2015年08月

2015年08月30日

みんなちがって、みんないい。

わたしと小鳥とすずと

わたしが両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面を速く走れない。

わたしが体をゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように、
たくさんな唄は知らないよ。

すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。



これは、妻の恩師で当時 日本銀行政策委員会審議委員だった篠塚英子先生に 私たちの結婚式で贈っていただいた
金子みすず(金子みすゞ)さん の詩です。



TOTALも、営利事業を営んでいる以上、どこかに限界があるのは事実です。


それでも、

いえ、

それだからこそ

お客様・スタッフ一人一人の個性をよく見て、

お客様・スタッフ一人一人の個性が生きるように、

お客様・スタッフ一人一人が幸せになっていただけるよう

私は考え続けなくてはいけないのでしょう。

みんなちがって、みんないい。

2015年08月23日

税理士試験お疲れ様でした。

税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。

本日は、TACの合同就職説明会2015夏(東京)でした。
たくさんの方にお越しいただきありがとうございました。 
<(_ _)>
TOTALはTACさんは初めて、大原簿記学校を含めても3年ぶり4回目の参加です。
あまり就職面談会に参加しないのは、一度にたくさんの方がお越しになられるので、
良い人が多くてありがたいのですが、対応が間に合わず、せっかくご応募いただいた方に失礼になりかねないからです。

今回も、それを危惧しています。
中堅・大手会計事務所の定期採用は今週いっぱいがピークです。
日常業務の合間に面接を入れ(かなりていねいに面接するので一日、一人程度くらいずつしか入りません)、現時点の不足エリアの補充を優先する結果、1か月くらい連絡にかかる方が大量にでます。当社が良いと思う方は、当たり前ですが、他社もいいと思って内定が出ます。ご期待にそえず、申し訳ありません。
今回、他社に決まられた方も、いつか転職の機会がありましたら、これに懲りずにご応募いただけると幸いです。

印象に残った今日の言葉
(1)「会計事務所はどこでも同じだと思っていました」最初の就職がうまくいかなくて短期で退職した方
(新卒就職を考えればわかりますが、リサーチは重要ですよ)
(2)「先生の大原の講演を聞いて応募しました」
2年近く前の話を覚えていてくれてうれしいです)
(3)「個別面談はブースでお願いします」 by TACのお兄さん
(会場外への同行は禁止されていました。ルール変更を知らずにご迷惑をお掛けしました。TACさん、Yさんごめんなさい)


ご質問はここをクリック

たけし様からのお問合せです。
■年齢  25歳
■性別  男性
■資格  簿記論、財務諸表論
■職歴  なし
■学歴  MARCH
■会計事務所経験 なし
■居住地 首都圏

こんにちは
以前質問させてもらったものですが、今年26になるものなのですが、
消費税法、法人税法、事業税と受け解答速報みたところ、自信があった消費税法も失敗してしまい、正直この先受かる自信がなくなってきてしまいました、、、

ちなみに、今年三回目の受験で消費税法三年目 法人税法一年目、事業税一年目です。

大学四年生から始めており、受験専念を二年ちょっとしているため、勉強という名の孤独と戦うのはちょっと嫌気がさしてます。
なので、税理士資格にこだわるのなら5科目官報は諦めて有資格者でいいかなと思い始めてます
もちろん税法一科目すら受からない可能性もあるってわかってます

個人的には将来独立開業して自分でやっていきたい願望はあります。

Q.
これから先のこと考えると、
もう税理士試験をやめて公務員試験に切り替えるか、
働きながら一科目をとり、院にいくかのどちらかの選択を考えてます。
公務員試験もどのみち勉強するのですが、、、。
もう年齢的にも失敗できる年齢じゃなくなってきてるので、アドバイスもらえたら嬉しいです。

