2012年12月

2012年12月24日

税理士と不動産鑑定士、資産税事務所の将来性

東京都千代田区・新宿区と千葉県船橋市の税理士法人TOTALの税理士 高橋寿克です。

現在、TOTALでは、公認会計士を募集中です。
公認会計士の方には上場会社、上場子会社等の税理士業務はもちろん、本人の適正と希望に応じて、将来の幹部候補としての管理業務、資産税(法律の精読、細かい分析能力)、医療(受け身で上品なコミュニケーション)分野での活躍も期待します。
独立経験者も歓迎します。

それでは、
M様よりのご質問です。
内容:
■年齢 33歳
■性別 男
■資格 税理士受験歴なし、簿記2級、不動産鑑定士
■職歴 現在不動産鑑定事務所(勤続4年)他転職2回
■学歴 関関同立
■会計事務所経験 なし
■居住地 大阪

はじめまして。
私は現在不動産鑑定事務所で勤務しております。仕事の幅を広げる意味でも「相続税」「固定資産税」の受験を来年の1月より考えています。(ゆくゆくは税理士合格も考えています。)
公共事業の見直し等により、鑑定業界は非常に厳しい状況にあります。(どの業界もそうだと思いますが)
最近では税理士先生からいただく仕事の割合が増加しており、そのような中、税理士という仕事にも非常に興味を持っています。

このような背景で以下質問させてください。

Q.1
不動産鑑定士と税理士の親和性はありますか?

Q.2
33歳から税理士試験を目指すに当たって、未経験でも採用していただける事務所、法人はあるでしょうか?

Q.3
資産税専門の税理士事務所というものを見かけますが、将来性は高いのでしょうか?

A.1
かぶるのは相続税の土地評価です。
税理士が普通相続税評価に使う、「路線価方式」に変えて、鑑定評価を出すことが考えられます。
また、微妙な土地の広大地判定を行う際も、不動産鑑定士の方が有利だと思います。
(税理士法人TOTALでも、特殊土地、広大地判定で不動産鑑定士の方にお願いすることがあります)

なお、後述しますが、相続税の土地の評価をきちんとできる税理士は決して多くはありません。

逆に言うと、相続税の土地評価以外はほとんどかぶる部分がありません。
固定資産税は、賦課課税方式のため税理士はあまり関与しません。

税理士の仕事の主力は税金の計算です。
細かい税法を覚えて、それを事実に当てはめて計算します。
不動産鑑定士の思考パターン・業務とは残念ながらあまり親和性はないと思います。

広大地判定等で一時的に税理士からの仕事が増えたとしても、業務の親和性そのものはそれほどありません。
今、一時的に伸びてきている資産税を強化したい事務所が特定の鑑定士に業務を委託することは増えると思いますが、今後については、年々、財産評価通達が細かいところまで整っていき、広大地判定への理解が進み、また専門性の高い資産税事務所が増えると税理士から鑑定士への仕事の依頼は(大規模事務所以外からは)徐々に減ると思います。

A.2
不動産鑑定士との協働のために採用する会計事務所はあると思いますが、
「会計人」として未経験者・科目なしの不動産鑑定士が就職できる会計事務所はないでしょう。

会計事務所の就職も、他の産業同様、かなりの倍率になっています。30代半ば、未経験なら、税理士試験3科目持ちくらいあって普通です。

もし不動産鑑定士の方が税理士事務所、税理士法人に採用されるとしたら、最初から、不動産鑑定業務を期待されると思います。
その場合、売り上げの管理、コンプライアンスをどう考えるかという問題は発生します。

A.3
今までは、相続税は、多くの個人税理士にとっては2年に1度くらいしかやらない特殊業務であったため、専門知識や経験が足りず、リスクの高いものでした。

税額が過少の場合、税額の計算間違いや資産の計上漏れがあると、税務調査で指摘され、税理士は、権利意識の高まった納税者から損害賠償請求を起こされます。
それを嫌って安全な申告をする税理士・会計士も多いのですが、最近では、他の会計事務所の相続税の申告の還付請求を積極的に宣伝して請け負う税理士が増えてきました。この場合、更正が認められれば、申告手数料を返還するくらいで済みますが、手続きや期間により認められないとやはり損害賠償になりかねません。
(ちなみに税理士法人TOTALでも、先日、他の公認会計士・税理士の方の相続税の申告の税務調査を引き継いで、数千万円の還付を行いました。明らかに当初の申告をした公認会計士・税理士の方の技術不足といえると思います)

