2017年04月

2017年04月26日

税理士事務所の仕事と上場企業

税理士事務所 求人・採用・就職情報
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。

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■年齢:27 才
■性別:男
■資格:簿記論、財務諸表論、法人税法
(消費税法、国徴受験経験あり)
■学歴:早慶
■会計事務所経験:正社員一年、アルバイト一年
■居住地:関東

こんにちは。
いつも大変参考にさせております。
どうしても科目合格がすすまなくなったため、春から大学院に通い始めました。
しかし、大学院の授業が忙しく、正社員での勤務がむずかしいのではないかと思い、アルバイトに変えようと思っております。

今年28になるのにもかかわらず正社員としての職歴が一年という短さに少し焦りを感じております。

この業界一番優先順位が高いのは資格だと思っておりまして、このまま進まないリスクを考えてはやい段階で大学院に進学しようと思ったのは少し早計だったのではないかなと考えております。

今の事務所では仕事を任せてもらえず、雑務が大半で成長性を感じられず、正社員しか採用していないため、アルバイト勤務ができないため一年で現在の事務所を退職することを考えております。

Q.1
この業界での短期での転職はどういった評価になるのでしょうか?

Q.2
資格をメイン(アルバイト勤務)に考えていいのはどのぐらいの年齢まででしょうか?

Q.3
上場会社系の経験は独立を考えているかたに対してはどのぐらいの経験になるのでしょうか?

今後の参考にしたいと思いますので、お忙しいでしょうが、お時間があるときにでもお返事をくれたら幸いです。

A.1
企業は、入社2〜3年に満たずに退職されると、育成コストと合わず大赤字になります。
早期退職者は、一般的には採用してもすぐ退職されるリスクがあるということですから、マイナスの評価が大きく、面接で細かく尋ねられます。

ただ、税理士事務所・会計業界の場合は、中小零細事業所も多く、残念ながらあまりいい事務所が多くないことは面接官も知っているため、大企業の早期退職ほど大きな減点にはなりません。
多くの会計事務所は、転職者が多いことが前提になるため、教育コストを余りかけずに、「期待」ではなく「結果」を出したやめない人を厚く処遇することになります。

短期での転職は、どんな事務所に勤務していたか、退職した理由は何かを聞いて個別に評価されるでしょう。

ただ、理由付けをしても、資格のためになりふり構わない人だという評価は避けられないと思います。

もっとも即戦力、勉強を進んでいる人を欲しがる税理士事務所は多いので次の転職ではそれほど大きく不利になることはないでしょう
税理士法人TOTALでも、mk様の応募があれば前向きに検討すると思います ご応募お待ちしています(笑)

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税理士法人TOTALでは、業務の標準化が進んでいるため、初期の教育も効率的に行っています。それでもできれば3年程度は働いてほしいと思っています。
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A.2
税理士が資格商売である以上、資格取得を第一に考えること自体は正しいと思います。
何歳くらいまでということはありません。
実際、40代でも資格のためにアルバイト勤務をしたり、受験に専念する方もいる業界です。

ただ、可能なら30代前半までに資格を取り終えるのが望ましいとは思います。
仕事を覚えるのに一定の年数が必要ですし、
税理士試験に求めれられる記憶力と速記スピードは若い方が有利ですから。

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税理士法人TOTALでは、資格の取得を推奨しており、家事や育児の負担が少ない男性はほぼ全員
有資格者か受験生です。
30代までに資格を取るように勧めており、試験での合格が難しそうな場合には、働きながら大学院に通学していただいています。
関東なら、夜間や週末中心に通学できる大学院も多く、2年間休みがほぼなく忙しいですが十分両立は可能です。
もちろん、税理士法人TOTALの大学院組は全員無事に修了して大学院免除を受けています。

(昨日、今春修了したスタッフに聞いたら、ほとんどの方は無事に卒業できるそうです。
ゼミ20名強で一緒に卒業できなかったのは、最大手クラスの激務事務所に在籍している2名だけだったとのことです)
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早慶卒の三科目持ちの正社員に、雑務を中心に仕事をしてもらっているのは大いに疑問です。
ずいぶんもったいない人の使い方だなあと感じます。