A.
税理士法人TOTALでも、非常にたくさんの受験生が受験して、週末にはみんな戻ってきてだいぶにぎやかになってきました。試験の出来は良かった人、もう一年頑張ろうと言っている人…。
スタッフからは、今年は財務諸表論、消費税法、相続税法が難しく、簿記論と法人税法が簡単だったとお聞きしています。
消費税法は特に、トラップがたくさんあり、旧法での処理も含めて、ひっかかっている方が多そうです。
その上、途中退席ができなくなって、欠席者は増えて、模範解答が遅れ、専門学校にボーダーもかなり幅があり、結果が出てみないとわからないところがあります。
国税庁には、例年より欠席者が増えているという実情をかんがみて合格率を上げてほしいものです。

受験専念が2年で嫌になるのはよくわかります。私は2年目ももう飽きていました。
たけし様の以前の質問は、どれなのかわかりませんでした。すみません。

税理士という仕事の一番良い点は、お客様に直接感謝されることです。
お客様と共に歩み、お客様と共に成長することができます。
公務員も社会のためになる良い仕事です(私は、高校までは官僚になって天下国家のために働きたいと思っていました)が、好き嫌いもあるし、職種によっては年齢的な問題もあるのでしょう。
いずれにせよ、公務員と税理士の比較はこのサイトの範囲外なのでご自身でじっくりとご判断ください。

(1)税理士を目指す場合
すぐに就職活動を始めて、今秋から働く方が良いでしょう。
9月から実務でもよく使う法人税法の既修者(上級)コースを受講するのがお勧めです。
年末に消費税法が合格していれば(専門学校のボーダーが間違っているケース)、来年は法人税法を受験して官報合格を目指す。

消費税法が残念ながら不合格なら年明けから消費税法に切り替える。そこまで仕上がっていれば、働きながらでも2年以内には合格できるでしょう。その後、タイミングを見て大学院に進学する。
これならどちらも30前後には税理士になります。

(2)公務員を目指す場合
1年間、公務員試験の受験に専念しましょう。採用されると良いですね。
不幸にして採用されないときは、もう一度税理士業界に戻っても良いと思います。
私が3科目合格で会計事務所に入ったのは28歳直前でした。
来年入社しても、平均よりも(そして、私よりも)入社時期は早い気がします。
税理士は、人生のやり直しができる懐の深い資格です。
20代の税理士はほぼいませんし、20代で信用を得やすい・独立しやすい資格でもありません。
挫折や苦労を経験して30代から値打ちが増す資格です。


==============
中堅・大手税理士法人の募集要件が、
<3科目以上・法人税法受験経験あり>
から
<2科目以上(・法人税法不問)>
に変更になってきました。

これは、会計事務所業界が売り手市場であることに加えて
最近の大学院免除者の増加を念頭にハードルを下げています。
ちなみに税理士法人TOTALでも、現在4名の大学院進学者がいます。

税理士法人TOTALの税理士試験受験生の支援は
(1)試験休み
正社員は6日あります。受験日当日も別途休みです。有給の消化と合わせて7月に入ると休みを計画的に取る受験生が増えてきました。
(2)、専門学校の学費と税理士試験の受験費用を負担
正社員のみ、1科目かつ最大20万円までで一定の条件がありますが
(3)科目手当、資格手当
(4)大学院進学
働きながら大学院進学も可能です。
大学院の学費は原則自費ですが、一部の幹部を選抜して事務所全額負担も行っています。
(5)受験スタッフ
勉強が進んでいない方用には、「受験スタッフ」というパート枠も設けています。

ここまで、資格取得をサポートする税理士法人はあまりないかもしれません。
有資格者と無資格者では、見える景色も得られる信用も違います。
「責任」と「自覚」が生まれます。
せっかく士業の業界に入ったなら、なんとかして、多くの方に早めに資格を取ってもらいたいと思っています。
(社会保険労務士についても同様のサポートを行っています)

受験勉強するのが当たり前、同僚も有資格者以外ほとんど受験生という環境が、
一番の受験支援なのかもしれません。
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インターネットで顔が見えない方に適切な回答をするために、 質問の書式にご協力いただけると幸いです。 情報が不足する場合には回答できないことがあることはご留意ください。

また、このサイトもありがたいことに皆様のご質問をいただき、事例が増えてきました。
ご質問の前に、同様な質問が無いかご確認いただけると幸いです。
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2015年08月16日