法人のお客様なら普段から信頼関係がありますし、税務調査の追徴も大きな金額にならなければ大丈夫ですが、資産税の場合、一見(いちげん)のお客様も多いですし、賠償額は多額になります。過少申告など税賠保険でカバーされない範囲も広いです。

このため、税理士にとってのリスクを価格にのせて、資産税業務は価格が高止まりしていました。
だから、専門性の高い、事例・経験・技術のある資産税事務所にとっては、今までは、比較的収益性が高く、競争も激しくない、いわゆる「おいしい」分野でした。

一部の大手資産税事務所では、普通の会計事務所に営業をかけて、折半で請け負っていたりします。大手の高い価格なら、半値でも利益が出るということです。
税理士法人TOTALは最近、資産税業務が激増していますが、直近で他の会計事務所で相続税の申告をしたお客様は、うちの価格を聞いて、「安いですね」とおっしゃる方が多いですね(他が高すぎるのですが)。

ただ、税理士が余ってきたこと、税理士法人の大型化が始まっていること、起業支援マーケットの寡占化が進んでいること、(リスク・資産税の本当の怖さがわかっていない)若い公認会計士が資産税マーケットを狙っていること、相続税が改正になりお客様は増えるが小口ばかりになることを考えると、
おそらく、今後は、いっぺんに競争相手が増えて、
数年(おそらく5年程度)で価格は今の資産税専門大手の3分の一、普通の会計事務所の3割引きになるでしょう。

どんなサービスもコモディティ化すると価格は急激に下がります。税理士業界は普通の法人業務は半値〜3分の一に下がりました。今後が資産税業務の価格下げに向かうと思います。
有望なマーケットだと多くの人が気付いた時にはもう競争ははじまっています。中堅以上の税理士法人がこぞって資産税マーケットに入ってきていますし、税理士試験の受験生ですら気が付いています。

そんな中で、大規模化できた資産税専門事務所や、大規模化した総合税理士事務所・総合士業事務所による資産税マーケットの寡占化を進むと思います。
(会社設立手続きで起きているように、相続税の申告も将来、個人事務所では低下した価格で品質を維持してサービスを提供することが難しくなります)

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税理士法人TOTALは、資産税についても、最高品質のサービスをリーズナブルな価格で提供しようと考えています。
このため、資産税本部を設置して、資産税の専門人材を養成しています。資産税についても業界トップレベルの業務水準にすべく、技術を磨き、業務の標準化、ツールの開発を続けているところです。現時点でもだいぶいいところまで進んできました。
お客様が増え続けているため、スタッフの募集をしています。
採用にあたっては、相続税法を合格している人は選考上評価しますが、担当業務は主として適性で判断しています。
相続税法を合格していても向いていない者は資産税を担当させませんし、逆に相続税法の受験経験がなくても、
資産税に適性があると思う者には、税理士試験合格後に相続税法の受験生レベルまでの学習を義務付けて機会を与え、育てています。
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不動産鑑定士業界は、リーマンショック以来の不動産不況、金融の凪の状態、大手への寡占、その大手ですら仕事が減っており、極端に厳しい状況とうかがっています。
個人事務所は力がある方でも、今年あたりはみなさん大変だったようです。

ただ、私は、このあと不動産鑑定士は好況が来るのではないかと思っています。
不動産市況の都市部での下げ止まり・持ち直し、安倍政権での公共工事の大幅増加、金融円滑化法の延長終了による競売・任意売却の増加(市場に物件が大量に放出される)で仕事が大幅に増えることが予想されることに加えて、弁護士や公認会計士と違って、合格者を絞り続けているために供給が減っているからです。