やめないベテラン正社員中心で上がつかえている職場ということなのでしょうか。
有資格者中心のかなり専門性の高い職場なのでしょうか。
大学院に通学することをよく思わずに、あえて仕事をふらない状況なのでしょうか。

税理士試験免除を狙う大学院の通学者の7割くらいが、働きながら頑張っているとお聞きしています。
場合によっては、転職もやむをえませんが、正社員として働きながら大学院に通学できる事務所も、うちだけではなくそれなりにあると思います。

A.3
はっきり言います。

上場企業関連の仕事は、税理士の独立とはほぼ全く関係ありません。

上場関連の仕事は、BIG4の独壇場です。
このため、BIG4監査法人(税理士法人ではありません)の出身の公認会計士、BIG4でIPOを経験している公認会計士が中心になります。
あとは、国税の大物OBを顧問に迎えている上場企業が多くあります。

残念ながら、普通の税理士が独立して上場関連の仕事をすることはほぼありません。
あるとしたら、自分のお客様がIPOした場合や、上場関連子会社くらいです。

お客様の立場になって考えればわかります。

公認会計士兼税理士は1万人以上います。
上場企業は約3500社とすると、
公認会計士が全部見ていると無理に仮定しても、3人に1社です。
税理士は7万人ですから、公認会計士との兼任も併せても20人に1人です。
実際には、都心部のIPO中心の事務所か、人脈又は規模のある公認会計士兼税理士事務所でないと、ほぼ上場企業の仕事は回ってきません。
独立した(公認会計士でも国税OBでもない)税理士が行う可能性は限りなく低いでしょう。
同様に、連結納税もわずか1400グループくらいですから、独立後は一度も触らない税理士が95%以上でしょう。

残念ですが、BIG4(TAX)を経験したとしても、上場企業を独立後に担当することはほぼないといっていいと思います(当然、BIG4監査法人OBの公認会計士優先になります)。
信用は、その方の技術にあるのではなく、BIG4というブランドにあるのです。これがBIG4税理士法人の出身で 技術はある税理士が独立で苦労する理由です。

税理士業務に慣れてくると、より大きな企業、より複雑な事案をこなしたくなるのは、職人・専門家としてはわかります。
ただ、上場企業は本来、公認会計士のテリトリーです。もし、上場企業の税務を見たいなら、公認会計士になることを目指すべきでしょう。

税理士の仕事は、地元の中小企業を起業から中堅企業になるまで親身に相談にのって共に歩んだり、
医者や資産家といった方と長く信頼関係を持っておつきあいするのがメインの仕事です。

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税理士法人TOTALには、BIG4監査法人の出身の公認会計士も在籍していますし
お客様には、上場子会社やIPOを目指す会社、連結親会社はありますが、
上場企業本体とは顧問契約はありません。
お客様の規模は、起業したてで社長お一人の会社から、従業員が数千人の会社まであります。

私は、毎日、現役のプレーヤーとしてお客様と決算打ち合わせをさせていただいています。
(もう少し、経営者として働くべきだというご意見・ご批判?は多数いただいています)

先日、他の会計事務所から移られた 年上の一人企業の社長様に言われました。
「TOTALさんくらい大きくなると、うちくらいの会社はあまりゆっくり相手してくれないのかと思った」

私たちの仕事は、
一人企業も、従業員が1000人を超える会社も、
同じお客様です。


TOTALの企業理念は

〜あなたと共に歩み、あなたと共に成長する〜

です。
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2017年04月15日

税理士試験官報合格者の育児・家事と仕事の両立

税理士事務所 求人・採用・就職情報
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。

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Rei 様からのお問合せです。
Q.
■年齢 32歳
■性別 女
■資格 官報合格
■職歴 広告会社1年半(正社員)→受験専念→社団法人2年(非常勤)→会計事務所1年半(正社員)
■学歴 3流大学文系卒
■会計事務所経験 
前職で個人の顧客対応を含む記帳代行業務、会計事務所で個人・法人の入力業務、年末調整、法定調書申告、償却資産税申告、決算申告書作成
(外回りなし、相続事業承継案件は外回りで処理)
■居住地 関東都市圏
■その他 既婚・第一子妊娠中