所長税理士が高齢者…脱税、業務管理と懲戒

税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。

税理士法人TOTALでは、
TACの合同就職説明会2015夏 東京
日時 8月23日(日) 13:00〜16:00
場所 ベルサール東京日本橋
に参加します。

税理士法人TOTALは年間30%近い成長を続けています。
このため、各本部ではいつでもご応募お待ちしています。

なお、平成27年8月上旬現在、東京(秋葉原)本部、所沢・東村山本部は急募中です。
その他に、船橋駅前の給与計算事務のスタッフ・身体障害者の方(今年から雇用義務が発生します)が不足しています(未経験者歓迎)。



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ボキオ様からのお問合せです。
■年齢  不明(30代後半?)
■性別  男性
■資格  簿記論、財務諸表論
■職歴  大手企業 16年
■学歴  不明
■会計事務所経験 9か月

以前質問させて頂いたボキオと申します。

会計事務所の新人教育・研修

ウチの事務所は私を合わせて正社員が3人です。
後はパートが6名程います。
そして、先生は82歳で仕事はほぼサインのみです。

今、事務所を回してるのは私以外の従業員が回してる状態ですしその従業員も科目合格を二つしか持っていない状態です。

また、先生が一線からおりている状態なので従業員の1人が先生の許可なしで架空会社の設立とその架空会社の役員になりかつその架空会社の役員にその従業員の家族を入れている状態で更には給料をもらい年収が増えた分税金があがるのでその分を除いた全額は先方に返金してるとかもしてるとのことです。

本当にこんなことをやっていいのかが疑問で仕方がないです。
先生も最近知ってかなり激怒している状態ですが首にする事は出来ない状態で注意で終わった次第です。

Q.
こんな事務所で働いて行っても良いものか?
税理士の先生が複数いる事務所に転職した方が良い気がしてしかたがないですが…
良いアドバイスをお願いします 。

A.
もう答えが出ていますよね。
もちろん、転職した方が良いですよ。

当たり前ですが、税理士は脱税相談等を禁止されています。

税理士法第36条 
税理士は、不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為をしてはならない。

意図的な脱税を税理士事務所が行うと、
税理士業務の禁止(3年間)になるか2年以内の税理士業務の停止になるリスクがあります。
また、税理士が、相当の注意を怠り、脱税申告等の行為をしたときは、1年以内の税理士業務の停止の処分を受けるリスクがあります(税理士法45条)。

所長が全く知らなかったとしても、注意義務違反です。
最近では所長が関知しないで、従業員の勝手に行った行為で懲戒を受けることも増えてきました。

税理士の82歳という年齢からして、懲戒処分を受けたら事実上廃業するしかないでしょう。
そんな状態で働き続けるのは精神的にもきついし、転職するしかありません。

税理士は国からライセンスを与えられている規制業種です。
このため、職業専門家として善良なる管理者の注意義務を課せられています。
社会全体が、コンプライアンス重視の流れの中、
税務行政(国税庁・税務署)としても、税理士の管理を厳しくすることによって適正な納税を実現しようとしているのではないかと感じることがあります。

懲戒は、税理士にとって非常に怖いです。
私も気を付けているつもりですが、スタッフが多いとなかなか難しいですね。
安定した業務品質を保ち、管理するためには、複数の税理士がいるに越したことはありませんが、スタッフ10人に一人程度は(高齢でない)税理士がいないと怖いと個人的には感じています。

従業員の中には、規範意識が弱く、目の前のお客様の「脱税」のリクエストに安易に応じてしまう人が出かねません。それがどれだけ自分や所長、他の従業員に迷惑をかけるか理解していないのです。
若き会計人には「脱税は犯罪」ということは心してもらいたいと思います。

人間も動物ですから、年齢とともに衰えます。さすがに70代後半以上では細かい管理はできないでしょう。
高齢の税理士が若かったころは脱税は今よりも激しく行われていました。管理能力の低下とあわせて、懲戒は、60代以上の税理士が7割強を占め、高齢税理士の方が多くなっています。