複数の士業を上手にこなす人は多くはありません。専門職が複数の専門分野の専門になることはあまりありません。専門性が薄れるからです。
「弁護士・税理士・行政書士」の看板を掲げている個人弁護士に一流の税理士はいません。
「公認会計士・税理士」で税務主力なのに監査が得意な会計士も知りません。
「公認会計士・司法書士」の方も知っていますが、行っているのは司法書士業務だけです。
私も個人的に司法書士の勉強もしましたが、妻に取らせて自分はやめました。社会保険労務士取得も一度考えましたが、受験すらしませんでした。
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TOTALは、個人で複数の専門を持つのではなく、それぞれ専門特化した一流の専門家が、情報・理念を共有することによって、お客様にすべて一流のサービスを、リーズナブルに継ぎ目なく提供しようとすところに存在意義があると思っています
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「不動産鑑定士」と「税理士」の両方の資格を持っている方は全国でもおそらく10人前後しかいないと思います。営業力があるならそれを差別化に使うことは有効です。お一人は、営業力もあり、税理士業界でもよく知られています。それ以外の方は残念ながら私はよく知りません。
結局、成功するかどうかはダブルライセンスがあるかではなく、(強みがあることを前提に)営業力があるかです。

税理士試験は、不動産鑑定士試験と同様に難関です。国家試験は年齢とともに取得が大変になります。税理士試験は33歳から始めると、全力で長い期間取り組まないと合格しづらいと思います。何年かかるかわかりません。税理士試験を本気で狙うかどうかは、あきらめずに頑張ることができるかどうかでご判断なさるといいでしょう。
税理士資格取得を目指さなくとも、隣接分野の幅広い知識を勉強することは素晴らしいことです。一般的には、複数の仕事の両立を目指すよりも、自分の仕事の専門性を高めたり営業力を強化する方が、個人的には有意義だと思います。

2012年12月16日

税理士試験最後の1科目の選択

税理士事務所・会計事務所の就職情報
税理士法人TOTALの税理士 高橋寿克です。

S様よりのご質問です。
内容:
■年齢 30歳
■性別 男
■資格 簿記論 財務諸表論 消費税法 法人税法合格済
■職歴 営業6年(転職あり)
■学歴  MARCH
■会計事務所経験 なし
■居住地 東京 
■その他 相続税法、所得税法を学習中(共に受験経験なし)

税理士試験の科目選択についてご相談させて下さい。

2年間受験専念しており、来年の試験終了後に会計事務所への就職を考えています。

当初の予定では次回の試験で相続税法、所得税法の同時合格を目標にしてきましたが、本年の試験結果(法人税法合格)が不確定だったこともあり、年内に十分な勉強時間を割くことができず、2科目のボリューム等から共倒れになる可能性が高いと感じています。
そこで1科目に絞り確実に合格を狙っていこうと考えているのですが、専門学校などから情報収集した結果、下記の理由でどちらに絞るか迷っております。

◆相続税を選択した場合
利点・・・就職後、資産税業務に携われる
欠点・・・ボリュームが少なく受験者のレベルが最も高い(法人税をクリアしてきた受験生が大半)ため、1科目に絞っても確実に合格できるとは限らない(余談ですが知り合いに相続1科目で17年かかった人がいます。ちゃんと勉強していなかったらしいですが・・・)

◆所得税を選択した場合
利点・・・受験者のレベルが法人並みかそれ以下のため、1年で確実に合格でき、受験勉強から解放される(法人税を勉強してきた感覚から1科目に絞ればかなり自信があります)
欠点・・・就職後、資産税業務に携われるかわからない。仮に後々資産税メインの事務所に転職を希望した際に制限される可能性がある。

Q.
将来的には何らかのかたちで資産税業務に携わりたいと考えています。
合格を優先して所得税にするべきですか、就職・実務上の理想を追いかけ複数年覚悟で相続税にするべきですか。

A.
S様の場合は、所得税をお勧めします。
理由は所得税法に絞れば合格できるという自信をかなりお持ちだからです。
2年で確実に4科目合格は素晴らしいです。
おそらく、S様は努力もされているし、税理士試験に対する適性もかなりあるのでしょう。

税理士試験は、頭の切れはそれほど要求されません。
しかし、字を書くスピード、記憶の正確さ、そして何より継続した努力と忍耐強さを要求されます。
最後の1科目に時間がかかるのはよくあることです。
私自身、1年目が5科目受験3科目合格、2年目法人税法合格で、S様と同じ2年4科目合格でしたが、
就職したこともあり、その後5年かかっています(7年間同じ科目を受け続けました)。