いつも記事を参考にさせていただいております。

私は現在会計事務所に勤務しています。
入社1年未満で官報合格しましたが、番頭さんとそりが合わず、官報合格で扱いづらいということもあり退職勧奨を受けました。今後社内に居場所はないと思い妊娠中でしたので産休取得後に退職予定です。
当初は産休育休をとって1年以内に復帰する予定でしたが、求職中での保育園入園は難しく、幼稚園入園までパートでの復帰も難しい見込みです。また配偶者が年上のためなるべく早く続けて第2子も出産したいと考えています。
経験不足と家庭との両立を考え今後10年ほどは独立開業する予定はありません。

Q.1
保育園が決まっていなくても会計事務所に正社員又はフルタイムパートとして就職活動して内定を受けることは可能でしょうか。(内定をうければ保育園入園の審査に通る可能性があります)

Q.2
第一子が5〜6歳になったら実家近く(都市圏ではありません)に引っ越してサポートを受けつつ会計事務所就職活動した場合、ブランク5年以上ですが正社員として就職することは可能でしょうか。
ブランクが多い場合、会計事務所にパート勤務してから正社員を目指すほうがよろしいですか。
復帰がのびて40代になってしまった場合は就職することは難しいでしょうか。

A.1
関東では待機児童の問題がなかなか解消しません。
保育園の定員を増やすべく、国家も様々な努力をしていますが、
それ以上のペースで保育園入園希望者が増えています。

子育て中のママにとって、「保活」は重要ですね。
フルタイムで働く「内定」が出れば、入園のための審査のポイント上だいぶ有利になるでしょう。

結論から言うと内定を受けるのは十分可能だと思います。

東京では、人不足が深刻です。会計事務所業界はそれに加えて
雑誌やインターネットでのネガティブな記事の影響もあり、受験生が急速に減少しています。
教育コストがかからない官報合格者の価値は相当高くなっています。
男性の官報合格者なら、独立のための腰掛けかなと思われるかもしれませんが、
子育て中の女性なら短期間での独立はないと安心する所長もいるでしょう。
慢性的な人不足ですから、入社時期が未定でも欲しい人材です。

ただ、子育て中の女性は、どうしても育児が中心で、
残業ができない、無理もさせられない、急な発熱や保育園行事もある など、
小さな事務所では周りのフォローが難しく評価が上げにくいという面はあります。
このため、残念ながらその期間は少し給与が安くなるのを覚悟する必要はあります。

もし内定が出ないとしたら、勉強をした努力・過去に費やしたコストを思うあまり、結果を出していないのに自己評価が高くなりすぎて、現状のパフォーマンスと合わないと税理士事務所の経営者が考えるときでしょう。

小さな会計事務所の場合、他に転職できない人が残って結果として番頭さん(やお局さん)になることが多く、番頭さんに変わった人が多いのは残念ながら事実でしょう。
小さな会計事務所の番頭さんは無資格者が多く、人によっては年下の官報合格者や大学院免除者を嫌ったり、税理士試験の受験そのものを嫌ったりします。
(いわく、「資格と仕事ができるかは関係ない!」など)
自分の地位が脅かされるのが嫌なのかもしれません。
それでも、所長は、本当に仕事が出来れば番頭さんの意見を取り入れず、普通はそのスタッフに退職勧奨はしないものです。
全体最適化を考え、人事を行うのが経営者の仕事ですから。
(所長が営業や現場で忙しすぎて、事務所内が見えておらず、番頭さんの力が強くなりすぎている場合は除きます)