参考) 「税理士・税理士法人に対する懲戒処分等

就職で私が会計事務所未経験者に比較的お勧めするのは、所長が40代後半・50代以上の税理士事務所なのですが、
事務所後継者がいないと所長が60代半ばから教育や管理が弱くなります。
この場合は、一定年数勤務したら事務所自体が衰える前に転職した方が良いでしょう。

ボキオ様の場合は、試験後にでも転職活動をお勧めします。
会計事務所経験の少なさはハンデにはなりますが、
(居住地や年齢が不明なので断定はしませんが)
今年は売り手市場なのであっさり転職出来るような気がします。

==============
税理士法人TOTALでは、経営者が60代〜70代の4つの会計事務所と合流しました。
人脈、経験、技術等、学ばせていただいた点も多いし、優秀な仲間も増えました。
彼らが私たちと合流してくれた共通の理由は、
従業員を採用し管理する、業務をコントロールするのが年齢的につらくなってきたというものです。
私自身、60代の前半でトップの地位を後進に譲らないとと思っています。
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2015年08月15日

Big4(4大税理士法人)の勤務経験と独立

税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。

税理士法人TOTALでは、
TACの合同就職説明会2015夏 東京
日時 8月23日(日) 13:00〜16:00
場所 ベルサール東京日本橋
に参加します。

税理士法人TOTALは年間30%近い成長を続けています。
このため、各本部ではいつでもご応募お待ちしています。


ご質問はここをクリック

ソラ様よりのお問合せです。

■年齢 31歳
■性別 男
■資格 税理士 法人税合格 2科目税法免除
     英検準1級、toeic800点台
■職歴 新卒時Big4税理士法人にて5年勤務
     上場会社経理部に1年勤務
     現在、新卒時とは別のBig4税理士法人にで勤務
■学歴 MARCH 国立大学院卒
■会計事務所経験 主にSPC税務、M&A税務、企業税務、国際税務をメインに7年程税務を経験しています。
■居住地 東京都

現在、Big4系税理士法人で勤務しておりますが、将来的には独立を考えております。ただ、職務経歴に書かせて頂きましたが、Big4と企業経理部での職務経験しかなく、独立をした場合に必要と考えられる税務経験を自分は有していないのではないかと考えています。

税務は7年程新卒時から経験しておりますが、特に所得税や相続税といった個人向けの税務経験がありません。

Q. 1
独立を考えた場合には、資産税や個人税務を経験できる事務所に転職し、経験を積んだ後に独立というステップが良いでしょうか。

Q.2
独立の場合に、国際税務やM&A、SPC税務、企業向け税務の経験を活かしていくのはやはり難しいのでしょうか?
「国際税務 税理士」でネット上で検索しても独立している税理士の方は資産税などと比較してもあまり出てこないので、独立して国際税務を行っていくのはやはり難しいのかと考えています。こ多忙のところ、大変お手数ですが、アドバイス頂けますと幸甚です。


A.1
資産税や個人税務を経験できる事務所に転職し、経験を積むというステップは独立のためには特に必要ないと思います。

(1)個人税務
個人の確定申告は技術的には簡単で、ご自身で申告する人の方が多いです。
大規模事業なら法人化しますので、個人事業主は必然的に中小零細事業主が多くなり、顧問料は安くなります。確定申告は2月から3月前半という特定の時期に集中し、スタッフが疲弊するので、中堅以上の会計事務所では受けたくないと思っている事務所が多いのが実情です。
納税者の方が税理士に頼まなくても出来ている確定申告ですから、税理士資格をお持ちのソラ様なら普通の申告は資料を見れば難しくありません。

個人税務を中心としている会計事務所は、医科・歯科系がほとんどです。
医科は、単価が高く、業績も安定しています。ただし、大きな会計事務所や、営業ルートを持っている専門の会計事務所以外の参入障壁はかなり高いです。

歯科は、医者に比べると単価は下がりますが、標準化が容易なので、メーカーや問屋と組んだ税理士事務所を中心に専門事務所があります。

それ以外の個人事業はあまりありませんが、美容室、タクシー、コンビニ、生命保険の営業、農業(北海道限定)などの話は聞いたことがあります。最近は飲食も出てきました。
特別な営業ルート・営業力をもって業界ごと抱えるイメージです。