うちのスタッフは、今年、4科目持ちが3名いましたが、官報合格は1名でした。
2名の不合格者は、所得税法と相続税法です。
みんな、ちゃんと勉強していました。運や問題との相性もあるでしょう。
(来年は、みんながんばって昨年並みに4名くらいの官報合格を期待しています)

一般論でいうなら、相続税法の方がやや合格に時間がかかるとは言えると思います。
個人差もあるのですが、S様ご自身も、所得税の方が容易と感じておられているようですし。

相続税法の合格を資産税の仕事に就く条件にしている会計事務所はあります。
資産税は、扱う金額が大きく、リスクがあるので、体系的に勉強していて一定の知識があることが証明されている相続税法合格者を優先するのです。

今すぐ、資産税に特化した会計事務所に就職したいなら、採用の上では相続税法の方が有利なのは否定しませんが、「後々資産税メインの事務所に転職を希望」する程度の話であれば、来夏以降に相続税の勉強をすれば良い話です。

法人税は、実務と受験で、受験の方が色々な知識が必要になります。
それに対して、相続税法は、試験で学ぶことよりも、はるかに多くのことを実務についてから学ばなければなりません。
資産税を安定してこなすには、技術の研鑽と経験の蓄積が必要です。

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税理士法人TOTALは、資産税本部を設置して、資産税の専門人材を養成しています。
相続税法を合格している人は選考上評価しますが、担当業務は主として適性で判断しています。
相続税法を合格していても向いていない者は資産税を担当させませんし、逆に相続税法の受験経験がなくても、
資産税に適性があると思う者には、税理士試験合格後に相続税法の受験生レベルまでの学習を義務付けて機会を与え、育てています。
また、資産税についても業界トップレベルの業務水準にすべく、技術を磨き、業務の標準化、ツールの開発を続けているところです。
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来年の試験に向けて、勉強頑張ってください。




2012年12月08日

税理士試験合格発表と忘年会

東京都新宿区・千代田区と千葉県船橋市の税理士法人TOTALの税理士 高橋寿克です。

昨日は、船橋本部の忘年会と税理士試験の合格発表でした。
今年の、税理士試験官報合格は、新宿本部のSさん、
まずは、おめでとうございます。

ただ、去年の4名から比べるとちょっと残念な結果でした。
(昨年の合格発表の模様はこちら

税理士受験生にはショックな発表日
忘年会も全体にかなり反省モードで湿りがち
(こんな年、記憶にないなあ)

税理士法人TOTALの忘年会では、
スタッフが1年を振り返る1分間スピーチがあり、
私は楽しみにしているのですが、
仕事や(技術や、コミュニケーション、成果との関係)、
家庭(やはり両立は大変です)、
勉強の話(何としても合格したいですね)、
やっぱり「悩み」は尽きないようです。
気を取り直して、おいしい焼肉をたくさん食べて
「来年は官報合格を4名出そう」ということで中締めとなりました。


悩む」ってことは、みんなが与えられた環境の中で、前に向いて成長しようとしているってことだと思います。
リーダーとしては、
スタッフの置かれている状況をよく観察して、
適材適所で、個性が生き、モチベーションが上がり、
それぞれが成長できるような環境を整えないといけませんね。
うちは、スタッフ一人一人はみんな優秀です。
スタッフを生かせるかどうかは、経営者の責任です。


私も今年を一年振り返ると、組織としては
資産税本部、医療福祉本部の設置(専門特化)、
新宿本部出店(エリアの拡大)と
成長のための変化を続けた年でした。

今後ますます、お客様サービスを質的に進化させるとともに、エリア拡大(さいたま、横浜、千葉)にも取り組んでいくつもりです。


※なお、
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