子育てと家庭を両立させられるかのポイントは、通勤時間の短さ(30分程度までが望ましい) と 所長に両立に対する配慮する意識があるかどうかだと思います。

謙虚な気持ちで就職活動に臨めば、Rei様にはきっとすぐに内定が出ると思います。

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税理士法人TOTALには、お子さんを保育園や学童に預けてたくさんのママが働いてくれています。
内定を出した場合、もちろん就労証明書を発行いたします。

保育園の入園が決まるまで入社時期が伸びることもありますし、
入園一月くらいは、時短保育やお子さんも病気がちになり
仕事は徐々に慣らしながら進めていっていただくことになります。
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A.2
正社員での就職が可能かどうか、40代での復職が難しいかどうかは、
住む地域によるとしか言いようがありません。
落ち着いた中堅税理士事務所が正社員を広く募集している地域もありますし、
そもそもパートですら募集が少ない地域もあります。

パートから正社員になるか、最初から正社員で働くかは、
Rei様の場合、税理士有資格者・会計事務所経験者で転職には有利ですから、
まずは自分が子供とどう向き合いたいか
育児・家庭と仕事をどう両立させたいかが重要になります。
その上で、どんな選択肢があるかを、その地域で実際に就職活動して確認していくことになるでしょう。

経営者として、自分を磨くため世界や日本を旅しています。
最近、地方を旅していると、東京一極集中が加速しているとしみじみ思います。
あべのハルカスの展望台に上りましたが大阪ですら新しいイノベーションを感じませんでした。
(たくさんの人はいましたし、お笑いや食の文化・歴史は素晴らしかったですが)
関東以外で元気なのは、名古屋、仙台、沖縄くらいでしょうか。
ふるさと納税 や 公共事業にも限界はあり
人口減少社会では、地方の衰退を止めることは誰にもできないでしょう。

全国のがんばっている税理士の勉強会で情報交換をしますが、インターネット時代でも地方と東京の情報格差は大きいようです。
地方のやる気のある少数の税理士は、高い飛行機代・新幹線代と貴重な時間を使っても東京の研究会に出てきます。東京の情報や技術にそれだけの価値があると知っているのです。

ご主人が公務員、医師等の堅くて高給な仕事か、資産家でもない限り
今回就職せずに子育てに専念することは、個人的にはお勧めできません。
働き先に選択肢の多い関東の都市部にいるうちにきちんとキャリアを積むことを考えてみませんか。

「三歳児神話」は日本でしかみられません。
今後の社会を考えると、女性が働かないで専業主婦を長く続けるのは危険だと思います。

Rei様の場合、
受験専念期間の長さ、社団法人の非常勤という楽な仕事、短期間で会計事務所をやめて子育てに長く専念したとなると
若いうちに頑張りきれていないと評価される危険性はあると思います。

なお、最初の会計事務所では内勤専門でしたので、次回は今後のキャリアを考えて外回りをさせてくれる事務所を転職活動の際は検討してみてください。
(女性は内勤しかさせない税理士事務所もありますので確認が必要です)

外回り経験があれば、地方で正社員になる確率も上がりますし、
場合によっては税理士法人の社員税理士として支店を出すことも、
自分のペースで独立することも可能になるでしょう。

合わない事務所で、番頭さんにいじめられて大変だったとは思いますが、
これでRei様は立派な会計事務所経験者です。
今度は税理士事務所選びを間違えないようにすればいいだけです。

子育ては大変ですが、本当に両立がつらいのは長い人生で考えると一時的に過ぎません。
せっかく努力して取った税理士資格をいかすべく、育児・家庭と両立できるキャリアプランを考え、前を向いて転職活動をしてみてください。

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先日、ある地方中小都市の会計事務所の経営の依頼を受けました。その地域には引き受けられる税理士がいないのだそうです。

地方でも税理士業務を行っている先輩税理士にきくと、
腕の立つ税理士はほぼいない地域もあり、
「TOTALさんなら大丈夫だよ」
とお墨付きを頂きました。

TOTALは今後、全国に出店するつもりなので前向きに検討してみます。
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