ちなみに、私が勤務していた税理士事務所は、タクシー運転手の申告を年700人分行っており、私自身半日かからずに平均15人分処理していました。

(2)資産税
資産税は、年間1件も相続税の申告をしない税理士の方が多く、従来は、集客が難しいとされていました。税理士の多くは、技術・経験が足りず、敬遠している方も多くおられます。

このため、銀行と取引のある大手税理士法人や、ごく少数の資産税専門の事務所があるのみで、彼らにとっては非常に付加価値がとりやすい状態でした。

数年前から、一部若手や中堅の税理士法人が、ネット、新聞、テレビ等のメディア広告や地道なアナログ営業を活用して非常な勢いで伸びてきています。
法人マーケットの過当競争、医療系の参入障壁に対し、相続税の改正というフォローの風もあり、資産税は税理士業界のラストリゾートとしてみんなが参入してきています。

今日では、ネットで「相続税 税理士」で検索すると大量の広告が出てきます。
みんなが気づいて、みんなが参入してくると過当競争になり、価格は急速に下がります。
「会社設立」費用が20年前の価格の5分の1〜10分の1になり、大手の寡占が進みつつあるように、
「相続」マーケットも、ネットで検索して決めるプチ富裕層については、価格は劇的に下がるでしょう。「相続税申告10万円〜」が当たり前なんて時代ももう間近です。
利益が上がりにくくなり、ネットで伸びてきた若手の資産税専門税理士法人は、すでにネット広告を大幅に減らしています。

今から、ソラ様が仕事で使う頻度が低くて競争が激しい資産税の経験を積むために転職する必要はあまりないような気がします。心配なら書籍・専門学校等で体系的に学べばいいでしょう。

そんな中、依然として大型の資産税案件は高付加価値です。ここを狙うなら高い技術と経験を得るための転職が必要です。ただ、その案件を獲得できるかは、信用・規模感が重要になり、営業は容易ではありません。

A.2
Big4(4大税理士法人)は、世界的なネットワークに支えられ、ブランド力は絶大です。
特別なソフトウェア、世界に広がる情報網、たくさんの優秀な会計士・税理士…。
国際税務上場関連・外資系企業向け税務は、Big4が圧倒的に優位です。

個人事務所では技術的にも扱いにくく、クライアントから選ばれにいので参入障壁があり、高い価格を維持できています。
これにより、Big4は都心の超一等地に広いオフィスを構えても従業員に高い給与を払うことができるのです。

なお、SPC税務は必ずしもBig4独占ではなく、同等かそれ以上に強い専門の会計事務所(平成会計社 等)があります。ただし、SPCの仕事はソラ様もご存知のようにやり続けて面白いものではありませんし、寡占状態で、堅い金融機関が発注元になるだけに、個人税理士が今から独立して取れるマーケットでないことはむしろ他の分野以上です。

M&Aは、一部の案件以外はBig4の独占ではありませんし、寡占化も進んでいません。最近、中小企業のM&Aは増え続けています。
M&Aは、案件の発掘が重要です。営業会社が熾烈に争っています。ただ、デューデリジェンス・バリュエーション等は、税理士よりも株式評価に対する信頼度が高い公認会計士の方が選ばれやすいでしょう。

なお、中央経済社の税務弘報の今月号(平成27年9月号)に国際税務、M&A、事業再生等のスペシャリスト業務が特集されています。参考にしてみてください。

ちなみに、私もインタビューを受けていますが ご興味がある方は

       ↓

トップランナーに学ぶ 税理士成功の条件



Big4で培ったキャリアが生きるマーケットで、Big4に勝つ方法は2つ考えられます。
(1)Big4と同品質又はより良いサービスを、安く提供する
Big4の欠点は間接経費や見栄えのため高コストで値段が高すぎること、小回りが利かないことです。集客できる人脈や信用(マネージャークラスの方ならあるかもしれません)、仕組み、営業力があり、業務品質を維持できれば、価格によっては対抗可能です。

