば数年間は経済的に支えてもらうことも可能でしょうし、社会の厳しさも理解してもらいやすいでしょう。

40代で早めに独立を目指すなら、ゴースト様の場合は奥様の理解と協力がある方が望ましいでしょう。

(2)タイミングをはかる
奥様のバックアップが期待しにくい場合は、税務署や役所から 税理士事務所への転職や独立は条件を見て慎重にタイミングをはかってもらいたいと思います。

税理士という仕事の特性は、健康状態さえ問題がなければ定年がないことです。最近の合格者の平均年齢は38歳になっており、登録している税理士の平均年齢は60歳を超えています。70歳はおろか、80歳の税理士も普通におられるし、中には90歳の現役もいます。

子育ての経済的な目途がつくまで今の役所に残ってもいいし、
税務署に転職しても定年まで税務署に残って再任用(税務署の内部での再就職)を受けずに定年後に独立してもいいのです。

私がそれなりの数のスタッフを採用し、一緒に働いてもらって感じるのは
人はどうしても最初の職場の文化の影響を強く受けるということです。
公務員に求められるもの(安定性・安全性・連続性)と民間で求められるもの(融通性・効率・不連続・サービス精神)は同じではありません。
文化の違いに適応するには時間がかかりますしリスクもあります。

元公務員や元半官半民の公的企業出身者の方は
税務署に転職するのは比較的楽で、
(代表が税務署OBではない)税理士事務所に転職してうまくやるのはややハードルは高いかもしれません。

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税理士法人TOTALの3人の税務署OBは、
一人は40代での採用で、
あとは子育てが終わったので定年前に退官した方、
そして定年で再任用を受けなかった方です。

ここで、大企業の部長だった税理士もパートナーに迎えることになっています。税理士試験は若くして合格していましたが、子育てが終わって定年直前に税理士業界に入ってこられた方です。

第2の人生をどう生きるかは高齢化時代に働き続ける上で重要です。
税理士は、お客様から感謝されることが多い、やりがいがある仕事です。
長く高原上に実力や経済的なピークが続く、高齢化時代に合った仕事でもあります。
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