2017年01月

2017年01月28日

税理士になるために大学院進学か税理士試験か(30代後半男性)

税理士事務所 求人・採用・就職情報
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。

年末年始はニューヨークでカウントダウンを経験してきました。
(ご興味がある方はこちら
トランプ大統領が就任し、世界はあわただしく動きそうですね。
今年もよろしくお願いします。

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kosho様からのお問合せです。

■年齢 38
■性別 男
■資格 簿記論・財務諸表論・所得税法
■職歴 会計事務所2年
    事業会社経理10年
    現在 義父の会社のお手伝い
■学歴 専門学校(某会計系大手)
■居住地 神奈川

こんにちは。宜しくお願いいたします。

昨年の試験は所得税と相続税を受験し、所得税のみ合格し相続税はA判定でした。
手応えとしては相続税のほうが良く、所得税は微妙というところだったのですが結果はその逆ということとなりました。

2106年の受験後は、消費税の2016受験対策講座を譲り受け、年内に昨年の直前対策まで履修を終わらせました。

以上を所与として、相消で官報合格を目指すべきか、大学院(法学研究科)に行き法律をしっかりと勉強するべきか悩んでいます。

そこで、高橋先生としては、御自身の司法試験受験の御経験から、
Q.
(1)大学院における研究を通じて憲法、訴訟法と要件事実論をしっかりと修めること
(2)税理士試験によるさらなる実務トレーニングをすること
とでは、資格取得後は一定の研鑚の後独立を視野に入れている場合、どちらが有意義な時間の使い方とお考えでしょうか。

 私自身の少ない経験からは、大学院に行き法学をしっかりと修めるほうが、思考の基礎を作る意味で重要である気がします。
しかし、もういい年齢なので、
理想は置いておいて、もう2年程度実務トレーニングを積むことも重要である気がしています。
 
以上、お考えをお聞かせいただけたら幸いです。

A.
司法試験ですか、懐かしいですね。
「自分は馬鹿ではない」という証明をしたい、
この世に生を受けた理由を見つけたい
という悲痛な?思いで
旧司法試験(ロースクールはない時代でした)の勉強した時期もありました。
参照 「高橋寿克の自己紹介

司法試験受験生時代、私は「憲法」が一番好きでした。
理念的で、あるべき天下国家、国民を考える
憲法改正について話題になっていた時期は思い出す機会はありましたが、
税理士としての仕事に憲法が役に立つことはほぼありません。
(ビジネスに政治の話はタブーです)

訴訟法・要件事実論は、税務調査の場面で意識することはありますが、
手続法なので、学問的価値や奥行きはあまりありません。
弁護士になるのではないので、フレーム自体を理解するだけなら本一冊読めば足ります。

私は「税理士は、税務に関する法律家」だと思っているので、
法的思考法論理学は実務上重要ですが、
それが通常の大学院で学べるかというと疑問です。
数学に近く、法律実務や法解釈学で学ぶべき分野だと感じています。

先日、)ヽ愀呂猟名錣梁膤惘,鉢∨_並膤惘 淵蹇璽好ール)の両方を卒業し、司法試験を受験した経験がある方とお話ししましたが、
法律実務での重要度・お役立ち度では
専門学校 > 法科大学院 > 法学系の通常の大学院
のようです。
給与が高い大手ローファームは予備試験組(専門学校組)を優先で採用しています。
(逆に、弁護士の下位の所得の低さ、法曹としての資質の低さは社会問題になっていますよね)

私は、大学時代、成績はかなり良かったですが、
(自慢ぽいですが、私の時代の早稲田大学はレジャーランドで授業の板書のコピーを5枚覚えれば「優」を取れました)
専門学校で学んでいた「国際私法」だけは4年間で唯一の「可」でした。
実践的に法解釈をして、模範解答と違っていたためです。

法学系の通常の大学院は、「法学」をアカデミックに学ぶ場であって、法律家としての実務を学ぶ場ではないことは認識しておいた方が良いでしょう。
(今回は違うでしょうがロースクールならその両方を学ぶことになるとは思います)
税理士試験は、理論暗記に偏り法律を直接読む機会が少ないので
法学を学び、法律・判例を読めるようになることには一定の価値はあります。
論文を書けるようになること、洋書を原書で読むために英語・語学を学ぶこともいい経験になるとは思いますが、ちょっと面倒かもしれません。

一方、税理士試験の税法は、理論暗記と計算スピードに偏っているという批判はありますが、それこそが実務なので一定の合理性のある試験だと思います。
ただ、実務のトレーニングは、税理士試験の勉強をするよりも、会計事務所で実務経験を積む方がはるかに勝ります。
税理士試験の難しいところは、なかなか合格しないで先が見えず、時間がかかることです。
特に相続税法は母集団のレベルが高く、やってもやっても合格が見えないことが苦痛になります。

私の意見は、kosho様の場合
(1)原則として大学院進学をお勧めします。
年齢が38歳と若くはなく、家庭を持っており先が見えないのはつらいためです。
ただ、憲法・訴訟法の専攻は申し訳ありませんが意味を感じません。
多少は実務に関係しそうで、楽そうな大学院を選んでもいいのでは。

(2)税理士試験を勧める場合
明治・立教クラス以上の学力があり、記憶力・スピードが残っていて、受験に専念できるとき。
税理士試験は若ければ商業学校卒・普通の高校卒でも記憶力とスピードで誰でも合格できますが、30代後半以上になると急につらくなります。
大学院進学の問題点は、お金がかかること と 入学前も併せると登録まで3年3か月くらいと時間がかかることです。
これに対して受験専念で合格すれば、1〜2年短く税理士になれます。
kosho様は年齢の割に実務経験が少ないですが、、大学院よりは試験の方が実務に直結しています。
(独立するなら一定の実務経験は必要です。所長になると誰も助けてはくれません)


=============
昨年末、A判定も多い相続税法不合格のスタッフに大学院進学を勧めました。本人は先が見えて落ち着いて仕事に取り組んでくれています。

今年も数名のスタッフが大学院に進学します。税理士法人TOTALでは、30代後半で3科目持ちなら一定の条件はありますが全額会社負担で週末・夜間大学院に通ってもらっています。
(あと1科目で自信のある方はそのまま受験を続ける方も多いです)
一部さがせば、アメリカの大学のようにケーススタディやディベート中心で実践的な大学院、面白い授業をする大学院もあるのかもしれませんがその分、準備等が大変です。
学者になるのが目標ではないので、大学院に過大な期待をしないで楽なところをさがすように言っています。

逆に、アラサーくらいまでは税理士試験受験を勧めています。
若い時の苦労は買ってでもせよ
ということわざもありますよね。
苦労は将来の自分のための投資です。

ちなみに税理士法人TOTAL全体では
 税理士試験組 2 : 大学院免除組 1
になっています。

税理士になっても一生、学びや成長・変化を続ける必要があります。
=============




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