==============
税理士法人TOTALは、複数の有名な上場企業の国際税務(インバウンド)を受託しています。お客様を直接訪問し、よりお客様に寄り添った提案をし、価格もBig4に比べるとだいぶ安くなっています。Big4出身の会計士や税理士もいて一定の事務所規模に達しているため、当社の国際税務は今後も増えると思います。
==============

(2)Big4 があまり手を伸ばしていないマーケットで勝負する。
例えば、国際税務のうちインバウンドではなく、アウトバウンド・海外業務で勝負する。
開成高校の後輩の会計士は、ベトナムがまだ注目されていない10年以上前に進出して、今ではベトナム最大級(100人超)の日系企業支援の会計事務所を経営しています。
今なら、例えば、イラン、インド、フィリピン、インドネシア、メキシコなどこれから伸びそうな国で独立する。
他に、中小企業のM&Aや事業再生も営業力があれば面白そうです。

ただ、ソラ様の先輩や同僚の(公認会計士でない)税理士で、
独立して成功した方はどれくらいおられますか?
その方はBig4時代と同様の業務をしていますか?
率直に言って、特殊業務で成功している税理士はあまり多くないのではないかと思います。
独立して成功できるかどうかは、作業処理能力・技術力よりも、最初は営業力=お客様を獲得する力にかかっていると思います。
内勤中心で、外の人間とのやり取りはメールや書類が多く、直接お会いして話す機会が比較的少ないBig4の税理士にとっては難易度がやや高いでしょう。

Big4の業務での独立が難しい場合、キャリアチェンジをして、「普通の」税理士として一般的な企業をターゲットにすることも考えられます。身近で、親身な話し相手として、Big4や公認会計士より、税理士の方が有利になります。上場関連や外資系でない同族中小企業の税務は、税理士業務の主力です。
この場合は、Big4の経験は、しっかりした教育を受けて条文を読める、論理的に考えられる、ハードワークに耐えられることが役に立つでしょう。
ただ、「大は小を兼ねる」は当てはまりません。使う技術やコミュニケーション方法が違いすぎるのです。(独学で試行錯誤して学ぶか、)普通の会計事務所に数年間勤務することになります。独立する修行なら、お客様から遠い最大手税理士法人よりは、独立税理士を多数輩出している中堅の税理士法人か、逆に、町の10人以下の個人税理士事務所がお勧めですが、Big4や上場企業経理よりも待遇・環境は悪くなり(3割ダウンを覚悟してください)、既婚者だとつらいですね。
このため、最近ではBig4出身者の独立は減って、成功する人も少数になっています。

ソラ様の場合も、英語力を生かして、外資系企業の経理に転じるか、独身なら海外に行く手もあるかもしれません(話半分 話1/4以下で聞いてくださいね)

もっとも、どんな時代でも成功する人はいます。

私が独立した時、
「士業を産業化して最低1000人、出来れば1万人の事務所を作りたい」
と言ったら、Big4(4大税理士法人)に在籍している税理士の方から、
「Big4でも(TAXは)数百人だから不可能だ」と笑われました。
(当時としてはもっともな反応です。)
その当時の私はBig4 が何たるかもよく知りませんでしたが…。

税理士法人TOTALはまだまだ成功していませんが、少なくとも1000人の士業事務所までは中期的な視野に入ってきましたし、既にBIG4より大きい税理士法人も出現しています。


禅問答のようで恐縮ですが、
国際税務やM&A、SPC税務、企業向け税務の経験を活かしての独立は
難しいと思う人には難しく、簡単だと思う人には簡単です。

「Big4出身で成功する人が少なくて、独立する人が少ないのは天の恵みだ」
と心から思えて、あきらめずに努力し続けられるなら、独立は成功するでしょう。


==============
最近はBig4への就職の質問が多くなっています。若い方が大手の安定・高待遇を求めるのは理解できます。ただ、Big4の条件が良いのは、他の税理士事務所との競争にさらされにくいマーケットで勝負しているからです。言い方を変えると、Big4に行くと(公認会計士ではない)税理士は独立がしにくい構造になっています。

Big4に就職する場合、税理士2世で継ぐ税理士事務所が決まっている方や公認会計士を除くと、
(自分で道を切り開く自信のない)普通の税理士は、Big4で頑張り出世するか、上場企業経理に転職するのが良い、独立はあきらめても良いし、独立するときは相当遠回りでも仕方がないと割り切った方が良いかもしれません。

Big4に残るなら、アラフォーくらいまでは繁忙期は連日深夜まで働くのが当たり前というハードワークに耐えて、優秀な公認会計士や税理士と出世を争うことになります。
(そのかわりパートナーになれれば相当高給です)
上場企業経理に転職すれば、給与・福利厚生はBig4以上のところもあるでしょう。ただ、事業会社では、経理はわき役に過ぎませんし、専門性が生きる場面も少ないかもしれません。プロパーの優秀な社員や、監査法人出身の公認会計士との出世争いは容易ではないかもしれませんし、安定の代わりに仕事に熱意はもちにくいかもしれません。
不安定なのを承知で外資系の経理に再度転職する人も出てきます。

何かを選択するということは何かを捨てるということです。

税理士法人TOTALでもBig4出身者は多数面接し、採用し、(退職し)、在籍してくれています。
給与で比べられると、Big4とうちでは勝負になりません。近づく努力はしていますが、すぐには難しいでしょう。Big4からすぐに転職する方よりは、Big4の後に事業会社や複数の会計事務所で苦労して挫折を経験してきてくれた公認会計士・税理士の方が比較的頑張ってくれているように感じます。
当社は公認会計士がすでに4人在籍しています。今後は、国際税務・上場関連等も伸ばして、BIG4のキャリアを生かせる受け皿も目指す必要があります。
一般法人だけでなく、医療本部、資産税本部、国際税務、上場関連と専門の部署も作り、また営業職、マネジメント職も作り、スタッフ一人一人の経験や能力が生きる適材適所の人事を行って、スタッフの成長を支援していきたいと思っています。

たくさんの税理士を輩出し、税理士法人TOTALに残ってくれている方(現在在籍してくれている税理士・有資格者はあわせて28名)も多いし、独立した方もすでに15名います。独立組はすでに成功した方も、今も成功目指してあるいはマイペースで頑張っている方もいます。
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2015年08月11日

若さの価値と記帳代行会社での職歴

税理士事務所 求人・採用情報の
税理士法人TOTAL 高橋寿克です。


ご質問はここをクリック

ボーナ様よりのお問い合わせです。
■年齢 26歳
■性別 男
■資格 日商簿記2級
     税理士科目:4科目(簿・財・相・法)
     受験歴:今年で5年目(今年消費税法受験)
■職歴 記帳代行会社1年弱
     フルタイムのアルバイト
■学歴 簿記系専門学校卒
■会計事務所経験 なし
■居住地 近畿圏

はじめまして。
いつも拝見させて頂いています。

何点かご質問があります。

Q.1
20代後半に差し掛かって正規雇用の経験が無いものは一刻も早く就職すべきでしょうか?

4科目取得しなんとか官報が見えてきた状況ではあります。
試験後すぐ就職活動をすべきか
あるいは
来年から活動したほうがいいか迷っています。
私はあまり明るくなく覇気がないと言われてしまうため、時間が許されるなら今の職場である程度矯正したほうが良いのではとも思いますし、こんな心配するぐらいならさっさと就職して経験を積んだ方がいいのではとも思ってしまいます。

Q.2
就職活動するにあたり、記帳代行会社でのアルバイト経験はアピールしてもいいのでしょうか?
それともあまり触れないほうがいいのでしょうか?

現在勤務している会社では記帳代行、電話対応、申告のお手伝いなどを行っています。
顧客から質問があれば簡単な税務的相談の回答や申告書に記載するデータの作成などかなりグレーだと思われることもやっています。
税理士の先生から見れば「税法を扱う者として法律遵守の精神に欠ける」となるのか、それとも「その業界はそんなもんだよね」となるのかどちらだと思われますか?

長くなってしまい申し訳ありません。
ご意見頂ければ幸いです。


A.1
ボーナ様の場合、税理士試験後すぐに就職活動をして、一刻も早く就職すべきでしょう。
最難関の法人税法に合格しており、最終科目受験が終われば、官報の可能性もあり、
仮に今年落ちていても、最低限実務経験として必要な、2年以内に働きながら合格できる確率は高いでしょう。
(まずは、目の前の試験がんばってください)

記帳代行会社では、そもそも責任が厳しい正社員でなく、フルタイムとはいえアルバイトであり、
原則として社内向けのコミュニケーションが中心でしょう。

実際に会計事務所の正社員になると、様々なお客様と直接向き合う機会が増えます。
期日や品質に対する責任・プレッシャーも、記帳代行会社の比ではありません。
士業、職業専門家としての高いレベルでの善管注意義務を求められます。

高校野球でたとえるなら、
素振りの練習をいくらしても、打撃は上達しません。
実戦(試合)で生きたボールを打つ必要があります。

明るくない、覇気がないと言われるならなおのこと、
失敗したり、お客様に怒られたりする中で学ぶべきでしょう。

1年入社が遅れると、その分の若さを失うことになります。
若さ」はそれだけで価値があります。
かわいがられやすいですし、失敗も許されやすいし、そこから学んでもらえばいいと所長や先輩は考えます。
物覚えの良さ、素直さ、中年のオヤジ税理士からは、「若さ」は羨ましい限りです。

20代半ば以上なら、若ければ若いほど一般的な会計事務所には採用されやすくなります。
(20代前半の採用は、新人教育が難しいだけに税理士事務所によって評価が分かれます)

A.2
記帳代行会社でのアルバイト経験は会計に触ったことがあるという程度の評価です。
会計用語にも慣れているので、一応プラスにはなります。
ただ、それ以上でもそれ以下でもありません。

会計事務所の所長にとっては、正社員経験のない若者の仕事内容を見極めるのは難しくありません。
無理なアピールは意味がありません。
力んで、「税務相談もやっています」と言うのはどうかと思いますが、
(コンプライアンスが厳しくなってきた時代ですし、ニセ税理士をよく思っていない税理士はたくさんいます)
内訳書作成のための資料づくり程度は経理としては一般的なので、普通に話せばいいと思います。


私自身、記帳代行会社の経験がある方をそれなりの数、面接して、その中の一部の方はスタッフとして採用しました。
三科目以上の合格者、中には有資格者もいました。残念ながら、キャリアとしては記帳代行会社に長くいたのは時間がもったいなかったという例も多かったように思います。
作業としてこなすだけなので、頭を使わないので、疲れず、試験との両立が可能だとして一部受験生は選ぶのでしょう。
逆に言うと、仕事のキャリアとしては簡単な「作業」を、「作業」として低いレベルでこなしてきたかなという程度が一般的な記帳代行会社に対する評価です。

「会計事務所経験者」、「経理経験者(正社員)」ほどには、「記帳代行会社経験者」という表現は目にしません。
残念ですが、記帳代行会社の仕事は、今ボーナ様が思っているほど、会計事務所では高く評価しないのが実情です。

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会計事務所では、コンピューターソフトの発達と、優秀な受験生の減少により、製販分離が増えています。

製造側は、(パートの方でも)今までの会計入力に加えて、税務申告書作成や訪問準備まで当たり前にこなしてきています。

フロントの お客様担当者は、これまで以上に高いコミュニケーション能力と税務・労務・経営・社会全般に関する専門的で複合的な知識が必要とされていくでしょう。専門知識を持った営業マン・ビジネスマンであることが求められるのです。

最近では、会計入力の半自動の取り込みができるようになり、バックの製造担当者も、社内(一部資料受け渡しは社外も)でのコミュニケーション能力、会計、税務、労務等の複合的な知識が必要になってきています。

ITの発達は、人間を単純「作業」から解放する一方、
人間の「仕事」は、(税理士業界に限らず)より高いコミュニケーション能力、より専門的で複合的な知識が要求されるようになるのです。
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